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隠されし 禁断の ……

「……なにこれ?」

「羊羹か」

「美味しいですのよね」


 お皿に切った羊羹を並べ、爪楊枝を刺してのご提供。

 初見であろうアメノサさんは困惑してるけど、何度か食べたことあるリリウムさん達は既に爪楊枝を手に取って口に運んでたり。

 ――早くね? 俺でなきゃ見逃してるね。


「しっとりした食感と程よい甘さが最高ですわ!」

「お茶に合うんだこれが」

「……ほーん?」


 ちなみに羊羹と一緒に八女茶もご提供。

 まだまだ茶葉が残ってたからね。


「確かに甘ぇが、甘すぎるわけじゃあねぇな」

「うむ。甘いのが苦手でも食べられる程よい甘さじゃわい」


 で、ガブロさんは知ってたけど『無頼』さんも甘いの得意じゃない勢か。

 酒飲みだしな。本来の意味の辛党だし、甘党では無いわな。


「ちなみに羊羹は日本酒に合うとの事なので今日買って来てみたんですけど……」

「早速試す!!」


 今日のデザートを羊羹にした理由を話したら、二人とも速攻でお猪口に日本酒注いでら。

 ……よく残ってたな、てっきり飲み干したもんだとばかり。


「それを聞いたら試さない手はない」

「馬鹿飲兵衛二人、日本酒を寄越す」

「ほらよ」


 ……バカな!? お酒を簡単に手放しただと!?

 『無頼』さんはまさか血液の代わりにアルコールが流れてるような人物ではないのか!?


「どうせ転移魔法やアメノサに奪われるしな」

「その通りじゃわい」


 あ、それもそうか。

 ……? 転移魔法は何度も見てるから分かるけど、アメノサさんも何かしら持ってるのか。

 そう言えばさっき、四人の血を頂いたとか言ってたような……。

 もしかして吸血鬼チックな能力だったりするのかな?


「染み込むような甘さに、お酒のキレと香りが丸く膨らむ……」

「辛口なのが良いな。甘さと辛さでお互いを高め合う」

「甘い物にも合いますのね。美味しいですわ」

「日本酒と言うのは奥が深いわい」


 慣れたもんで、『夢幻泡影』の四人は日本酒と羊羹のマリアージュを楽しんでおられますが?

 対して『無頼』アメノサ組はと言うと……。


「美味しいのに美味しいのを掛け合わせたら、そりゃあ美味しい……」

「単体で美味ぇんだから一緒に食っても美味いわな」


 どっちかと言うと、どちらかを食べたり飲んだりして、その後でもう一方を、みたいな。

 日本に来たばかりの外国人が、おかずを先に食べちゃって米が残っちゃう、みたいな感じになってる。

 アメノサさんは明らかに羊羹の減りが早いし、対して『無頼』さんはお酒の進みが早い。


「……美味しかった」


 最後にお猪口のお酒をチロリと舐めて、残ったお酒を『無頼』さんに渡し。

 手の甲で口周りを拭うアメノサさん。

 ……ティッシュをどうぞ。


「?」


 なにこれ? みたいな顔してるな。


「口周りはそれで拭け、と言う事だ」

「……なるほど」


 マジャリスさんからの助言で俺の渡した意図を察し、ティッシュで口周りを拭くアメノサさん。


「……布?」

「紙ですね。まぁ、詳しく言うと違うかもですけど」


 材質はパルプとか書かれてるから、紙って言うと怒られそうだけど。

 この人らに説明する時に、パルプが果たして正しく翻訳されるかどうか……。

 まぁ、その辺は誤差だよ、誤差。


「手触りが柔らかくて、優しい」

「この場所のアイテムはどれもそんな感じだ。機能的で無駄がなく、先進的。我々が理解出来ない作りな物も多々ある」

「本当に隔離されてる場所……」


 ふと思ったんだけどさ。

 リリウムさん達はこの場所が元居た世界では無いと知ってるわけで。

 それでも、こうしてアメノサさん達には、異世界の中で隔離された場所と説明してるんだよね。

 なんか考えがあるんかな? 異世界に来たと知ったらマズい相手とか?


「生き物とかは? さっきの見た事無い魚たちとか」

「わしらは知らんな。カケルに聞いてもいいが、理解出来るかは分からんぞい」

「普通に海に居る魚ですよ?」


 俺に話を振っときながら、ガブロさんが目配せをしてくる。

 なんだろう? 多くは語るなって感じなのか?


「……見た事無い」

「海だけでどれほどの魔物が居ると思う? その全てを把握など、当然出来ていない」

「その漏れた魚たちが、こうして食事に並ぶのでしょうね」

「……つまり、未発見の食材を食べられる場所……」

「そう捉えていいんじゃないか?」


 ……『夢幻泡影』の四人は、恐らくだけどこの場所が現代日本ってのを隠そうとしてる。

 理由は分からないけど、恐らくは『無頼』さんとアメノサさんが、何かしら関係するはず。

 ――後で教えて貰うか。


「カケルって言ったか?」

「はい」

「酒だけ残った。つまみになるもンはねぇか?」

「ちょっと待ってくださいね?」


 『無頼』さんからのリクエストを頂いた。

 ん~……つまみになるもの。

 日本酒だし、味噌とか塩じゃダメ?

 ……よし、焼き味噌にしよう。

 ネギを刻んで味噌に混ぜて、その味噌を木べらに塗ってコンロで炙る。

 大葉の上に炙った味噌を落としたら完成。


「焼き味噌です」

「見た事ねぇもンが出て来た……」

「少量食べてお酒を飲んでください」

「私も食べる……」


 まぁ、こっちに来たばっかの二人には珍しいよね。

 アメノサさんも『無頼』さんと並んで焼き味噌をパクリ。

 ちなみにスプーンで食べてるよ、二人とも。


「香ばしさとしょっぱさが酒に無茶苦茶合うな」

「でも味が濃い……さっきのお米が欲しい……」


 分かる、分かるぞアメノサさん。

 焼き味噌はご飯の友に最適なんだ……。


「カケル、今の間に持ち帰りの料理を……」

「あ、分かりました」


 二人が大人しくなったうちに、って事だね。

 ただまぁ、持ち帰りの料理すら俺は用意してないんだけど。


「何を作る?」

「じゃあ、パンケーキを」


 こういう時のために買っていたホットケーキミックス……君に決めた!

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― 新着の感想 ―
懐かしいエリアワードが(笑)
世界的には別の国もその国特有のグルメになれば活性化しそう(語彙力崩壊)
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