それが! 出来たら!!
「日本酒チョコ美味いですね」
「紅茶チョコもかなりのもんじゃわい」
「芋チョコも秀逸だ。何より香りがいい」
「カケルのフルーツチョコも最高ですわね」
「抹茶チョコも紅茶チョコには無い香りや風味があるな」
五人五色、それぞれのチョコをその他のチョコと交換し、皆が皆、少しずつ全てのチョコにありつける。
……多人数で食べる時の利点ってこれだよな。
まぁ、人によっては交換とかシェアしたくないって人も居るかもだけど。
俺は断然色んな味を楽しみたい派だから、交換もシェアもウェルカムウェルカム。
――ただし姉貴、てめーはダメだ。
ピ〇一個で俺の雪〇大福一個と交換しようとか言う身の毛がよだつような鮫トレを仕掛けてきたからな。
インガオホーって奴だ。
「こっちの酒は本当に美味いのぅ」
「そう言えばガブロが酒を口にするのは久しぶりだったか」
「うむ、こちらの世界のワインやら日本酒やらを味わうとな、どうしても向こうで飲む気にならんわい」
「他のドワーフが聞いていたらぶん殴りそうだな」
うっとりしながら日本酒チョコを食べてたガブロさんがポツリともらすと、マジャリスさんの聞き出しで驚く事実が発覚。
どうやらガブロさん、ドワーフなのにこっちで酒飲む時以外はお酒飲んでないらしい。
ドワーフなのに。
「他の酒を断つレベルで美味い酒を一人飲んでいると知られたら、袋叩きからのタコ殴りからのキャメルクラッチの流れじゃろうな」
締め技なんだ、キャメルクラッチ。
「現在、ペグマ工房が多額の資金を援助して醸造ギルドに作らせているそうだが?」
「こっちの世界の酒と比べたら、果汁と酒じゃな」
「?」
なんかの例え? 意味が分からないんだけど……。
「カケル、今のはドワーフのよく使う言い回しで、同じ液体ではあるがそこにはアルコールの有無という絶対的な違いがある。つまりは似てはいるが違い過ぎる場合を示す言葉だ」
……なるほど?
異世界故事成語的な感じか。
メモッとこ。
多分一生使わないと思うけど。
「そもそも米がどうにかならんと酒のクオリティは上がらんじゃろう」
「そっちは農業ギルドが無限トライ中ですわ。肥料の選別に掛ける魔法の吟味、土質に与える水まで、皆さん狂った瞳で研究されておりますわ」
「主食が一つ増えるという歴史的な立場にあるんだ。頭の中は興奮しっぱなしだろう」
ドーパミンドパドパ的な?
そもそも、コメの品種改良ってどんな歴史があるんだろう。
ちょっと調べてみるか。
……まぁ、異なる品種を掛け合わせるってのは知ってるんだけどさ。
調べても、元から会った品種同士を掛け合わせたってだけで、一品種だけでどうにかなるもんじゃないっぽいなぁ……。
「何を悩んでいる?」
スマホを見ながら首を傾げていたら、マジャリスさんに尋ねられた。
「いえ、俺らが食べてるお米って、基本的に品種改良の結果生まれた品種なんですよ。なんで、それのルーツを辿ってたんですけど……」
「現状こちらの世界で見つかっているのは一品種だけだぞ?」
「聞いた感じそうではないかと思ってて、でも、やっぱり一品種からどうやって品種を増やしたかとかは載ってないんですよね」
それこそ、人間が稲作を始めた時期には稲自体が複数品種存在していてもおかしくないし。
むしろそっちの方が可能性あるなぁ。
つまり、単一品種だけの異世界だとどれだけ頑張っても現代日本の米には近づかない?
「あら、でしたら簡単な事ですわ」
「ほぅ?」
紅茶しばいてたリリウムさんが入ってくる。
簡単……ねぇ。
この人らの簡単は全然簡単じゃないからなぁ。
「新しい稲を見つければいいのですわ」
ほらね?
それが出来たら苦労はしねぇ案件だったでしょ?
「……目星は?」
「今まで誰も入っていないダンジョン。それが一番可能性がありますわ」
「確かに、米の存在自体は農業ギルドは隠しとらん。となれば、そこらのダンジョンで稲を見つけたら、見つけた冒険者が報告しとるじゃろう」
「それが全く無いという事は、これまでのダンジョンには稲が存在していないことの証左、か」
……いっその事さ、新しい品種の稲に懸賞金でもかけりゃあいいのよ。
この稲にピンときたら農業ギルドって。
「『無頼』はどうする?」
「自国への持ち帰りを条件に帯同させますわ。私たちが会談の間フリーでなければ良いのでしょう?」
「多分な。……ふむ、向こうの国も戦の準備という事で物資をかき集めるだろう。そこに新たな主食が入るとなれば、食料面で大いに楽になる。……『無頼』も乗ってくるか」
こういう、なんて言うか謀略とも策略とも違うけど、頭使ってる部分の早さっていうのはエルフって感じがするよね。
俺だけ?
「じゃがまずはバハムートを見せなければならんのじゃろう?」
「そんなもの、サッと言ってビュっと入ってパッと見せるだけですわ」
わぁ……。急に語彙力を下げるんじゃない!
びっくりして風邪引いちゃうでしょ!!
「よし、やることは決まったな」
「ですわね」
「ではカケル……」
あ、この流れ僕知ってる。
持ち帰りの料理を聞かれる奴だ。
「頼んでおいた干物は出来ているか?」
「持ち帰……あ、はい。出来てます」
……おやぁ~?




