危うく神罰
さて、リクエストを頂きましたのでアヒージョを作っていこうと思います。
まずは神様に捧げる分ね。
オリーブオイルに刻んだニンニクとスライスニンニク、輪切りにした鷹の爪を入れ、そこにラピスラズリ個体をIN。
ラピスラズリ個体が溶けるのを見届けて準備完了。
何が面白いって、ラピスラズリ個体の色が溶けると無くなることなんだよね。
だから、オリーブオイルの色はそのままなんだ。
「プチトマト、ベーコン、ブロッコリー……」
アヒージョの具材として定番な物から、特にカニミソと相性が良さそうなものをピックアップ。
後はエビとか、牡蠣とか……。
入れたいな、入れたいな。
ラベンドラさんにねだれば出てくるだろ、多分。
神様の分には入らないけどしょうがないよね。
(食いたいがの~)
『夢幻泡影』に頼めば作ってくれるんじゃないです?
作りたいけど具材が無いからどうしようもないんですよ。
(別にそっちの世界のカキやエビでもいいんじゃぞ?)
もう買い物行きたくないんで。
(むぅ)
と言う訳で神様を言いくるめ、具材を一口サイズにカット。
プチトマトはそのままで、アヒージョオイルに入れて煮こめば完成。
……チーズも合うだろうからチーズも入れてあげよう。
あと、仕上げにブラックペッパーを振ろう。
(して? 本題のワインは?)
ありますよ、もちろん。
アヒージョはスペイン料理って事で、本日はスペイン産のワインをご用意しました。
アヒージョなんて油ものだし、スパークリングワインがいいだろうって事で。
探してたら、面白いラベルのワインを見つけたからそれにしました。
何が面白いって、『1+1=3』って書いてあるのよ、ラベルに。
しかもそれがワインの名前らしく、気が付いたら手に取ってたよね。
「バゲットはいります?」
(欲しいぞい)
と言う訳で切って焼いたバゲットを三切れ添えて、二礼二拍手一礼。
今後も『夢幻泡影』にご利益がありますようにっと。
(ワインお代わり)
まだ開けてすらないでしょ、全く。
三本でいいです?
(苦しゅうない)
さて……と。
「ゴー君、ご飯だよ」
「ンゴゴ!!」
土と栄養剤のゴー君定食を与えまして……待てよ?
「ゴー君、もしかしてベーコンとかも作れる?」
「ンゴ!!」
任せろ、か。
てことは今度自家製ベーコンでも仕込もうかな。
生ハムとかもいいな……。
ちょっと夢が広がりますわよ。
*
「カケル、来たぞ」
「アヒージョ!!」
さてさて、やって来ましたわね。
……というか普通に待ちわびたわ。俺だってアヒージョ食べたいんだからね!!
「オイルは準備出来てます。あとは煮込むだけです」
「流石だ」
「ちなみに牡蠣とエビを入れたいんですけど……手持ちにあります?」
「牡蠣はある。エビは……ないな」
残念。
まぁ、牡蠣があるだけでも良しとしよう。
「代わりに蟹を入れてみてはダメですの?」
「いや、入れるだろ」
「常識的に考えて入れないはずがないわい」
……神様。
(なんじゃ?)
怒らないでくださいね?
(や☆だ)
蟹入れてなかった、てへぺろ。
(のぅ八百万の神々よ、ちょいと相談なんじゃが……)
怖い怖い怖い。
やめて! 神様同士で内緒話するのやめて!!
今までやってただろうけどわざと今から内緒話しますよーってアピールしながら消えるの本当に怖い!!
……お、お代わり作りますから。
(今回だけじゃぞ)
っぶねー。何か分かんないけど危なかったー。
「具材は……トマトにチーズベーコンにブロッコリー」
「そしてこちらの世界の海底ダンジョン産ミミックじゃな」
「蟹もな」
煮込んでくと匂いがもう凄いのよね。
さっき神様のを作る時も匂いの誘惑がヤバかった。
俺が一人暮らしだから耐えられた。姉貴が居たら我慢出来なかっただろう。
――姉貴が。
「仕上げにブラックペッパーとパセリを振って完成です」
「どうせ食べるだろうしパンも焼いておこう」
先読み大事。
締めにパスタにもするだろうし、麺も準備しておこう。
……今気づいたけどさ、濃厚カニミソペペロンチーノとか言う訳分かんない料理が作れちゃうのか。
いいなぁ、異世界。
(来るか!?)
行かないっての。
事あるごとに勧誘しない。
ただまぁ……サブスクよろしくラベンドラさん達みたいに定期的に異世界食材を送って来てくれるサービスとかあったらめちゃめちゃ儲かると思う。
……そして転売ヤーが湧きそう。
やめた方がいいな、うん。
(わしの不思議パワーで転売を防げばよい)
……大丈夫? その不思議パワーって奴。
ちゃんと転売だけを阻止できる?
通常の取引とかも防がれたりしない?
(う~む……)
即答出来ないならやめときましょ?
俺はいいけど神様の威厳が落ちかねないから。
(そ、そうじゃな)
よし、と言う訳でカニミソアヒージョが出来ましたし、バゲットも焼けた。
「よっと」
ワインをテーブルに乗せれば、全員の目がキラキラとワインに注がれますわ。
「? カケル、このラベルに書いてある数式、変ではないか?」
「?」
「1+1は2だぞ?」
ついこの間意味不明な掛け算してたでしょ、全く。
「このワインと料理のマリアージュが常識を超えるって事でしょ」
「なるほど!!」
知らんけど。
でもまぁ、こういう表現は割とあるしね。
「とりあえず早速いただきません? もう待ちきれなくて」
「じゃぞ。こんないい匂いをさせながらワインを前にお預けは殺生が過ぎるわい」
「はいはい。それじゃあ食べましょう」
「「いただきます!!」」




