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俺が触ると固まるぜ

 さぁて?

 チーズ水のレシピをよろしくと言われたんですけど……あるぜ、素晴らしいのが。

 と言うか、一番最初に浮かんだんだよなぁ――鍋。

 時期的にもギリギリだし、温かくなる前に駆け込みで鍋をしたい。

 ……と言うよりも最近寒すぎな?

 暦上はとっくに春ですぜ? 気温上げよ?


「ふぅ、ただいま」


 てな感じで買って来ました鍋の具材。

 ちなみに今日はトマト鍋にする予定。

 チーズ水にトマト缶を加えて、具材を煮込む。

 ……加熱するとチーズの特性を持つようになるチーズ水で煮込めるかは要検証だけど。

 ――某漫画の能力みたいだな、チーズ水。

 水とチーズ、両方の特性を併せ持つ♠


「バカな事やってないで作ろ」


 別に変なポーズとかは取ってないよ? いいね?

 と言う訳でお鍋にチーズ水を入れ、トマト缶をドバドバ。

 顆粒コンソメを入れたらお鍋のスープが完成。 

 とりあえず加熱して……と。

 よし、顆粒コンソメは溶けたな。

 混ぜ合わせてると明らかに抵抗が強くなるの面白いな……。

 ちょっと味見しよう。


「ん! んま!!」


 トマトとチーズとコンソメのコンボが不味いはず無いってね。

 しっかり美味しかった。

 あと、気付いたけど全体がチーズみたく固まるわけじゃあないっぽいな。

 なんと言うか、刺激を受けたところだけチーズみたく伸びるみたいな……。

 詳しくは知らないけどなんだっけな……ダイラタンシー現象だとか言わないっけ?

 水溶き片栗粉の上で足踏みしたら固まるやつ。足踏みを止めると液体に戻る……みたいな。

 あんな感じ。

 見てる分には水だけど、手とかお玉で掬おうとすると触れたところからチーズになる感じ。

 ……だから螺旋回転させたら襲われたのか……ラベンドラさん達。


「てことは冷ました状態で具材を入れて、かき混ぜずに火にかければ煮込めるな」


 と思ったけどさ。

 そもそも沸騰するだけでチーズ化しない?

 なので冷ますことなく具材をドボン。

 鶏肉、豚肉、つみれにソーセージと、お肉三銃士にくわえ。

 キャベツと玉ねぎ、ブロッコリーの野菜三帝。

 そこにしめじをぶち込めばお鍋の準備はバッチリ。

 後は弱火で加熱加熱~。


「さて……デザートなわけだが……」


 一旦ここで原点回帰をしようと思う。

 あの四人に初めて食べさせた現代スイーツ……それはプリン。

 あの時はデカクカタイタマゴを何とか使おうとして作ったものだけど……。

 今回はアレだ……ちょっと俺の頭の中の脳内レシピがその……乏しくて……。

 と言う訳で原点回帰です。

 まぁ、使うのはリボーンフィンチの卵だし、味付けにチーズ水も使うし。

 卵メインのプリンってよりは、チーズプリンだね、イメージは。

 しかし、だがしかし。

 いかにチーズプリンと言えど、出来立てで伸びるような代物はそうそうあるまい。

 てな事でそれを目指して作りましょ。

 

「まぁ、チーズ水を混ぜるだけなんだけど」


 プリンを作る工程で牛乳を混ぜるけど、その内の少しをチーズ水に置換。

 後は蒸し焼きにする直前まで持って行き、食べる前に加熱すれば完成っと。

 ……ふと思ったんだけどさ、これ、ゴー君に焼いて貰ったら窯焼きプリンになるのでは?

 でへへ、ゴー君にはちょっと多めに抗菌土をあげちゃうか。

 頑張って貰わないとだもんね。


「でも、窯焼きと普通のプリンってあまり違い分からんよね?」


 俺だけ?

 何となく字面で美味しそうって認識しない?

 と言うかそもそも窯〇〇って言葉が既においしそう感ある。

 窯焼きとか、窯出し、とか。

 なんなんだろうね、この感覚。


「秘蔵の……みたいな感じに思えちゃうんかな」


 などと自問自答しつつ、行ってるのはお米研ぎ。

 ……お米も高くなったわね。

 姉貴の仕送り分で買ってるから、俺の懐にダメージは無いんだけどさ、今のところ。

 どこまで行くんだろうなぁ、と軽く恐怖を覚えてる。

 せめて今くらいで持ちこたえてくれ……。

 ってのも、知り合いに米農家さんがいると言いづらいのよな。

 金が回らんとはよく聞く話だから。


「どうせ移民を受け入れるなら、異世界から受け入れたらいいのに」


 主にエルフとか。

 ……何だろう、似合わない気がする。

 なんかエルフはスーツ着て商社マンやってるイメージがあるな、何故だ?

 なんてアホな事考えてる間に米を研ぎ終えたので、炊飯器に入れてスイッチオン。

 お鍋の様子をチラ見しつつ、ゴー君への土やりへ。

 今日はお仕事が待ってるからね、一杯食べるんだぞ、ゴー君。



「計十二名。結構引き抜かれましたね」

「構わん。新天地での生活に期待しておこう」


 ニルラス国玉座の間。

 報告を確認しながら前を向いた国王は。


「それで? 我ら推薦の料理人は?」

「既に王都への引っ越しの手配、並びに構える店と仕入れ先までを手配済みです」

「結構。城の調理士を弟子として付けたか?」

「抜かりなく。全てを吸収して戻ってくると意気込んでおります」


 現在の状況をソクサルムに確認。


「また、周辺国共同出資の料理学校の設立と、調理士の交換留学に関しての報告もあがっております」

「まとめて確認しよう」


 そうして渡される報告の束に、思わず眉をひそめた国王だったが。

 これも平和の為、とため息をつきながら報告を読み込んでいく。

 そんな国王は、ソクサルムが寄越さなかった報告に気が付いていない。

 その報告は、調理士の交換留学に関するものであり、その対象者は。

 『サバウディア・ラベンドラ』となっていた。

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― 新着の感想 ―
ラベンドラさんは留学の話を受けても忘れて食材探ししてブッチしそう
ラベンドラさんは無理じゃね??ただ教えるのが下手って感じもしないし教えるのが嫌いって感じもしない……ヴァルキリーの調理師さんに教えてた時そんな感じだったし ラベンドラさん引き抜けないのは異世界に来れ…
うーむ…どんな条件出されてもラベンドラさんが交換留学を了承する未来が見えない… だってカケルと料理の話してる方が楽しそうなイメージがするんだもんwww
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