酒は飲んでも……
……ハッ!?
今はどこ? 私はいつ? ここは誰?
うぅ……頭痛い……。
ヘイ神様、今の状況を説明して?
(お主……マジか……)
うぉ……。
二日酔いの時に神様の声が脳内に響くと余計にガンガンする……。
もう少し小さい声で……。
(怒るぞい?)
……うぅ……水……。
(はぁ。楽しそうにカパカパと酒を飲んでおったぞ)
でしょうね。
じゃないとこんな二日酔いになってないもん。
(持ち帰りにと、いなり寿司を大量に持たせておったな)
でしょうね。
それくらいしか持ち帰りにならないだろうし。
(最後に、あの果実のリキュールじゃが……)
カシスリキュールですね。
(わしらが止めるのに、いいのいいのと持たせておったな)
でしょう――へ?
神様が止めたのに俺渡しちゃったの?
(わしが、じゃないぞい? わしらが、じゃ)
…………やっべ。
(時にカケルよ)
――なんでせうか?
(神罰と天罰、どちらが好みかの?)
*
うぅ……。ぐすん……。
神罰も天罰も勘弁してください、とファッキンジャパニーズウェポンを使用した所、お供え物たちで何とか見逃して貰えることに。
と言う訳で今俺は、二日酔いの為に歩いて最寄りのコンビニへと歩いている最中。
お酒をどれくらい飲んだかはっきり覚えてないけど、これで運転してアルコールが残ってましたとかだと話にならない。
飲酒運転、ダメ、絶対。
「まだちょっとガンガンする……」
一応、二日酔いだから買い出しに行けないと神様に泣きついたら、
(お主の庭に居るゴーレムに頼んでみるんじゃ)
と、多分とんでもない事を言われ。
ゴー君に相談したら、
「んごー……」
このご主人様は……と呆れられながらも、コップ一杯の水を用意しろ、と。
んで、言われた通りに用意したら、その水に何かしらを施したらしく、飲んでみるとかなり楽になった。
……多分。
いや、久しく二日酔いの経験が無かったから、水飲んだら楽になるって言うじゃん?
あれの感覚を忘れててさ。
神様やゴー君が凄いのか、ただ水を飲んだ時の作用なのかはっきりしなくてね……。
まぁ、ここは神様やゴー君のおかげって事にしとこう……。
んで……コンビニで何を買うかというと……。
そうだね、ワインと日本酒だね。
ついでにワイン用のおつまみと、日本酒用のおつまみも買いまして。
(一本で足りるわけなかろう)
えー……。
(八百万の神たちもそうだそうだと言っておるぞ)
むぅ……。
追加でもう一本購入っと。
それじゃあ帰ってお供えさせてもらいますか……。
*
ふぅ、だいぶ楽になったな。
とはいえまだまだ二日酔いのダメージがある。
という事でご飯は作るけど、軽めのものにしましょうね。
まずは冷凍ご飯をチン。
そして鍋に水を入れ、解凍したご飯をぶち込んで……。
イセカイカワブタ節を削って投入。
後はゆ~っくり煮込むだけ……。
完成! イセカイカワブタお粥!
「はぁ……うめぇ……」
イセカイカワブタ節、マジでありがてぇ……。
もっと貰って作り置きしとこうかな……。
このままじゃあ使い切った時にイセカイカワブタ節ロスが発生しちまう勢いだぜ。
「湯葉をイセカイカワブタ節のお出汁で食べるのとかめっちゃ美味しそうだな」
食べてる途中でお粥にネギをパラリ。
ちょっとの味変で食欲はさらに加速するって寸法よ。
「んでもご飯のメインってわけじゃあないし……なんか厚揚げとか使ったメイン料理のレシピでも探してみるか……」
まだ庭にね、ブルーシートに包まれた異世界ピーナッツが半分も残ってるんだ。
つまりはまだまだ おからと豆乳が出るってわけ。
そいつらの消化方法を考えないとね。
「割とマジで豆乳アイスやおからドーナツを作ることも視野だな……」
と、今晩のレシピを検索しながら。
作ったお粥を、綺麗サッパリ完食するのだった。
*
「無い! 無い!! 無い!!!」
「うるせぇな……」
「カケルから貰った果実酒のお酒が無い!!」
「知らねぇよ……」
アメノサの家。
正確には、アメノサと『無頼』の家なのだが、その場所に、アメノサは政務で、『無頼』はダンジョン探索等で帰ることはほとんどなく。
珍しく帰宅し、就寝。目を覚まして早々に騒ぐアメノサ。
その騒ぎの原因は、異世界へと戻る前に、翔から受け取ったはずのカシスリキュールがどこを探しても見当たらない事であり……。
「どこかに落っことした? いやでもそんなはず無いし……」
翔程ではないにせよ、頭の中でガンガンと響く痛みに耐えながら、前日の記憶を呼び起こす。
が、しっかり抱いて家に戻り、枕元に置いて寝た事をしっかりと覚えている。
……つまり、
「誰かが盗みに入った?」
そうなると色々とマズい、とアメノサは考えるも、もし侵入者であるならば、『無頼』が気が付かないのはおかしな話。
では一体カシスリキュールがどこへ消えたのか。
その答えは、どれだけ家の中を探しても、出てくることは無かったのだった。
*
全く、神の手を煩わせるでないわい。
ダメという事はダメなんじゃから、大人しく従えっちゅーに。
ま、そのおかげでわしの元に転がり込んできたわけじゃが?
カケルが何やらワインと混ぜるレシピも言っておったしの。
わしの世界のワインと混ぜるのは言語道断じゃが、カケルの世界のワインと混ぜるなら話は別じゃ。
さてさて、楽しませてもらうとするかのぅ。




