俺はまともだよね……?
「なるほど、バハムートの血か」
「です。それが一番品質的に上がるそうです」
先ほど聞いた神様の感想を伝えたら、ラベンドラさん達は目を輝かせながらメモを取ってた。
「熟成は三年程、と言っていましたわね?」
「ですね」
にしても……三年か。
ワイン全体で見たら短いんだろうけど、やっぱり俺としては長いと思うな。
なんとか短くならないかな? あと、異世界のワインを俺も飲みたいんだけど、そこんとこどう? 神様。
(う~む……じゃがわしのワインを異世界に持ち込むのは……)
一口、一口だけですから!
(むむむ……)
お願い! 先っちょ! 先っちょだけだから!!
(今度じゃぞ)
よし、これで俺は世界で唯一異世界のワインを口にする権利を得たわけだ。
世界中のワイン愛好家から刺されても文句言えんな、こりゃあ。
「これで我らの世界でもカケルの世界のワインのような品質が楽しめる……」
「感無量ですわね。ワイン製造の段階を何段かすっ飛ばしたようなものですわ」
「唯一のネックはバハムートの血か。……あいつに手伝わせれば造作もないな」
「今後も手伝うじゃろうか? あやつ、一国の丞相じゃろ?」
……聞いてない。僕は何も聞いてない。
「小国なのですからあれなら一度滅ぼして彼女だけ登用すればよろしいのではなくて?」
聞いてませんんんんん!!
怖いって! 政治的な話から物騒な話に飛び過ぎなのよ!!
「むしろ小国なのを活かし、バハムートの血を向こうの特産としてこちらに輸出、バハムートの血の確保の為に我々に依頼をするしかなく、向こうの金でバハムートの血を買う計算とすれば、こちらの国は懐を痛めずに高品質ワインの生産が可能に……」
「あら、それいいですわね。……と言っても、あの方は一度に結構量の血を確保出来るみたいですし、そう頻度は高くなさそうですけれど」
ちなみに今はみんなで仲良くピザ生地を伸ばしている所。
材料はあるし、この際自分で好きなようにピザを作ろうって話になったんだよな。
「カケル、炒り卵が欲しい」
「じゃあ作ります」
と言う訳で久しぶりに登場リボーンフィンチの卵。
……あれ? そう言えば……。
「リボーンフィンチって血を吸う鳥なんですよね?」
「そうじゃぞ?」
「で、残機制なんですよね?」
「そうだが?」
「…………バハムートの居る場所に、めっちゃ残機持ったリボーンフィンチを複数放ったら、その内失血死するのでは?」
多分、生半可な数じゃあ効果は無いと思うけど。
それでも、何とかなりそうじゃない?
「カケル……それは……」
「あまりにもその……惨くないか?」
「えっ?」
「さ、最終手段として頂いておきますわね……」
……どうしよう、エルフ側からまさか惨いなんて言われると思わなかった。
だって、四人で歯が立たないんでしょ? だったら、普通じゃない方法で倒すしかないじゃん……。
「よし、後は焼くだけだな!」
と言う訳でピザが完成。
えーっと、マジャリスさんのは……トマトソースに七色蟹、スライス玉ねぎにチーズのピザか。
リリウムさんがホワイトソース……めっちゃラピスラズリ個体を持ってるな。
ガブロさんは……まさかだけどラピスラズリ個体の溶けたオリーブオイルをソース替わりに使ってやがる!?
そこにたっぷりの蟹、カニ、かに。
文字通りカニ尽くしのピザ。
ラベンドラさんのはトマトソースに炒り卵、ブロッコリーにコーン、そして蟹。
他の三人と比べて彩り豊かで大変よろしい。
見た目が一番美味しそうなのはラベンドラさんだな。
……卵が緑だったり、蟹の身が七色なせいで彩りがいいというか良すぎる気がするけど。
「待て、カケル」
「はい?」
「そのピザは何だ?」
「? ハーフ&ハーフですけど?」
俺は四人みたく何枚もピザを食べられるほど胃が大きくないからね。
ピザ一枚を半分ずつ別のソースで作ってみた。
トッピングはラベンドラさんと一緒だけど。
「ズルい」
「俺は皆さんみたく二枚も三枚も食べられないんですよ!!」
「しかしそうか……そう言う作り方もあるんだな」
「まぁ、俺が知ってるのだと最大四つに分けられますし」
でも、あっちもソースは最大二つだったような……。
まぁ、複雑にし過ぎると作る人が困るし、現実的にソース二種類が落としどころな気がする。
「ではゴーレムに焼いて貰おう」
「焼いてる間にすることがあります」
「……何だろうか?」
「今日のデザートに関する事ですよ」
と言う訳でね?
チョコフォンデュに使う、チョコの準備です。
と言っても、湯せんにかけて牛乳と合わせて滑らかなチョコソースみたいにするだけだけど。
……チョコレートフォンデュの機械、粘り気とかべた付きのあるものを入れると大変なことになるし、どれだけ滑らかなチョコに出来るかが勝負のカギ。
俺は絶対にチーズに襲われたり、パインアメを飛び散らせたりしないからな!
「チョコを溶かすのか? 任せろ」
……なお、エルフの辞書には湯せんでチョコを溶かす、という言葉は無いらしく。
空中に浮かせたチョコと牛乳を下から魔法の炎で炙って溶かし。
ラベンドラさんの感覚で、絶妙な配分のチョコフォンデュ用のチョコが作られる模様。
企業が推奨するチョコフォンデュの作り方、完全に無視。
これにはさすがの俺も苦笑いしか出来なかったよ……。




