迫りくる宝石蟹
カニミソ味のラピスラズリ個体をご飯に乗せて食うと美味い。
いやまぁ、どの個体も美味いんだけども。
やっぱりカニミソって言うのは、蟹の身と比べても味の濃さが違うというか。
子供の頃は酒飲みの為の物って認識あったけど、別に酒飲みじゃなくても美味しいっていう。
「ふぅ……満足」
「まだまだ脚は残っていますし、明日以降も楽しめそうですわ」
「個体差がこれだけあるんだ。カケルの事だから美味く調理してくれるだろう」
「あまり期待しないでいただけると……」
ご飯も味噌汁も完食し、解呪を終えた蟹の脚も完食。
蟹の脚に関しては解呪を続ける限り食べそうだからって事で、ラベンドラさんが打ち切った。
解呪に使用した塩水はいつも通りゴー君行きになります。
「そうは言うが今までの料理で期待を外れたことが無いしな」
「うむうむ。前回の蟹料理も最高じゃったぞ?」
「あー……」
カニミタイナカタマリ、本当に美味しかったしなぁ。
いっその事、あの時と同じ料理を作ってみて、どれだけ記憶と違いがあるかを食べ比べてみても面白いかもしれん。
「そう言えばなんですけど、どれくらいの数を買って来たんです?」
よく食べる『夢幻泡影』が結構食べても無くならない程……というか、まだまだ数日は持つであろう程の蟹の脚。どれだけの数を買って来たんだろう?
そんな当然の疑問に対する答えは……。
「各個体二体ずつだぞ?」
あまりにも予想外過ぎるもので。
「へ?」
どう考えても、持ち込まれた足の本数と計算が合わない。
俺は信じないよ? 蟹なのに側面にビッシリダンゴムシみたいに脚が生えてるなんて。
「そいつらは育てば育つほど脚の節が増えていくんだ」
「脱皮するごとに足が伸びますの」
「年を取れば海底から動かず、脚を伸ばして餌を捕食する」
「大きくなり過ぎた個体は海底の主とか言われたりするのぅ」
あー……。
足の本数が多いんじゃなくて、脚の節数が増えていくのか。
――不気味では? 化け物かな? 魔物だったわ。
「てことは、一本の脚からこのサイズがいくつも取れる……と」
俺の家に持ち込まれた時点で、腕の太さ長さな蟹の脚だったけど……。
これ、一節だったのか。
人間の腕の太さが一節で、それらが繋がってる蟹とかマジもんのバケモノでは?
陸上動いてたら仙〇人と思う自信があるぞ俺は。
「最も、育ち過ぎた脚は本体を支えられるほどの強度を有しておらず、海面から出た瞬間に関節から折れるがな」
「じゃから海底から動かんのじゃよな」
……巨体レスラーとかでも話は聞くけど、要は体重に関節が耐えられない、と。
でも脱皮して足の節数は増やしちゃうんだ……。
もしかしてこの宝石クラブ達ってバカなのでは?
「海底に居ても船の底に穴を開けることは容易であるし、年中こいつらの被害にあったという話は絶えん」
結構賢かったわ。
というかそうだよな、そんな長い脚で何するかって、狩りだよな。
……船を狙うなっての。
「記録によるとコロッサルやクラーケンと戦うほどに大きな個体がいたという記録もありますわ」
巨大たこVS巨大イカVS巨大蟹か。
日本人が見たら歓喜しそうな絵面だな。
「よし、カケル」
「はいはい、焼き戻すので少々お待ちを」
食いしん坊からデザートのリクエストが来たので、そっちの準備。
思い出すのが遅くて慌てて買いに行ったけど、結構満足いくものが買えたよ。
まぁ、買ったのはコンビニでなんですけど。
「クッキーか?」
「です。チョコチップ入りで美味しい奴です」
最近……て言うほど最近じゃないけど、一部店舗で始まった、店舗のオーブンで焼いたチョコチップクッキー。
ホットスナックと同じように並べられているそれを、可能な限り買って来ましたよっと。
SNSとかで評判いいし、不味くはないはず。
焼き戻しも終わったので、さぁさぁおあがりよ!
「香ばしいいい香りですわ~」
「大きさも十分だな」
分かる。
結構大きいんだよな。
広げた手の平……まではいかないけど、直径なら肉まんとかと同サイズな気がするわ。
「チョコが美味い!!」
「バターの風味もかなりいい」
「外はカリカリなのに中は乾きすぎていないのが素晴らしいですわ!!」
「美味いもんじゃわい」
と、十分な反応を頂いたところで。
「紅茶です」
クッキーと言えば、な飲み物を提供。
コーヒーは今日は無しで。
「む、すまない」
「ありがたいですわ~」
「クッキーと紅茶が合う!!」
「実に優雅なひと時じゃな」
と、クッキーと紅茶の黄金コンビに舌鼓。
俺も食べよ。
……ん~。ザクザクした外側と中のしっとり感。
そこにチョコの甘さと香り、バターの風味が合わさってかなり美味い。
誤解を恐れず言うならカロリーの味が凄い。
ただまぁ、お菓子とかパンとかを食べる時はカロリーを気にしてはいけないって聞くし、カロリーの味は美味しいって変換しとこう。
そっちの方が幸せだよ、うん。
「クッキー一枚で満足感が凄いわい」
「クッキーと言うと大体一口サイズですものね」
「あれは貴族が大口を開けるのがはしたないとか言い出してあのサイズにしてるだけだ」
「じゃあ、ピザサイズのクッキーも可能なのか!?」
……ピザサイズのクッキー、食べてる途中で飽きそう。
あー……でもトッピングみたく、チョコだのジャムだので味を変えればワンチャン?
いやいや、普通に大きいから。
下手したら食事だぞ? そのサイズは。
「ちなみに買って来たのはもう一つありまして」
「なんだと!?」
「クッキー以外にもあるのか!?」
「です」
と言う訳でもう一つ、クッキー以外にも買って来たスイーツ。
こちらもトースターで焼き戻しまして。
「こちら、フィナンシェです」
さらに紅茶に合うデザート、おあがりよ!




