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んなバカな

 時は少しだけ遡り。


「そうだ」

「……どうしました?」


 紫の魔法陣を潜る直前、何かを思い出したかのように振り返るラベンドラさん。

 僕知ってる、この流れは食材を渡されるときのやつだ。


「ドラゴンの肉を渡しておこう」

「あ、はい」


 ほらね?

 大体こうなるんですよ。


「まずこれが頬肉。首周りの肉に腹肉。背中の肉――」

「多い多い多い!」

「? だが部位ごとに特徴があって……」

「分かりますけど! 物理的に保管場所無いですって!」


 こう……想像して欲しいんだけどさ。

 30kg入る米袋みたく、俺が両手で抱えないと持てないサイズ。

 それが各部位一塊ずつ存在するのよね。

 ……抜けるわ、床が。

 いやだよ俺、床が抜けたからって業者呼んで、


「いやぁ、異世界から貰ったお肉がちょっと重くて……」


 とか説明するの。

 業者ポカーンだろ。

 

「ならばまずは一番癖の無かった頬肉か」

「逆に足や腕の付け根の肉と言う選択肢も有りじゃぞ?」

「最初に一番脂が乗った背中の肉を渡すってのも手だ」

「カケルには最高級の部位を調理して貰うに限りますわ。よって首周りの部位ですわね」

「どこでもいいだろ。ぜってぇ美味いぜ?」


 凄いね、ここまで意見が違うことあるんだ。

 んでまぁ、ドラゴンの肉でしょ? 興味はもちろんあるんだよな。

 う~む……。


「じゃあ、とりあえず頬肉と背中の肉と首周りの肉を貰えます?」

「おう!」


 ドン! デン! デデン!!

 ……肉タワーが出来ちまった。


「ではカケル、世話になった!」

「ドラゴンの料理、楽しみにしていますわ!」

「次の酒もな」


 と言って消えていく五人。

 ……さて、と。


「まずは味見かぁ……」


 やんないとね、ドラゴン肉実食。


「神様、ドラゴンの呪いの強さはどれくらいです?」

(他よりは高いがバハムート程ではない。そうじゃな、火を通す前に炒り塩水に漬けて五分といったところじゃ)


 かしこまかしこま。

 んじゃあ言われた通り炒り塩水を作って、試食分だけ落として入水。

 他はキッチンペーパーで包んでラップしましょうね。

 ……冷蔵庫と野菜室がドラゴン肉で埋まっちまった。

 これで不味かったら承知しないんだからね!!


「そろそろか」


 五分経過。

 炒り塩水が丁度元の透明な色に戻る所でしたわ。

 んじゃあ塩茹でしていきますか。


「んー、バハムートみたいに火が通るのに時間がかかるってのは無さそう?」

(ドラゴンは自身の豊富な魔力で様々な防護魔法を自身にかける。絶命してしまえばその効果も消えるからの)


 ……てことは、例えばだけどドラゴンの活造りとかすると火が通らなかったりするのか。


(出来る奴などおらんじゃろうがな)


 ふむふむ。

 てことはドラゴンが自分のブレスで口内とか焼けないのも?


(防護魔法の効果じゃな)


 なるほどな。

 流石ドラゴンと思う反面、よりバハムートの桁違いさが際立つよな。

 あいつ、魔法無しで身が焼けないんでしょ?

 バグじゃん。


「色は変わった……よね?」


 加熱されると白っぽくなる現代肉。

 ただ、その常識はどうやらこのドラゴン肉には通用しないらしく……。

 例えは悪いけど、生の時は桜色だった身が、加熱されたことでレバーの色みたいな感じになってる。

 むしろ生に戻ってないか? これ。


「まあいいか」


 お箸で摘まんで引き上げて、冷ますために息を吹きかける。

 ヨシ、いただきま――


(ストップじゃ)


 ……何? 神様。


(肉を良く見るんじゃ)


 ?

 この桜色の肉をよく見ろって?

 ……あれ?

 戻ってない?

 加熱前に。


(ドラゴンの生命力は凄いからの。外部からの刺激が無くなれば元の状態に戻るんじゃ)


 ……茹でるって行為が無くなったから生に戻ったの?

 マジ?


(マジじゃ)


 いや、そうはならんやろ……。


(なっとるじゃろうが)


 マジかよ。

 ……だったら食べられないじゃん。


「ちなみに神様」

(なんじゃ?)

「外部からの刺激って冷気も含みます?」

(そりゃあもちろんそうじゃろ)


 ……作るか、ドラゴンの洗い。

 桜色に戻ったドラゴン肉を再び鍋に戻し、茹でてる間に氷水の準備。

 更にお皿を用意し、お皿に氷を敷き詰めまして。

 茹で上がったドラゴン肉を急いで氷水に浸し、間髪入れずにお皿の氷の上に。

 なんで試食でここまで手がかかるんだよ(二敗)。


「これで不味かったらマジで怒りますからね」

(わしに言われてものぅ)

「姉貴から送られて来たワインを目の前で全部料理に使ってやる」

(お? わしと事を起こす気かの?)


 なんて神様と言い合ってるけど、美味けりゃいいのよ、ドラゴン肉が。

 てなわけで、ドラゴン肉の洗い……実食!


「…………うま」


 まず食感。

 シャッキリした歯ごたえの、鶏肉に近い感じ。

 これが洗いにしたからなのか元からの食感は分からないけど、鳥みたいに繊維がシャキシャキしている感じじゃなくてね?

 もう全体的な食感がそうなってる感じ。

 んで味。美味いね、凄く美味い。

 肉ってよりはマグロに近いかな。

 食感はシャッキリしてるのにうま味はねっとり濃厚で、本当に肉と魚の中間みたいな。

 脂はサラサラしてて甘みがあり、かといってくどさは無くて全然飲める。

 これビール合うなぁ……。

 ワインも赤が合うだろうなぁ……。


「今のが頬肉か。……じゃあ次は背中のお肉と行きましょうか」


 ……五人が帰った後のドラゴン肉試食の宴――開幕!!

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「これで不味かったらマジで怒りますからね」 (わしに言われてものぅ) 「姉貴から送られて来たワインを目の前で全部料理に使ってやる」 (お? わしと事を起こす気かの?) なんか、神様も口喧嘩楽しんでや…
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