バーテンダーエルフ
ご飯おかわりのタイミングでおからドーナツをオーブンへ。
忘れてない翔君は出来る子。
「新たなおかずか?」
「いえ、おからでドーナツを作ってみたので、それを焼いてるだけです」
「ドーナツ!!」
マジャリスさんの反応を見て思ったんだけどさ、おからドーナツ……持ち帰りに回した方がいいかもしれない。
いや、俺が勝手にそう思っただけだけども。
ちょっと聞いてみるか。
「ラベンドラさん」
「どうした?」
「今日のデザートなんですけど、おからドーナツとカクテルを予定しているんですよ」
「ふむ」
「で、思ったんですけど、おからドーナツはお持ち帰りに回そうかなって」
この提案をした瞬間、マジャリスさんがそんな事してくれるなと両手を合わせて祈っているけど……。
「いいんじゃないか?」
祈り、届かず。
「で、更になんですけど、今日はカクテルをラベンドラさんに作って貰おうと考えてて……」
「……食事を手伝えなかったんだ、引き受けよう」
よし、これでエルフをバーテンダーにすることに成功した。
と言う訳でおかわりのご飯ですよ~。
「うぅ……ドーナツ……」
持ち帰りだから食べられることに変わりはないんだけどなぁ……。
今食べたい、という思いが強すぎるよマジャリスさん……。
「カケル、すまないのだが……」
「どうしました?」
「汁物を頂けないか?」
「あー……」
ちょっとは思ったんだよな、お味噌汁かお吸い物を作ろうかって。
でもいいか、と思ったんだけど……そうか、欲しいか。
汁物を知る者になっちゃったか……。
「インスタントでもいいです?」
「構わない。十分美味いからな」
「皆さんもお味噌汁要ります?」
ラベンドラさんだけじゃないだろうなと思って聞いたら、全員が俺の方向いて頷いてた。
みんなすっかり日本食スタイルに染まっちゃったな……。
*
「「ご馳走さまでした」」
「お粗末様でした」
ご飯もおかずも味噌汁も。
全部が奇麗に平らげられまして。
皆さんお待ちかねのカクテルタイムになります。
「と言う訳でラベンドラさんにはこちらを」
と差し出すは、カクテルのレシピ紹介動画。
本日はジンベースのカクテル動画にござい。
と言っても全部見せてたら膨大な数になっちゃうから、ある程度で止めとくよ。
一度に全部見せてしまうなんてもったいない。
「……凄いな」
「どンな感じだ?」
「まずはベースとなる酒の特徴。そして、組み合わせる目的や狙いを説明し、実際に混ぜて試飲、感想という流れだが……」
「酒と何かを混ぜるってのがそもそもねぇ発想だからな……」
「まるで童心に戻ったような感じだ。見る全てが新しく思える」
信じられるか? これがカクテルレシピ紹介動画を見た感想なんだぜ?
「覚えました?」
「バッチリだ」
との事なので素材を登場させましょう。
もちろん用意したお酒はジン! これでラム酒とか出したらただのギャグだろ。
「まずはストレートで飲んでもいいか?」
「あ、俺も飲みてぇ」
「わしにもじゃ」
という要望に応え、どこのご家庭にでもあるショットグラスを用意。
あるよね?
「ん、強ぇがうめぇな」
「香りが豊かだ。爽やかで変に残らない」
「切れ味が鋭い辛口じゃな、ドワーフポイント高いぞい」
ドワーフポイントってなんだよ……。
「よし、ではカケルの用意してくれた材料で先程のレシピ通りに作ってみよう」
「お願いします」
と言う訳で、ラベンドラさんによる初めてのカクテル作り開始。
作って~ワクワク!!
「まずはそこで不貞腐れているマジャリス用だ」
と言って手にしたのはオレンジジュース。
空中にジンを注いで留まらせ、そこにさらにオレンジジュース。
指を振ってそれらをしっかりと撹拌した後、
「魔法で温度を奪う」
多分氷を入れてシェークするのと同じ効果を狙っての事だと思う。
……氷、あるよ?
「ほら、オレンジブロッサム、という名前らしい」
最初の一杯、マジャリスさん用のオレンジブロッサム、完成。
オレンジジュースの甘酸っぱさで飲みやすいものの、飲みやすいだけでアルコール分は高い。
俺が飲んだらまた記憶が飛ぶことになりそうな一杯である。
「いただき!!」
空中に浮いたままのオレンジブロッサムをカクテルグラスで受け止め、早速口を付けるマジャリスさん。
「美味しいが結構クるな」
「強めではあるだろうな。だが美味いだろう?」
「美味い。ワインとも日本酒とも焼酎とも違う味わいだ」
そりゃそうだ、そのどれらでもないお酒なんだから。
「次私でお願いしますわ!!」
で、マジャリスさんが飲んでて我慢出来なくなったらしいリリウムさんが二杯目に名乗り上げ。
何を作るんだろう。
「リリウムならこれだろう」
と言って、やっぱり空中にジンを注ぎ、そこにレモンジュース。
更にジンジャーエールを注ぎ、温度を奪って普通のグラスへ。
最後に軽く混ぜ、完成。
「ジン・バックというらしい」
「いただきますわ」
グラスを受け取り、やっぱりすぐに口を付ける。
そのお味は?
「甘くて飲みやすい、美味しいお酒ですわ」
まぁ、好評だよね。
「柑橘やジンジャーの香りと、お酒の香りが凄く合いますのね」
「俺の方も酒とジュースとの相性が良かった。流石はこの場所のレシピと言ったところか」
……まぁ、ジン自体が炭酸や柑橘系と相性がいいお酒らしいからね。
……さて、
「次はわしでええか?」
「いいぜ」
と言う訳でお酒に関してのラスボス登場。
そのラスボスの名は……グラナイト・ガブロである。
恐らくこれが投稿された時にはコミカライズ一話がコミックポルカ様で公開されていると思います。
もしよければそちらもご確認ください。




