七色蟹を堪能(3)
「なんと言うか……集大成というか……」
ダイヤモンド個体、事前に立てたフラグは見事に回収されませんでした。
美味い。しっかり美味い。
繊維太めの歯ごたえしっかり。旨味は強くて肉汁も多い。
甘みもあるけど強すぎず、蟹の風味もしっかりある。
なんだろう……蟹の味のステータスグラフが全部塗られてる感じ。
凄い極論を言うと、ダイヤモンド個体だけで今日食べた他の蟹達と戦える位。
カニミソ味のラピスラズリ個体だけ別枠だけど。
蟹の味って点ならこのダイヤモンド個体が全体的に高い所でバランスが取れてる。
「高いだけあるわい」
「何を付けても美味いだろうが、何も付けずに食いたい」
「とても分かりますわ。これ単体で味としてまとまってますの」
「美味かった」
四人もダイヤモンド個体を食べて満足そうにしてるし。
一旦、味噌汁を飲みまして。
「じゃあ……」
「一周した事ですし、各々好きなように食べませんこと?」
「同意」
「カケルが用意した辛そうなソースも気になるしのぅ」
味見も終わりましたし、ここからは本気で蟹達を食べますかね。
ただまぁ、まずはヤンニョムソースで食べたいですの事。
えーっと、合いそうだなぁと思った個体は……。
「トパーズとエメラルド貰えます?」
「ほれ」
「ありがとうございます」
最初に食べた二個体のはず。
と言う訳でその身にヤンニョムソースをかけまして。
「カケル? 食べないのか?」
「ソースを中まで浸透させたいので……」
すぐに食べてもいいけど、身の中までソースを浸透させたいんだよね。
「何分だ?」
「五分くらいです」
「跳躍させよう」
あ、そうじゃん。
この人らに頼めばよかったんだ。
いやぁ……時間跳躍ってやっぱり性能バグってるよなぁ。
キングク〇ムゾンでしょ? ラスボスの能力だからね? 本来。
「出来たぞ」
「ありがとうございます」
と言う訳で蟹の身にヤンニョムソースの赤がうっすら入った最高の状態が完成。
白米、ヨシ! 味噌汁、ヨシ! お箸、ヨシ!
まずは毛ガニを想起させたトパーズ個体のヤンニョムケジャンから。
「ん~~~!! 最高!!」
勝ったなガハハ。
ヤンニョムのピリッとした刺激と具材の旨味。
そして甘さがトパーズ個体の旨味や甘みとベストマッチでシンクロ率四億%。
口の中にねっとりと残る旨味を放り込んだご飯に絡めて咀嚼すれば、地獄の鬼も笑顔になる程のこの美味さ。
飲み込んだ後の口に流し込む蟹出汁味噌汁の美味さったらぁないね。
総合評価、五兆点。
「ラピスラズリ個体に塩を振って白米と食うのが最高じゃわい」
ガブロさんはカニミソ味に塩、そこに白米か……。
美味そうだな。
マジャリスさんは……。
「……あの、何を?」
「? 炙っているだけだが?」
指先からライターみたいに炎を出して、蟹の身を炙っておられた。
色的にアメジスト個体か。
「……そう言えば、焼きガニにバターを落とす映像を見た記憶が……」
「バター」
あ、はい。
いやさ、七輪の上で殻付きで焼いた蟹の脚に、バターを乗せる映像というか画が浮かんできたんだけど。
どっかで見たことあったかなぁ。
でもまぁ、バターが蟹と合わないはず無いし、美味しいだろうな。
「結局これに落ち着きましたわね」
モッシャモッシャと食べるリリウムさんは、ゲーミングカラーことオパール個体を頬張り中。
両手に持って……で収まらず、常に周囲に蟹の脚が五、六本浮いてるの面白すぎるでしょ。
ファンネルかな?
「味噌汁が……美味い」
なお、ラベンドラさんは蟹の身よりも、蟹で出汁を取った味噌汁の方に夢中なもよう。
でも分かるよ。カニの味噌汁美味しいもんね。
ご飯と漬け物、蟹の味噌汁で定食とか言われても俺は納得する。
それぐらい美味い。
「お前ら、ラピスラズリ個体を焼いて食ってみろ! 美味いぞ!!」
「折角生で楽しめるのですから生を楽しめばいいですのに」
「分かってない! 生でいけるからこそ炙るのだ! そして半生で食す!!」
「む、半生……」
「焼いた時と生の時のいいとこどりが可能だぞ!!」
「そう言われたら試さずにはいられませんわね」
「リリウム、わしの前にも……」
マジャリスさんの掛け声で、それぞれエルフ達が自分たちの前にアルコールランプくらいの炎を生成。
「俺にもお願いします」
自分たちで炎が用意出来ない俺とガブロさんは、それぞれラベンドラさん、リリウムさんを頼ることに。
さてさて、何からいただきますかねぇ。
エメラルドにしよ。
「っ!? 一気に香ばしくなるな!!」
「蟹の風味がより強くなった気がしますわ!!」
「うっめぇ……」
炙りしゃぶしゃぶって言うの? あれを言葉通りにやってる感じ。
焼く事で一気に蟹の甘みが強くなるな。
あと香ばしさが出てくる。
でも、しゃぶしゃぶだから表面しか焼けてなくて、噛むと中身は生のまま。
だからこそ、外と内の違った味わいが楽しめるって寸法よ。
……レモン絞りたい、これ。
「確かに炙ると美味い」
「だろ!? だろ!?」
「最高です」
たまにはマジャリスさんのアドバイスも役に立つもんだ。
まぁ、アドバイスをしてくること自体が稀なんだけど。
大体デザートかスイーツしか喋らないし。
「他のも炙ろう!」
「カケル、ご飯のお代わりをお願いしますわ」
「こっちは味噌汁だ」
「自分たちで動け」
「酒……酒が欲しい……」
やっぱり蟹を食べると賑やかになるね、うん。




