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七色蟹を堪能(1)

 蟹の身の甘さに酢の酸味が加わると味が引き締まるよな。

 トパーズ二本目、酢味噌の味が調和してて最高でしたわ。


「他の調味料も試したいが……」

「次の個体に行ってもいいだろう」


 後ろ髪を引かれる思いなのは俺も同じだ。

 ただ、俺たちには味わうべき味があと六つもあるんだ。

 心を鬼にしなきゃ。


「そうだカケル」

「はい」

「白米を貰えるか?」

「お任せを」


 こんなに美味い蟹の刺身は、白米に合わせるに限る。

 タウンページにもそう書いてある。


「続いてですけれど……」


 とバケツに刺さっている蟹の身を物色し、一つを掴んで引っ張り上げるリリウムさん。


「エメラルドですわね」


 殻の緑色の色素が身に移ってる脚を見て、確認。

 さっきはトパーズが毛ガニっぽかったけど、こいつは果たして?

 また最初なのでそのままでパクリ。


「おっ!」

「これも美味い」


 蟹ってのは大体が美味しいものだとは思うけど、こうして食べ比べすると結構違うのが分かるな。

 さっきの身より弾力があって、更にはうま味もある。

 あと、甘さはさっきに比べて控えめ。でも、蟹の香りはこっちが強いね。


「みそ汁にしたら美味いでしょうね」


 直感的にそう感じた。

 味噌と相性がいいだろうなって感じ。


「そう言えば、殻を使って出汁を取るとかなんとか言うとったな」

「ですです。……そう言えば、今日の蟹達は殻が付いたままですね?」

「一番大きな甲羅の部分は回収されている。なんだ、脚の殻でもよかったのか?」

「もちろん!」


 むしろ甲羅の方で出汁を取る絵面をあまり知らないまである。

 なんと言うか、甲羅は炙って日本酒注いでカニミソ溶いて飲むってのが一番印象強いかな。

 それは一旦置き、この流れってもしかして?


「作るか? 味噌汁」

「作りましょう!」


 さっき食べたトパーズって呼ばれた蟹の殻がある事だし、是非食べたいわね。


「カケルは座ってていい。私が作ろう」


 お、神か?


(呼んだか?)


 呼んでないです。

 んじゃあ、


「わかめと豆腐と味噌です」


 必要な材料だけ渡してお任せしちゃお。

 その間にエメラルドの二本目をパクリ。

 むほほほ。また酢味噌を付けて食べたけど最強だった。

 味噌の風味と蟹の風味が相乗効果でそれだけで米が食えるレベル。

 思わずご飯を掻っ込むってもんよ。


「私、この個体が一番好きかもしれませんわ」

「結論を出すのが早い。まだ五体残っているぞ?」

「そうじゃそうじゃ」


 と言いつつ三体目の個体へ。

 俺的には味噌汁が出来るのを待ってもいいんだけど、ガブロさん達三人がアンストッパブルなんだよね。

 

「次はアメジストか」


 選ばれたのは紫色の個体。

 さてさてお味の方は?


「ん、スッキリしてますわね」

「じゃがしっかりと美味いぞ?」

「俺はこの位身が柔らかい方が好きだ」


 三体目のアメジストは、先の二体と比べると味自体はスッキリしてる。

 ただ、味が薄いとかってわけでは無く、長引かないって感じ。

 あと、甘さも違うな。何と言うか、丸い? 感じがする。

 表現として合ってるか分からないけど、水に絵の具を垂らしたみたいにフワッと広がっていく感じが口の中で起こる……みたいな。

 これにはみりんだな。

 酸味と甘さだけでいい。


「お前ら、少しは私を待て」

「みそ汁ありがとうございます」


 と、ここで味噌汁を作ったラベンドラさんがリエントリー。

 蟹汁なんて百美味しいに決まってるじゃんね。

 いただきます。


「あ~……美味い!!」


 これよこれ。

 この蟹の出汁がしっかり行き届いた味噌汁!

 これが蟹を食べる時のだいご味ってもんよ!


「味噌と思った以上に相性がいい」

「これ酒を飲んだ翌朝に最高じゃろうな」


 ダウト。

 何故なら酒を飲んでいない翌朝でも最高だから。

 更にダウト。

 朝でなくても最高だから。


「俺は閃いてしまった……。このスープ、ラーメンに使えば最強なのではないか?」


 あー……あるよね。

 蟹ラーメン。

 味噌ベースで蟹出汁が入ってるやつ。

 というか、トッピングにも蟹がデデン! と乗ってるやつ。

 乗せられたバターを溶かして食うのがまた美味いんだ。


「美味いは美味いが最強ではないだろう」

「何か考えが?」

「可能性の話だ。最強でない可能性がある」

「今まででも私たちの想像を超えるものが出されてきましたのよ? これを越える味が今回の大会でもお出しされても不思議ではありませんわ」

「それはそれとして美味いがの」


 ずずず。

 はぁ、味噌汁美味いなぁ。

 この旨味が残ってる内に、口に放り込む白米がまた美味い。

 最高ですわよ。

 ……って、忘れてた!!


「ごめんなさい、一つ忘れてました」


 あぶねぇあぶねぇ、ヤンニョムソース作ってたじゃんか。

 何故忘れるんだい? 


「……これは?」

「蟹の身に乗せて食べるソースです」


 既に二体は逃したけど、ぶっちゃけ解呪さえしてしまえばまた食えますし。

 何なら、先に味見で一巡して戻ってきた方がいいかもしれない。


「……でも、先に全個体の味を見た方がいいかもですね」

「そうするか」


 と言う訳でございまして。

 残り四体の味見も、しめやかに行わさせていただく次第です、はい。

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― 新着の感想 ―
7×5で35種類?大変だぁ~、お腹間に合うかなw
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