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 ……あーあ、届いちまったか。


(なんじゃその言い草は)


 えー、姉貴からのワインが届きました。

 神様待望のワインです。

 姉貴は今ドイツに居るっぽいね。

 送られてきたのがドイツワインばっかりだわ。


(ふふふ……ついにわしにも春が来たー!!)


 ……大丈夫かな、こんな神様で。

 あと、まだ春が来たとは思いたくないかな。

 確かに桜は咲いたし、会社の同期はくしゃみ連発して目を擦ってはいるけれど……。

 まだまだ寒い。

 こんなの俺が知る春じゃないやい。

 ……まぁ、しばらくすると暑い暑い言ってると思うけど。


(ちなみに今回のワインのラインナップはどんな感じじゃい?)


 少々お待ちくださいね。

 ワインに詳しくないから画像検索で商品説明まで飛ばないといけないのよ。

 えーっと……。


「辛口の白ワインが多めみたいですね」

(ふむふむ)

「あと、アイスワインがいくつか」

(アイスワインは全て貰おうかの)


 ほいほい。

 じゃあ、二礼二拍手一礼からの――、


(ツマミも頼むぞい)


 ……あー、言われてた言われてた。

 んじゃあちゃちゃっと作っちゃいますか。

 思いついたアレンジメニューなんかも追加して。


「とりあえずカプレーゼかな」


 洗ってヘタを落としたトマトとモッツァレラチーズをスライスして交互に重ね。

 そこに岩塩とオリーブオイル。

 仕上げにバジルを千切って散らせばはい完成。

 次。

 洗って水気を切ったレタスをお皿に盛り、薄くスライスしてお湯に潜らせた玉ねぎを敷く。

 その上にクリームチーズを乗せて、イセカイカワブタの薄切りを軽く焼いて乗せてやれば完成。

 翔流手抜きカルパッチョ。


「二品でいいです?」

(うむ)


 許しを得たので改めて二礼二拍手一礼っと。


(うひょひょ~! 今夜は宴じゃぁっ!!)


 ……もしかしなくてもだけど、この世界のワインがおかしくしてる説……ない?



 仕事終わりにまさかもう一仕事することになるとはね。

 まぁ、神様に直接お供えするとか言う稀有な仕事なわけだけど。

 とりあえずそっちは片付いたし、晩御飯の準備……何だけどさ。

 作ってて思ったけど、カルパッチョ、滅茶苦茶美味しそうだったな。

 これまで日本食で攻めて来たし、ここらでイセカイカワブタを洋食に調理していくのもまた一興。

 折角ワインが届いたんだ、こちらも応えねば不作法と言うもの。

 ……飲兵衛用に焼酎買って来たんだけどね。

 これ飲ませとけば黙るかなぁって。

 あと、俺がお酒弱いせいで触れる機会が少なすぎたからね。

 これを機に、焼酎の美味しさも探していけたらと思う。


「前菜としてカルパッチョ、スープはイセカイカワブタでトマトスープに入れるとして……メインはまぁ、ムニエルでいいか」


 あまり無い知識でコース料理を考えていく。

 えーっと、ニンニクはまだあった。

 姉貴から送られた白ワインを料理に使うと全員から怒られそうだから調理用に一本買う。

 後は野菜とバゲットと……。

 ――と買って来たのがこちらになります。ドン!!


「作っとくのはスープくらいかなぁ」


 来てすぐ食べられるように用意しとくと、ラベンドラさん悲しむし。

 時間掛かるやつだけ先に作っちゃおう。

 玉ねぎと人参をみじん切りにし、イセカイカワブタを一口大の大きさにカット。

 鍋にオリーブオイルを入れ、刻んだ玉ねぎ、にんじん、ニンニクを入れて炒めまして……。

 玉ねぎがしんなりなったら白ワインをぶち込んで一煮立ち。

 煮立ったらトマト缶を入れ、メインのイセカイカワブタをぶち込みまして……。

 イセカイカワブタから出汁が出るだろうから、塩は少しでいいかな。

 後は水を入れて蓋をして煮込めば完成っと。


「……あ、ムニエルってフランス料理なのか」


 本日のメニュー、スープはズッパと言い換えればイタリア料理。

 カルパッチョもイタリア料理で、ムニエルはフランス料理。

 ……そこに合わせるワインがドイツワインと……。

 大丈夫かな? 怒られない?

 大丈夫だな、ヨシ。

 誰にもバレなきゃいいんだよ、こういうのは。


「だったらデザートをイギリスのお菓子とかにしてやるか?」


 ここまで来たらとことんカオスを突き詰めようって事で、イギリスのデザートを検索検索ぅ!!


「あ、これってイギリスのデザートなんだ」


 調べていて出て来たのは、丁度近くのケーキ屋さんに並んでいたとあるケーキ。

 何故だろうね、ケーキ屋さんやスイーツ店に何が並んでいるのかチェックしてしまう体になっちゃったよ。

 一体どこの何リスさんのせいなんだ……。


「じゃあ買ってくるか」


 スープの火を止め、デザートを調達に。

 今日も反応が楽しみですわね~。



「美味しい……」

「だろうなぁ」


 時は深夜、場所はアメノサの政務室。

 翔からの持ち帰りをアメノサに届けた『無頼』は、もっきゅもっきゅとカツおにぎりを頬張るアメノサを見守っている。


「進捗は?」

「周りのバカ大臣を説得するのに骨が折れそう」

「大変そうだな」

「あの場所で料理を食べてないと私と同じ価値観を共有出来ない。普通に失策」

「やっぱあいつ攫ってきた方が早くねぇか?」

「無理。神の加護が絶対にある」


 なお、話している内容は全く優しさの欠片も無いものだが。


「それに、カケルを攫っても、言う通りに料理してくれるとは思えない」

「それもそうか」


 一度自身の能力で血を抜こうと考えるも、それを防がれてしまったアメノサ。

 実は、生涯生きて来てそんな事はただの一度も起こった事はなく。

 それが発生したという事は、翔は特別な力を持っている、という証左であり。

 得体の知れなさ過ぎるものに、これ以上首を突っ込みたくはない、と言うのが正直な感想。

 ――なのだが、


「本当に美味しい♪」


 首を突っ込まなければ、美味しい食べ物にありつけず。

 そして、『夢幻泡影』が自分たち以上に首を突っ込んでいるのだから、という考えもある。


「デザートは何だった?」


 おにぎりをペロリと平らげ、出されるであろうデザートの事を尋ねるが。


「柑橘系のシャーベットだったな」


 『無頼』から出てくるのは感想のみ。

 その事に、持って来られてない事を察したアメノサは。


「明日のデザートは持って来て!」


 若干瞳を潤ませながら、強めに『無頼』に告げる。

 腕を掴み、その腕に爪を食いこませながら。

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― 新着の感想 ―
カケルママを拐かすと8000001の神さまも怖いけど レンジでチンの使い手を敵に回してえげつないことになる気がする……
シャーベット系持ち帰れないのはしゃーない。
こやつらはカケルへの敬意が足りませんな……。 異世界だと教えないのも納得。
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