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アメノサ「仕事があるのがいけない……あるのがいけない!!」

 まずは普通に。

 あさつきを巻き、そっと鍋に入れてしゃぶしゃぶすることおよそ五秒。

 ほんのりと透明感が消えてきたかなー位で引き上げて。

 ポン酢に潜らせて、いただきます。


「むほほほほほ!」


 うめぇなぁ!!

 軽く火が通ったおかげでもっちりとした食感の中にやや固めの食感が出来ててさ。

 その固さを貫こうと歯を立てたら、そこから肉汁がジュワッとね。

 サラサラでくどく無く、甘いその肉汁もあさつきの香りと爽やかさでサッと消える。

 そこに追い打ちのようにポン酢のさっぱり感と塩味が効いてきて、総合評価二兆点のしゃぶしゃぶですわよ。


「うぉっ!?」

「流石だな……」

「とっても! 凄く凄い美味しいですわ!!」

「強烈な旨味の爆弾じゃな……」

「ただただうめぇよ」


 五人も最初の一口で感動している様子。

 と言うか、気にしてなかったけど『無頼』さんも同じ鍋でしゃぶしゃぶすることに抵抗感ない感じだね。

 意外と異世界でもその辺の意識は無いのかな?


「タレをアレンジしていいという事だったな」

「ですね」


 ちなみに俺が参考にしたぼうしゃぶしゃぶ店だと、俺が用意したもののほかにニンニクやら生姜やらワサビやら。

 本当に香辛料と思えるものはいっぱいあるんだよね。

 まぁそこはサムギョプサルの時同様個人でやる限界って事で。


「ちょっとずつ食べてみていいか?」

「どうぞどうぞ」


 恐らくは漬物とかも馴染みが無いであろう『無頼』さん。

 断りを入れてからたくあんとか、柴漬けをちょっと摘まんで味見を開始。


「こいつら……昨日飲ませてもらった酒に合いそうだな」

「まぁ、漬物で飲む人も居ますけど……」


 そもそもが漬物は米を食べるための物で。

 その米から作られている酒が漬物と合わないわけ無いよね。

 上杉謙信とか梅干しで酒を飲むのが大好きだったとか聞いたことあるし。


「ほぼ生でしっかりと身の旨味を感じるのが一番美味いな」

「あら? 火を通して程よい歯ごたえになった頃合いも捨てがたいですわよ?」

「と言うかお前ら、もみじおろしは試したか? ピリッと来る刺激がいいアクセントになるぞ?」

「意外とたくあんが合うぞい。その後に掻っ込む米がまた最高なんじゃ」

「マジで知らない味しかしねぇが……なンでこンなにうめぇのか……」


 と、みんな思い思いにしゃぶしゃぶを楽しんでる。

 うむ。やはりこうして食事は楽しくするもんだよね。

 

「……ゴマダレにも負けないの凄いな」


 正直、さ。

 一応豚肉っぽさがあるからとゴマダレも用意したんだけど……。

 あのゴマダレの味よりも、イセカイカワブタの旨味の方が勝っちゃうんだもんな。

 ゴマの風味とコクが、イセカイカワブタの旨味をより引き立てる脇役に大変身。

 やっぱりあさつきを巻いてしゃぶしゃぶしたけど、ゴマの香りとあさつきの爽やかさの相性もいい。

 意外と……と言うかめちゃめちゃ美味いぞこれ。


「ところでカケル」

「お酒は無いです」

「……そうか」


 流石に飲み過ぎなのよ……俺が。

 二日飲んだら一日は休肝日として空ける。それが俺のマイルール。

 飲まなければいいだけなのはそうなんだけど、やっぱり誰かが美味しそうに飲んでるとちょっとだけでも飲みたくならない?

 俺はなる。

 なので俺が飲まない日は強制で全員休み、いいね?


「そういや、ここで飲んだ酒、俺たちの国で作れないかとアメノサが画策するみてぇだぞ?」

「本当か!?」


 仕事に追われてこの場に来られていないアメノサさん、ちゃんと仕事をしてるみたい。

 ――仕事に追われてご飯を食べられない……?

 ウッ……頭がっ……。


「バハムートの血以降、おたくらの国とは親密な関係になってるらしくてな。米に関する合同研究と、そこからの加工品について共同で進めていくんだとさ」

「色々な技術を隠し持っているともっぱらの噂でしたものね。あなた方の国は」

「まぁ、戦争国家なんてやってたからな。そりゃあ技術だけはあるってもンだろ」

「なお物資」

「だからこうして友好国となったあんたらの国に頼ってるってわけだ」


 しゃぶしゃぶ美味しい。

 大体だよ? 自国の政治にすら関心が薄いと言われる日本人の前で、異世界の国の政治の話とかされたところであまり興味持てないんだよね。

 一番大事なのは異世界でも日本酒が作られそうだという事。

 それはつまり俺が買ってくる必要が無いって事だ。

 ……焼酎の事とか黙っとこう。

 言えば買って来いとなりかねないし。

 あと、焼酎についてはマジで苦手で、異世界組が消化の頼りになっちゃうからってのもある。

 個人の感想だけどトイレの芳香剤だよ、焼酎は。


「そろそろ野菜も入れますか」

「どうする?」

「そのまま入れて、しゃぶしゃぶした時に適当に一緒に引き上げてください」


 と言いながらある程度の野菜をドバーと投入。

 餅は一旦入れずにステイ。

 で、しゃぶしゃぶした後に大根の桂剥きを掬いまして。

 ポン酢にちょいちょいと浸して食べる!

 ……あー! 美味い!!


「出汁めっちゃいい味出てますよ!」


 まず何より出汁がうめぇよぉ。

 目を見開くレベルで美味かった。

 そこに薄切り大根のまだ芯に残る食感と汁気。

 やや辛みがあって、でもそれは少しだけツンと来る程度。

 その刺激の後にイセカイカワブタの旨味と甘みが来るんだぁ。

 最高です。

 他の野菜も試したい。


「たっぷり出汁を吸ったきのこが美味い」

「白菜もいい味してますわよ?」

「大根の甘さと辛さが絶妙な調和を……」

「ネギとの相性が抜群じゃわい」

「このオレンジのやつの甘さが良いな」


 この出汁凄いよ。

 さっきまで肉! って剥いてたみんなの視線が、出汁を吸った野菜!! に変貌してるんだもん。

 主役を変えてしまうほどの美味しさの出汁。

 これだけは毎日差し入れして欲しいレベル。

 この出汁で味噌汁とか作ったら絶対に美味い。


「カケル!」

「はい」

「野菜はまだあるか!?」

「もう少しくらいなら……」

「今の内に切っておこう。どうせ足りなくなる」


 と、ラベンドラさんに勢いよく言われ、俺は冷蔵庫の中の野菜を全て放出することに。

 キャベツとかレタスとかあったけど、まぁ、合わない事は無いでしょ。


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― 新着の感想 ―
カケルママの焼酎の感想が自分のクレソンの感想みたいで草 草だけに クレソンの茎噛んだら安物香水の味がすると思うのだ 香水食べたこと無いけど
本音さ、異世界って魔物とかはびこってるなら人間同士で戦争なんてしてる暇無いだろ…… 美味しい魔物も多いし
仕事に追われてこの場に来られていないアメノサさん、ちゃんと仕事をしてるみたい。 ――仕事に追われてご飯を食べられない……? ウッ……頭がっ……。 アメノサ「仕事があるのがいけない……あるのがいけない…
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