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↖️ここから ここまで↘️

 さてさて、『夢幻泡影』が蟹を持って来てくれる筈なので?

 それを見越して……というか期待して今から準備しときましょ。

 ちなみに何故このタイミングで蟹をリクエストしたのか。

 それは……まぁ、推し投稿者が蟹食ってる動画をアップロードしてたからとか色々と理由はあるのだけれど。

 一番は、前回のカニミタイナカタマリの時は解呪の知識が無くて生で食べられてないんだよね。

 そりゃあ、加熱しても美味しいけど……。

 やっぱり日本人なら刺身で食べたいと思うものじゃん?

 思わない? 思え。

 と言う訳で、今日の晩御飯は蟹を生で食べる事を前提に考えてますわよ。


「で、一番手間がかかるのはヤンニョムケジャンってわけ」


 誰に言うわけでもなく独り言を呟き、準備開始。

 目の前には、ヤンニョムケジャンを作ってる、捌いていく系動画投稿者の動画がある。

 下手なレシピ参考にするよりこの人のレシピ真似する方がよっぽどうまい。

 海鮮系はマジでこの人にハズレが無いからな。


「え~っと、まずはヤンニョムソースっと」


 ボウルにヤンニョムソースを一本丸ごとひっくり返し、ここに動画ではカプサイシンパウダー。

 でも俺は魚卵キムチをぶっこむ。

 思ったけど、この魚卵キムチ……鍋に入れてキムチ鍋の素として使うのが強いかもしれない。

 魚介の旨味も入ってるし、絶対に美味い。

 ……色味が青くなるのだけが問題点か。


「……まぁ、これはこれで」


 ヤンニョムソースも見事にどす黒い茶色に変色しましたわね。

 ただ、この色ならちょっと濃いカレーくらいの色味だから食欲減退とかはしなさそう。

 青よりよっぽどマシまである。


「すりおろしにんにくと、刻んだスルメイカ」


 あとは動画の通りに作っていくだけ。

 なお、すりおろしにんにくはチューブを使った模様。

 動画だとちゃんとすり落としてたけど、面倒だし。

 す、スライス用のニンニクはちゃんと国産のを買って来たから相殺だから!


「玉ねぎ―リンゴー」


 全部薄くスライス。

 別に包丁でしなくても、大根おろし器のアタッチメント変えて細切りとか薄切りに出来る奴使うと良いよ。

 俺もそうだし。

 包丁、何より下手すると手を切ったりするしね。


「……ラベンドラさんに任せればよかったかも」


 すぐに食べたいという思いが強すぎたから俺が今作ってるけど、よくよく考えたらラベンドラさんに任せた方が早いんだよな。

 あの人、文字通り包丁をニ、三個同時に扱うからな。


「最後にニラを切ってぶち込んで混ぜて完成っと……」


 しっかり混ぜ合わせて、ヤンニョムソースの完成。

 あとはこれを異世界蟹にかけて食べるだけ。


「げっ、服に跳ねてる……」


 で、完成してひと段落しようと思ったら、結構な量のヤンニョムソースが洋服に飛び散ってた。

 中々落ちないんだよな、キムチの跡って。

 漬け洗いするか……。


「は~やく来いこ――」


 その時、翔に電流走る。


「スイーツ!!」


 っぶねぇ! 蟹に意識持って行かれ過ぎてスイーツ買ってくるの忘れてた!!

 思い出したからセーフだセーフ!

 正直何にしようとか決めてないけど、別に毎回手が込んだ奴じゃなくてもいいだろうって事で。

 ちょっと手軽に買って来られるものにしちゃおう。

 今日だけは我慢してクレメンス……。



「……買って来たけど?」

「助かる。代金は?」

「今計算させてる。にしても……こんなに買ってどうするのよ?」


 レシュラック領、ギルドマスター室。

 そこで寛ぎながら茶をしばいていた『夢幻泡影』に、声を掛けるはこの部屋の主であるアキナ。

 その手には、『夢幻泡影』がリストからピックアップした、レシュラック領内にて取り扱われている海鮮の数々。

 つまるところ、翔のリクエストである「蟹」の食材たちが。


「ダイヤモンド、エメラルド、ラピスラズリにトパーズ、オパールにルビー、アメジストまで」

 

 ……信じられないかもしれないが、全て異世界に存在する蟹の種類である。


「『ジュエルクラブ』のほとんどの個体を揃えているとは恐れ入った」

「たまたま昨日、タイミング良く船が帰ってきたのよ……」


 ジュエルクラブ――それは、本当に宝石を纏った蟹……ではなく。

 宝石のように固く、色のついた殻を持つ魔物の事である。

 住んでいる環境や食べる餌などにより、その殻の色は変化しており。

 味や風味、更には身の柔らかさまでも変化する。

 ――物凄く身も蓋もない言い方をすれば、現代で言う所の毛ガニやタカアシガニと言った違いと思えば遠くはない。


「今度は蟹?」

「何がだ?」

「料理大会の内容」


 アキナにそう言われ、顔を見合わせる四人。


「新聞はまだ出てないのか?」

「? 出てないと思うけど?」

「そこに記載されている。まぁ、蟹ではない」

「へ―……。じゃあ、なんでこんなに蟹をいっぱい?」

「食べたくなった、以上だ」

「あ、そう」


 などと話しをしていると、ギルドマスター室にギルド職員が一人入ってきて。


「会計の計算が終わりました!」


 との事。

 現代で言う領収書を受け取り、ニコニコ現金一括払いでその代金を支払うと。


「では」

「蟹パーティー楽しんでら~」


 早々に立ち去る『夢幻泡影』と、それをだるそうに見送るアキナ。

 そして、『夢幻泡影』と入れ替わる形で……、


「マ、マスター!!」


 ギルドマスターのアキナを尋ねてくるギルド職員。

 その手には『号外』と書かれた新聞が握られており……。


「……スープ自作で麺と合わせて食べる料理!?」


 ここで初めて、異世界の住人は次の大会の課題が『ラーメン』であることを知る。

 ……なお、ここでもチャハハーンの時と同様の事が発生しており……。

 新聞には、『ラメーン』と、このスープと麺の料理に名付けられていたのだった。

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― 新着の感想 ―
辛いは火傷と一緒よ…… 辛いのばっか食うと潰瘍やガンになるよ…… カニの一番美味い食べ方は焼きと天ぷら 舞茸も天ぷら
ヤンニョムケジャン?きまぐれにクックしそう…
あ、そういやそうか、あの頃はまだ痛快丸齧り出来なかったんだなー。 と言うか、ラメーン!仮面ライダーナニカで聞いた料理だ!異世界にアレが広がるのかw
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