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お願いだから影響されないで……

「離せ! 飲ませろ!! 俺にチョコを!!」


 マグカップを突き出し、チョコレートファウンテンにかざすマジャリスさん。

 なんかさ、チョコフォンデュやってたら我慢出来なくなったのか、チョコをそのまま飲むとか言い出しやがりまして。

 フルーツとかを全部食べ終わったらいいですよ、と言ったら、一人で全部食べようとして……。

 そんな事を許すか、と、リリウムさんやラベンドラさんと俺には見えない魔法の攻防を開始。

 結論として、リリウムさんには敵わなかったよ……。

 という事で、今度はチョコをカップに直接移して飲もうと画策してるらしい。

 まぁ、それも未然に防がれてるんですけどね。


「まぁ、最後にチョコレートドリンクとかにしても美味しいですし……」

「やだ! 俺はチョコを飲みたいんだ!!」

「わがまま言うんじゃありませんわ」

「チョコ!!」


 もはや子供なんだよなぁ。

 でもまぁ、俺がチョコレートフォンデュを堪能し尽すまでは待ってほしいかな。

 と言う訳で俺はマシュマロを……。

 うむ、安定。

 マシュマロの柔らかさとチョコの甘さが最高なんだよなぁ。

 なんだろうね、このチョコレートフォンデュって。

 ただ流れてるチョコを自分の好きな具材にコーティングするだけで、ここまで胸が躍るんだもん。

 ……ただでチョコは流れないが。


「サクサクとした生地にチョコをコーティングする背徳感よ」

「栗も最高の相性ですわね」

「やはりイチゴじゃよ、新一」


 誰が新一だ誰が。

 俺は薬飲んで体が小さくなったりしてないぞ。


(なるほど? 身体に変化をもたらす薬とな……)


 あ、やべ。

 なんか異世界の神が反応した……。

 これはもしかして、ダンジョン内に若返りガスとかの罠を設置されちゃうやつでは!?


(お主、楽しんどらんか?)


 ……バレました?

 いやぁ、異世界でしか出来ないような事象って、やっぱり興味があるというか……。


(ダンジョン内の罠に若返りガスなんて仕込んだら、不老不死をもくろむ輩がこぞって押し寄せるじゃろうが)


 ……それもそうか。


(神の権能としてそれとなく匂わせておくかの。そうすれば欲にまみれた聖職者共がこぞってワインを差し出すじゃろ)


 ……神様だからいいんだけどさ。

 たまに思想が傲慢過ぎる時があるよね。

 神様なんだけどさ。


(転移の度にバハムートの血はいくらでもくすねられるし、わしだけ先にこの世界レベルのワインを楽しめる寸法じゃ)


 まぁ、やってることは可愛い……可愛いか?

 でも、美味しいワインを飲みたいってだけだし。

 ……『夢幻泡影』のみんなには知らさないでおこう。

 知らぬが仏って言葉もある。


(神じゃが?)


 分かってますっての。

 はい、イチゴのチョコレートフォンデュですよ~。


(すまんのぅ)


 食うんだ。

 ちゃんとピックは残してるし。

 まぁ、いいか。


「カケル、このチョコレートフォンデュとやら、他にどんな具材を使うんだ?」


 具材も残り少なくなってきたところで、ラベンドラさんから質問が。

 そうだなぁ、


「酸味がある果物とかは合いますね。あとは柔らかいものも」

「柑橘系という事ですわね」

「一応、野菜も合うって話ではあります」


 調べてみたら、人参とかかぼちゃとかも美味しいらしい。

 ……でもさ、それらは日本の品種改良された甘いやつ限定じゃない?

 エグみとか、苦いのだとチョコと合わなさそうなんだけど。

 ――そうじゃん、


「あと、ポテトチップスとかも合いますよ」


 売られてるしね。片面にチョコがコーティングされたポテトチップス。

 あれ好きなんだよな、俺。

 会社の同僚は、


「甘いのかしょっぱいのかどっちかにして欲しい」


 って言ってたけど。

 甘くてしょっぱいのが美味しいんじゃないか。


「なるほど? 単純に薄くスライスしたフライドポテトだな?」


 あ、そもそも異世界に油で揚げるって調理法が珍しかったから、ポテトチップスなんて無いのか?

 でもフライドポテトはあるんだ。


「です。塩を振って、片面にチョコをコーティングします」

「しょっぱいのと甘いのが一緒にならんか?」

「なりますけど、それが美味しいんですよ」

「ふむ……」


 これで俺が今まで読んできた作品だと、ポテトチップスが異世界で流行るんだけどなぁ。

 でも、現実世界でもポテトチップスは大人気だし、そもそも流行らない理由が無いか。

 じゃがいものマンドラゴラ君ごめんよ。

 君の需要が上がっちゃったよ。

 可能な限り逃げてくれ。『夢幻泡影』に見つかったら最後、絶対に逃げられないだろうけど。


「ふぅ、堪能した」

「お茶会に引っ張りだこでしょうね、この魔道具を作れれば」

「チョコ!! 飲むぞ!!」

「分かっている。……カケル、分解を手伝ってくれ」

「分かりました」

「チョコの一滴も逃さずに魔法で掬いとる。それを五人で綺麗に分けるぞ」


 あ、これもしかして掃除が要らない奴では?


「分解の時にちぃとばかし調べさせてもらうぞい」

「もちろん構いません」

「明日一日はガブロは図面に写す作業が入る。邪魔をするなよ?」

「心得た!」


 と言う訳で、マジャリスさんが待ち望んだチョコレート直飲みタイム。

 俺? もちろん辞退して四人で仲良く分けて貰った。

 すっごい美味しそうにチョコレートを飲んでたよ、マジャリスさん。

 ……色々と心配になるなぁ。

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― 新着の感想 ―
エルフ、生活習慣病の危機? この人たちなら魔法でどうにかしそうだけど
「離せ! 飲ませろ!! 俺にチョコを!!」 マグカップを突き出し、チョコレートファウンテンにかざすマジャリスさん。 なんかさ、チョコフォンデュやってたら我慢出来なくなったのか、チョコをそのまま飲むと…
チョコレートキメすぎてダークエルフになりそう
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