ドラゴンBBQ
……と言う訳で協議の末、ラベンドラさん達に鉄板を出してもらうことになりました。
まぁその……、
「ドラゴンの皮が分厚く頑丈だ。こいつなら十分にその役割を果たせるだろう」
とか言って出て来たのが座布団三枚を重ねたくらいの分厚さの何か。
見た目的にはわに革とか、蛇皮に近いように感じる。
色は濁った緑って言うの?
濃い緑に赤を混ぜたような、茶色にならない程度の緑みたいな……。
某狩りゲーのゴーヤみたいな色って言ったら分かる?
「焼いちゃって大丈夫なんですかね?」
「驚くほどに火に耐性があるし、何より生命力が強い。多少ボロボロになったところで、一晩も経てば治る」
「ああ……」
皮もなんだ、生命力が強いの。
……待てよ?
そんな生命力が強い素材で作った防具……もしかしてちょっとやそっとの傷じゃあ付いてもすぐに修復しちゃう?
えぇい、異世界のドラゴンは化け物か。
(魔物じゃぞ)
あ、ツッコみどうもです。
「にしても、状態保存魔法無しに食べたとは……カケルすげぇな」
「何度も、何度も! 元の状態に戻りましたけどね」
本当に、マジで。
二度とさすな、あんなこと。
「どうやって食べたか気になる所だが」
「茹でて氷水で締めて氷の上に置いただけです」
「……洗い、か」
「ですね、身がシャッキリしながらも噛むと肉汁が溢れて……悔しいけど美味しかったですね」
「ふむ」
と言いながら何をしているかというと……。
俺とラベンドラさんで肉や野菜のカット。
ガブロさんが火の調整。
マジャリスさんと『無頼』さんで鉄板もといドラゴン皮のセッティング。
……リリウムさんは、
「また何か機能が増えてますわね?」
「ンゴッ! ンゴッ!」
ゴー君を詰めてた。
あまりいじめないでくださいね? 嫌われますよ?
「よし。こんなもんだろう」
「ですか」
問、食いしん坊の異世界出身エルフの言うこんなもんがどれくらいの量になるか答えなさい。
答え、二十人前くらい。
しかもありがたいことに、
「カケルに渡した量ではすぐに尽きるだろう。だから今回は全て我々の手持ちの食材から出す」
とか言ってくれたんだぜ?
涙が出るね。色んな意味で。
「じゃあガブロ、焼きは任せたぞ」
「うむ」
でまぁ、焼き鳥然り鉄板焼き然り。
こういう作業の担当者はガブロさん。
あ、今更だけどもちろん庭でやってるよ?
「じゃあガブロさん、これ、ガソリンです」
「なんじゃ?」
もちろんガソリンは比喩だけど、ロック状態のとあるお酒をガブロさんに手渡す。
コップの縁にはくし切りのレモンを添えて。
「まずレモンを噛んで、そっから一気に呷ってください」
良い子は真似しちゃダメよ?
ウォッカのショットなんて。
「んっんっんっ……!!?」
言われた通りにレモンを齧り、キンキンに冷えたウォッカを一気に飲み干したガブロさんは……。
「ふしゅ~~~っ」
エンジン起動。
「とろみがあるも強烈な酒感。飲みやすいのにクラッと来る感じ! 最高に酒って感じじゃな!!」
「まぁ、ここでもかなり強いお酒に入りますからね」
少なくとも日本人に一番知名度がある強いお酒なんじゃない?
スピリタスの方がアルコール度数は高いけどさ。
ウォッカの知名度、意外と高いからな……。
「それは今日の食中酒か?」
「違います。カクテルのベースですよ」
「……なるほど、癖も無いし何にでも合うじゃろうな」
と言いながら、熱されて温まったドラゴン皮にドラゴン肉を乗せるガブロさん。
色味的に背中の肉か。
「今の内にソースを作ろう」
「お任せします」
そしてドラゴン皮とは別の所で火を起こし、ソースを作り始めるラベンドラさん。
焼肉のたれは用意してるし、塩コショウやら各種スパイスもあるにはある。
ただまぁ、
「バター、赤ワイン……」
肉に合うソースなんてなんぼあってもいいですからね。
……そうだ、
「折角ですし、一番最初に焼けたドラゴン肉、神様にお供えしませんか?」
「ふむ。……いいかもしれん」
「色々と私たちの為に便宜を図ってくれていそうですし」
「俺をこの場に招いてくれた礼もしなくちゃあな」
「これからも継続して貰う必要もある」
「もうじき焼けるぞい」
ふと思い立ったことだけど、意外と五人も乗り気。
と言う訳で焼けたドラゴン肉をお皿に乗せまして……。
即座にラベンドラさんが状態保存魔法をかけ、それから赤ワインとバターベースのソースをたっぷりと。
仕上げに一回しほど醤油をかけて……完成、ドラゴン肉ステーキ!
ではでは神様、今後もこの方々を見守りください。
(ほっほっほ。殊勝な心掛けじゃわい)
あ、あと、追加で買って来た赤ワインもどうぞ。
(ほっほっほー!! 流石じゃなぁ!!)
ステーキと赤ワインを並べて、二礼二拍手一礼。
するとステーキは皿ごと、ワインも瓶ごと消え失せる。
「……ヨシ」
「何を見てヨシって言ったんだ?」
翻訳魔法さん?
そんなネタ拾わなくていいんですよ?
「蔑ろにするとへそ曲げますからね。たまにはこうしてお供えしないと」
「するなよ蔑ろに。神様だろうが」
「それもそうですけど」
なんだろうね? 普段の態度かな?
あまり神様って実感無いんだよなぁ。
ま、それはそれとして。
「ほれ、追加が焼けるぞい!」
「はーい」
出来立てドラゴン肉ステーキ……いただきます!!




