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日ノ本参戦

 お湯割り、初めましてなんだよな。

 と言う訳でレシピを確認。

 なになに……お湯の温度は70度くらいがいいのね?


「酒をお湯で割る、か。普通じゃ考えもしねぇな」

「じゃな。酒はそのまま飲んでこそ……と思っとったんじゃが……」


 お湯割り用のお湯を沸かしてる間、焼酎ハイボールを飲み干しちゃってる『無頼』さんはスープやカルパッチョをチビチビと食べ。

 残っているガブロさんもムニエルやカルパッチョでチビチビと。

 ……そんな二人を尻目に残りの三人はワインで盛り上がってますけどね。


「えーっと、まずはお湯を入れて……」


 レシピを確認したら、お湯割りの場合は先にお湯を入れるんだって。

 比重とかの関係で焼酎が沈むから、それで混ざる様に……だってさ。

 あー……そう言えば各都道府県のご当地常識みたいなのを紹介する番組で見た気がする……。

 九州の方だと上司の好みの焼酎の飲み方を把握しなきゃいけない、とか。

 焼酎の割り方から割材との比率。さらには入れる順番まで拘りがある、みたいな。

 その時はどうだったかな……お湯から入れてたっけ?


「おー、いい香り」


 なぜかあった無骨な大きめの湯呑に、お湯と焼酎を注げば……。

 ふわりと立ち昇ってくる麦焼酎の香り……。


「お待たせしました」

「うむ」


 という事で焼酎のお湯割りをご提供。

 さて、と。

 ムニエル食べよ。


「マジでフワフワじゃん」


 フォークを当てただけ、ナイフを乗せただけでホロリと崩れる程に柔らかい身。

 それにたっぷりとソースを纏わせて口に入れれば、イセカイカワブタの旨味とレモンの酸味が一気に口の中に広がっていく。

 そこからバターのコクが後押しをし、香ばしさも襲い掛かって来て……。

 そこに迎え入れるバゲットが美味い!

 そして飲むスープが美味い!!

 全部が美味しいの過剰供給をさせようとしてくるじゃん。

 もっとやって欲しい。


「ふぅ……」


 バカなっ!?

 お湯割りを飲んだガブロさん達が落ち着いているだとっ!?


「どうした? 美味くなかったのか?」


 マジャリスさん?

 確かに気になる事だけど、もう少し聞き方と言うものをですね?

 出来ればオブラートに包んで頂けると……。


「うめぇぞ?」

「何じゃろうなぁ……。例えばじゃが、先程のハイボールとやらは感覚的には走りながら飲む酒じゃ」


 めっちゃ酔い回りそう。


「爽快感やら、炭酸の刺激からそう想起させるな」


 ラベンドラさんには通じてるし。


「じゃがこのお湯割りは、立ち止まり、どこかに腰掛けながら飲む酒じゃわい」

「なるほど……。つまりは騒ぐような雰囲気にならないお酒、と?」

「だな。こう……コックリと時間をかけて楽しみたくなる。そんな飲み方だ」


 なんとなーく言わんとしてることは伝わるような……。

 食べて騒いで共有したい美味しさと、一人で静かに自分の世界に入り込みたい美味しさ、って感じか。

 ハイボールが前者で、お湯割りが後者、と。


「スープもいいが、お湯割りはカルパッチョやムニエルと合う」

「カルパッチョが冷たいからのぅ……。味は合うが温度が合わん。今日のメニューではムニエルが最高かの」


 あー、レシピにも合わせるなら温かい料理ってあったな。

 そこに気付くとは、やはり酒飲みか。


「カケル、ワインのお代わりは?」

「ありますけど、飲むと明日の分が無くなりますよ?」

「うグッ……」


 ガブロさんや『無頼』さんがゆっくりチビチビ飲んでるのとは対照的に、ワインを美味しいからとカパカパ飲んでる三人。

 いや、ワインもどちらかというとゆっくり飲むお酒なのでは?

 ジュースとちゃうんぞ?


「さっきの焼酎ハイボールを頂けるか?」

「あ、はい」

「さっきより薄めで頼む」

「かしこまりました」

「俺にもウンと薄めで」

「私も薄めでお願いしますわ」


 ワインが無くなると分かった瞬間、焼酎に鞍替えしてくるじゃん。

 いやまぁ、いいんだけどさ。

 ……ハッ!? 折角欧州ごちゃまぜ料理だったのに、焼酎という日本要素をぶち込んでしまった!!

 ま、いいか、もう。

 多国籍には変わらないし、誤差だよ誤差。


「ウンと薄め……」


 ラベンドラさんやリリウムさんの薄め組は2:8くらいで作るけど……。

 ウンと薄めと言われるとなぁ……。0.5:9.5くらいでいいか?

 味するのかな、それ。


「カケル、お湯割りのお代わりを頼む」

「わしもじゃ」


 なお、飲兵衛二人はすっかりお湯割りが気に入ったようで。

 ……あ、


「ちょっとツマミ持って来ますね」


 ここが出番なんじゃないか? ゴー君に頼んでいたおつまみの。

 ハイボールだけをとりあえず作り、お湯を沸かしている間に庭へと向かい。


「ゴー君、イセカイカワブタ節出来てる?」

「ンゴッ!!」


 良く出来たゴー君の事だから確認は不要だけど、念のため。

 もちろん! という言葉を受けて中を見ると……。

 おー。

 片方はしっかり鰹節っぽく茶色になってて、もう片方はまだ白さが残ってるな。

 ……鰹節ってカビを付けたりするはずなんだよな。

 なんでこんな短時間で出来るんだろうね? 異世界のゴーレムって不思議不思議!


「……それは?」

「魚の身を乾燥加工したものです」


 リビングに戻ってきたら、真っ先に『無頼』さんに声を掛けられ。

 とりあえずイセカイカワブタ節を『無頼』さんに一本、ラベンドラさん達に三本渡す。


「齧るのか?」

「違います。持ち帰り用です」


 どこぞのゲームじゃあるまいし。


「……カケルが手に持っているのがツマミか」

「ですです。ちょっとソフトに仕上げて貰ったんですよ」


 それで上手くいくかは分からないけど。

 と言う訳で生ハム意識のイセカイカワブタ節、振る舞っていきましょうか!!

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― 新着の感想 ―
ワインソムリエはリリウムさん達で、それ以外の蒸留酒とかだとガブロさんと無頼さんがソムリエ似合いそう…
生ハム風とか絶対美味しいやつじゃないですか
俺もそうだけど、コークハイとかサイダーで割った方が良さそうじゃね?マジャリスくんなら 最近ラム酒にハマってまして……酒苦手だけど濃いめでも飲める…
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