こういう関係作者の癖()
その時、ふと閃いた。
このアイディアは、晩御飯に活かせるかもしれない。
と言う事でデザートを調達して帰宅した後、とあることをやろうと準備。
まずはイセカイカワブタを適当な大きさに切り、解呪。
その後は塩水を表面に塗ってゴー君の所へ。
「これを鰹節みたいにして欲しいんだけど……」
そう、思いついたアイディアとは鰹節ならぬ河豚節……ならぬイセカイカワブタ節を作ること。
「ンゴッ!!」
任せろ! との事なのでゴー君の中にイセカイカワブタを放り込みまして。
「こっちの二つだけはソフトな仕上がりに調整出来る?」
「ン~ゴ!」
俺の無茶な提案にもやってみる、と答えてくれるゴー君マジゴーレム。
前にね、生ハムみたいなかつお節っていうおつまみを貰ったことがあるんだけど、それがめちゃめちゃ美味しくてさ。
ワインに合わせてもいいだろうし、買って来た焼酎にも合うと思う。
なのでそれをイセカイカワブタでやって貰おうと思った次第。
「後で取りに来るね」
「ンゴンゴ」
これでイセカイカワブタ節は問題なし、と。
あの出汁でうどんスープとか作っても美味いだろうな。
なんて考えつつ、リビングに戻ると……。
「あ、来てたんですね」
みんな居た。
「何をしていた?」
「ちょっとゴー君にお願いがありまして」
「ふむ……」
美味く出来るか分からないから、イセカイカワブタ節の事は一旦秘密。
「何をすればいい?」
ドラゴンエプロンを装着するラベンドラさんに、今日の晩御飯の説明をば。
「スープは作っちゃったので、後はムニエルとカルパッチョですね」
「両方しよう。まずはカルパッチョからだ」
との事なのでお皿を用意し、お皿にベビーリーフを敷き詰めまして。
そこに、風魔法でうすーく切られたイセカイカワブタをきれいに並べ。
上からオリーブオイル、塩コショウ、少量のポン酢をかけて完成。
続いてムニエル。
切ったイセカイカワブタに塩を振り、しばらく置く。
置いてる間にカルパッチョを作ったものがこちらになります。
「水気をしっかり拭き取って、と」
出て来た水分を拭き取り、軽く薄力粉をまぶし。
オリーブオイルをフライパンに入れ、イセカイカワブタを入れて蒸し焼きに。
ひっくり返すタイミングで白ワインを入れ、更に蒸し焼き。
「ソースはどうする?」
「レモンバターソースにしましょうか」
イセカイカワブタには柑橘系の酸味が合うから、ソースもそれに合わせた物を。
出来上がったムニエルをお皿に移し、ムニエルを焼いていたフライパンにバター、レモン果汁、白ワインを入れて熱し。
アルコールが飛んだら塩コショウを振ってソースも完成。
後はそれぞれムニエルに回し掛ければ、イセカイカワブタの欧州大喧嘩コース料理の完成!!
スープをよそって並べ、ワイングラスも並べまして……。
「カケル……まさか……」
「姉貴からのワインが届きましたので」
ワイングラスで察したらしい四人と、ドイツからのワインがご対面。
ドイツのバーデンって所のワインらしい。
やや丸めの口当たりと、幅広い果実感。優雅に楽しむ一本……との事。
「ちなみにワイン以外にもお酒はありますんで」
と、飲兵衛二人向けに買って来た焼酎は、説明不要な下町のナポレオン。
二人の口に合わない可能性も考えて、料理で使えるであろう銘柄をチョイス。
紙パックなのもいいよね。
「どんな酒だ?」
「酒好きが好むお酒ですかね……」
焼酎を説明するの難しいな……と思ったのでこの説明。
少なくとも、お酒が苦手だけど焼酎を飲むって人は少ないんじゃないか?
割材として炭酸水も買っては来ている。
お湯割り、水割り、炭酸割り、と飲み方を工夫して飲んで貰おう作戦。
「今日は米じゃねぇのか」
「お米でもいいんですけどね」
折角だし、ここまで洋食に寄せたならバゲットでしょ。
……リゾットとか、向こうにもあるけど。
「それじゃあ、早速いただきません?」
「じゃな」
「正直空腹でたまらない」
「じゃあ皆さん」
「「いただきます!」」
と言う事でイセカイカワブタの欧州大喧嘩コースの食事――開始開始ぃ!!
*
「『無頼』のバカ……『無頼』のアホ……」
アメノサの政務室。
自分を置いて、一人翔の所へと行った『無頼』に呪詛の言葉を吐きながら、仕事を片付けるアメノサは。
目の前に積まれた書類たちを、ため息と呪詛を吐きながら片付けていく。
書類の内容はバハムートの血や米に関する研究の割り当てと、その研究につぎ込む予算の管理。
更にはニルラス国との貿易内容や貿易で発生する様々な利権の割り当て……と、おおよそアメノサ一人がこなすものではないのだが……。
「……? こんなに予算……必要?」
『無頼』やアメノサが居る国も一枚岩ではない。
あらゆる手段で私腹を肥やそうとする連中が、文字通りあの手この手で資財を自分の懐に引っ張ろうと必死。
それを止められるのが、賄賂などになびかない『無頼』とアメノサのコンビというだけであり。
アメノサがこの地位に居るのも、それを信頼している国王経っての頼みだったりする。
そもそも、アメノサも『無頼』も、本来は国王のお世話係にしか過ぎず。
国王が喜ぶようにと魔物を狩りまくっていたら強くなった『無頼』と。
その『無頼』が狩って来た魔物を、国の為にと最大限活用するように手を回していた結果、様々な動かし方を理解してしまったアメノサ。
この二人が居なければ、国は即崩壊……とまではいかないが、国王に群がる様々な政治家によって、国益を食いつくされるのは必須。
それでも、現状はアメノサの粛清や『無頼』の暗殺により、最悪の時期よりはマシになっているのだが……。
「……『無頼』。お姉ちゃんに甘い物ぷり~ず……」
頭脳労働に疲れ、机に突っ伏すアメノサは。
今頃美味しいものを食べているであろう弟の『無頼』に。
ただただ甘いものを懇願するのだった。




