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同族発見

 本日の日本酒は、甘い煮付けに合わせるという事でやっぱり辛口。

 『諏訪泉 純米吟醸 満天星』ってやつをご用意しました。


「……昨日の酒と違う?」

「そりゃあ」


 日本には醸造所だけでも千四百あるらしいし。

 銘柄に至っては一万以上とか。

 そんなにあるのに、同じ銘柄を出すのもなんだかもったいない気がしない?


「早速貰うか」

「じゃな」


 と言う訳で飲兵衛二人にお猪口を渡し、互いにお酌してグイと飲む。


「かなりクリアな感じがするな」

「口当たりが優しいんじゃわい」


 と、一口目の感想を言った後、煮付けを食べた後に日本酒を迎え入れ。


「煮付けの甘じょっぱい味付けに抜群に合うな」

「酒自体の旨味と煮付けの旨味が混ざり合うのぅ」


 ご満悦の様子。


「強いお酒をよく飲める」

「あら、ここで出されるお酒は確かに強いですけれど、どれも飲みやすさがありますわよ?」

「一口試したらどうだ?」

「むぅ……」


 なんてやり取りをして、アメノサさんがお猪口を差し出してくる。

 お酌しますよ。どうぞどうぞ。


「……美味しい」


 そう言えば、昨日もアメノサさん、お猪口一杯しか飲んでないんじゃないの?

 もしかして俺と同じアルコールに弱いタイプか?

 ナカーマ。


「お酒の後に食べるお茶漬けが凄く美味しい」

「分かる。この胡麻の風味がたまらねぇンだよな」


 お茶漬け、凄くよく出来てたんだよな。

 まずヅケの浸かり具合。これが完璧。

 もしかしたら過去一上手に出来たまである。

 そして半煮え状態のイセカイカワブタから美味しい出汁が出て来ててね。

 アッツアツの緑茶に溶けだして、市販のお茶漬けのもとよりも強いうま味と複雑繊細な香りを出しておりまして。

 そこに醤油のコクやゴマの風味、アクセントのワサビや大葉がそれはもう合い過ぎてまして。

 このお茶漬けと青菜の漬物、そしてほうじ茶があればそれだけで大満足朝食になりますわよ。


「火を通して無いのは驚いたけど……」

「本当に完璧に解呪されてるしな」

「カケルの解呪技術は凄いですわよ?」

「我々もカケルに解呪を頼む肉がちらほらある」


 解呪技術と言うかなんというか……。

 どう考えても八百万パワーの炒り塩水や、清酒の力がヤベーって話なんだけど。

 俺自身は何も持ち合わせちゃいませんよ。


「解呪屋としてやっていけそうなのに」

「ンな事したら教会の連中が攫いに来るだろ」

「そこから監禁、解呪の強要でいいようにこき使われるだろうな」

「どう考えてもカケルが幸せになりませんわ」


 ……と言うか、俺の解呪に必要な塩も清酒もこの世界……現代日本だから成り立ってるわけで。

 俺がこの身一つで異世界に行ったところで、出来ることなんてたかが知れてる。

 それこそ、最初に飛ばされるのが町じゃなかったら野垂れ死にするくらいが関の山だと思うよ。


「つーか俺らもここに来られるようになったわけで、他の連中よりもそれだけでクオリティオブライフが上がってるだろ」

「……『無頼』はいいよね! 私は……政務があるから……毎日は来られない……」


 なんか泣き出したんだけど!? そんなに毎日ご飯食べたかったの!?


「酒入ると泣きやすくなンだ。無視でいいぜ」


 泣き上戸なのか。

 ……お猪口一杯の酒で泣き上戸になる? これが一国の丞相の姿か?

 しかも泣いてる理由はご飯が食べられないからなんだけど……。


「俺が持ち帰り商品を届けてやっからよ」

「ぐすっ……約束……」

「おう、約束」


 まるで子供をあやすかのように、声を掛ける『無頼』さん。

 お兄ちゃんポイントがどんどん溜まっていくな。


「破ったら血液を一滴残らず搾り取るから」

「マジで出来るからなぁ、こいつ」


 なお、あやされる側は大概物騒なもよう。

 脅しでも何でもなくそれ出来るのは流石に強すぎる。

 ……あれ?


「そう言えば、前にリボーンフィンチにバハムートの血を吸わせてはって話あったじゃないですか?」

「あったな」

「ありましたわね」

「あれ、アメノサさんにして貰えばいいんじゃないですか?」

「……あー」


 ? あ、これは流石に試してるな。


「結局、今のところは動きが見られないから、警戒するだけに留まることになった」

「それ以上に、アメノサが採って来た『バハムートの血』が貿易の商品になってな」

「倒すよりも、長期的に利益が見込めると考えたらしい」


 ……まぁ、琵琶湖サイズの魔物なんでしょ?

 異世界の事情は知らないけど、そう簡単に倒せるようなものでもないんだろうし。

 ただまぁ……何と言うか。

 警戒状態で様子見って、なんだか日本っぽいなぁと思ってしまう。

 

「で、俺とアメノサだけじゃあバハムートのダンジョンには行けねぇからな」

「我々が護衛と案内という形で付き添うことになった」

「ハッ! その時なら一緒にここに来られる!?」

「そんな頻繁には無いだろうがな……」


 この時、アメノサさんに電流走る。


「まず自国の研究者にバハムートの血を研究させて、有用な使い方を複数確保。それらを他国に技術として売却すればバハムートの血は需要が高まる……」

「何言ってんだ?」

「恐らくだが、世界でバハムートの血の需要を高め、その供給の為に我々と同行する機会を増やそうと画策しているんだろう」

「同行しとればここに来られるからな」

「なンでそンな事に過去一真剣に考えてンだよ……」


 『無頼』さんに呆れられながら。

 そして、たまに『夢幻泡影』に助言や訂正を入れられながら。

 アメノサさんは、何とか俺のところでご飯が食べられる機会が増えるよう、大真面目に思考を巡らせるのだった。

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同族と言うかママよりお酒に弱そう?
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