ただし毒判定
持ち帰りの料理、豆腐だけ欲しいとの事なので、寸胴鍋に出来てる豆腐をそのままパス。
何を作るのか尋ねたら……、
「異世界式の麻婆豆腐を作る」
とか言うクッソ気になる事を言われてしまった。
あの、その料理、俺にも一口……。
「毎度わりぃな」
『無頼』さんに持たせるは、各種カルーアの素と牛乳のセット。
甘けりゃなんでもいいだろ、とか言ってたけど、大丈夫かな?
アメノサさん、お酒強くないみたいだったけど……。
「では、カケル」
「明日、楽しみにしているぞ」
「は~い、用意しときま~す」
という事で五人を見送り、魔法陣が消えるのを見守って。
「よし、デザートをカクテルに置換することに成功っと」
一人、小さくガッツポーズ。
カクテルなら結構な種類あるし、甘いカクテルに限定しても随分とあるはず。
これでカクテルを出してる間に、デザートのアイディアをストックしとかなければ……。
「まぁ、その時の俺がなんとかするでしょ」
その時になりゃあいい案が浮かぶでしょうきっと。
それに、いざとなればスーパーのお菓子コーナーとかから引っ張ってくればいい。
……待て? 思ったんだけどさ。
エルフ達に知育菓子作らせたらどんな反応するんだろう……。
気になる……。
手順通りに作らずに、魔法に頼ったりしたりして……。
作らせたいな……。
でも、カクテル用意するって言っちゃったし……。
しょうがない、少しだけ我慢しよう。
カクテルタイムが終わったら、知育菓子作らせよう。
*
「美味しい」
「絶対ぇ気に入ると思ったンだよな」
アメノサ政務室。
通常よりも薄めたカルーアミルクをチロチロと舐めながら言うアメノサに、『無頼』が言う。
「向こうの国じゃあ醸造ギルドがパンク寸前らしい。こっちで研究させるってのはどうだ?」
「その案、採用。というかそのつもりで向こうも発言してるはず」
「だろうな。じゃねぇと俺に伝える意味がねぇ」
「もし仮に開発が出来たら、こっちの特産品として即登録」
「輸出は最初は伸び悩むぞ? 他の連中には得体の知れない酒なわけだからな」
「貴族に飲ませる。……貴族よりその婦人が妥当」
「貴族間で先に広める、か。悪くねぇ」
ラベンドラ達が口にした、自国の醸造ギルドは手一杯、という情報。
その情報を元に、『無頼』とアメノサは、カルーアの独占を目論むが……。
「で、材料は?」
「? 俺が知るわけねぇだろ?」
「……バカ」
肝心の材料に、皆目見当がつかない様子。
「その原液を醸造ギルドに持って行って調べさせりゃあいいじゃねぇか」
という『無頼』の至極真っ当な提案に、
「これは私の。一滴も、他にあげない」
アメノサは全て自分のだと主張。
そんな事だろうなと予想していた『無頼』は、大きくため息をつくと。
(カケルの所で飲み食い出来る甘味、ヘタすりゃこの世界を支配できちまうんじゃねぇか?)
などと、割と笑えない状況を想像。
「『無頼』、次緑色のやつ」
「はいはい」
そんな想像も、アメノサの二杯目のリクエストを受けた時に脳内から消え去り。
「あ、明日は私も行くから」
「仕事は?」
「ある程度片付いたから」
本当かどうか怪しいその宣言に、『無頼』は、
(ま、どうなっても知らねぇが)
と思いつつ。
アメノサに抹茶カルーアを作ってあげるのだった。
*
さて、と。
早速だけど晩御飯の準備ですわよ。
と言う訳で取り出したるは、ゴー君に作って貰った豆腐――を、ゴー君に頼んで水分をある程度抜いて貰ったものになります。
ゴー君マジ便利。
「油で揚げまして~」
で、水分を抜いて貰った理由は一つ。
油で揚げるから、ですねぇ。
豆腐を油で揚げるという事はつまり……豆腐を油で揚げるという事です。
想像通り、油揚げを作りまして。
一旦お冷まし。
その間にご飯の準備。
普通に研いだお米と、イセカイカワブタ節から取った出汁を炊飯器に入れ。
薄切りにしたイセカイカワブタを投入してスイッチオン。
これでイセカイカワブタの炊き込みご飯が出来るわけですが……。
まぁ、そちらも一旦置き。
「……味見しよう」
出来上がったお揚げを、興味本位で味見。
軽く炙り、表面をパリッとさせたところにお醤油を一滴。
いただきます……。
「お! うめぇ!」
パリッとした表面を歯が破れば、中からジュワッと油が。
その油には異世界ピーナッツの旨味がしっかりと溶け込んでいて、そこに醤油の香りと風味と塩味が混ざる。
うめぇ……けど大根おろしとか欲しいな。
やっぱ油抜きしなきゃ重い。
と言う訳で鍋に水を張り、今しがた作った油揚げを入れまして。
油が抜けるまで茹でる! そんで冷やす!!
この時、水気をしっかり切るために手で絞り、更にはキッチンペーパーの上に寝かせて追い打ち。
さぁて、
「こいつに頼りっぱなしだな」
最近出ずっぱりのイセカイカワブタ節。
これから出汁を取り、そこに砂糖と醤油を入れて混ぜ。
水気を切り、中を開いたお揚げを投入。
最初は中火、沸騰したら弱火に落とし、落し蓋をしてそのまま煮詰め。
汁がほとんどお揚げに吸われたら、準備完了。
もう何作ってるか分かるよね?
「アメノサさんを見た時から、食べさせてみたかったんだよね」
九尾であろうアメノサさん。
奇しくも、この世界に来た時のご飯はお寿司。
ただ、入ってなかったんだ、いなり寿司。
そうこうしてるうちに、イセカイカワブタとか言う最高の食材が加わったので。
このタイミングでいなり寿司にしてみました。
今日はこれを持ち帰らせれば、どんな反応だったかは『無頼』さんから報告されるでしょって事で。
「すまし汁と卵焼きはラベンドラさん来てからでいいか」
お揚げが出来て、ご飯も炊ければ、今日の下ごしらえというか調理はほぼ完成。
後はラベンドラさんに任せればいいから、これより、我はチル道に入る。




