そんな時期です
「……やるか」
レシピを色々と考えた結果、そう言えば……となった料理が一つ。
これなら、カレー魚卵は使えない事は無いし、バハムートはもちろん使う。
ついでに、持って来てくれるであろうマンドラゴラピクルスも相性はいいはず。
まぁ、先に干物の方を済ませるんですけどね。
流石に清酒による解呪は過剰だと思うので、普段通りの炒り塩水で解呪をしまして。
ゴー君のお腹に、本日のご飯と共にダイレクトシュート。
よく考えたら解呪とかいらなかったかもだけど、別に解呪したら味が落ちるとか無いっぽいし。
やって損では無いでしょ、多分。
「だしの取れる魚か……鰹では?」
――気になって来たな。干物にしたら少し頂いて出汁をひいてみよう。
ち、ちゃんと出来てるかの確認だから。
「頼むぜ、ゴー君」
「ンゴッ!!」
いい返事。
じゃ、俺は仕事行ってくるから。
*
「……そういやそんな時期か」
会社にて、同僚からチョコを頂きました。
義理だと分かっていてもね、貰えるだけで男は嬉しいもんさ。
義理と分かる理由は一つ。黒い稲妻を箱で渡されたから。
いいけどね。美味しいし、好きだし。
それに、これ位の方がお返しに困らなくていい。
少なくとも、板チョコ一枚よりはずっといい。
「……あの人らにも買って帰るか」
帰りに、「バレンタインフェア」と書かれたのぼりがいくつもある。
と言う事は、この時に合わせた色々なチョコが売られているという事。
これらは、確実に異世界住人の四人にとって未知なもののはず。
ならば買わねば不作法と言うもの。
「たまには自分の好きなやつを思いっきり食べたいってのもあるしね」
最近は男側からチョコを送ることもあるらしいし?
つまり俺がチョコを買い込んでも不思議ではない。
……贈る相手の四分の三が男なことには目をつぶりつつ、それぞれが好みそうなチョコを買い、自分用にもしっかりと買って、帰宅するのだった。
*
ただいま、と言う事でね。
いやぁ、色んなチョコに目移りして、気が付けば結構時間が経ってたよ。
我に返らなければ、あの四人が来るまでにこうして帰って来られなかっただろうね。
危ない危ない。
「遅かったな」
「あ、来てましたか」
「今しがた着いたところですわ」
……えー、滑り込むも判定はアウトで。
まさかそんなに遅くなるとは……。
「食事の準備は?」
「すぐ出来ます」
「干物は?」
「ゴー君の中に」
「手に持っているのは?」
「今日の食後に食べる用のチョコです」
「把握した」
全部聞くじゃん。
ちょっと洋服だけ着替えさせて欲しい。
その後すぐにご飯の準備をしますから。
*
「と言う事でまずはバハムートの解呪からです」
「うむ」
部屋着に着替え、エプロン装着。
ラベンドラさんももちろん、ドラゴンエプロンを装着済み。
……ちなみに、解呪の新しいやり方を見せて欲しいという事で、清酒を使った解呪を実演することに。
言うてもキッチンペーパーで巻いて、上から塩と酒を振りかけるだけなんだけどね……。
「で、時間を置けば解呪完了です」
「……神聖値3ならばこれ位当たり前か」
俺にはその神聖値3がまだピンと来てないんですけどね。
でもまぁ、ラベンドラさんどころかリリウムさんやマジャリスさんまで解呪の様子を凝視している所を見るに、結構凄い事なんだなぁって。
ガブロさん? 彼なら解呪されるバハムートより、解呪する清酒の方に興味を持ってますよ。
飲んだらどんな味なんだろうって。
「それで? 今日は何を作る?」
「カレーピラフを作ろうかと」
本日のメニューはカレーピラフ。
希釈したカレー魚卵とご飯、具材をフライパンで炒めて混ぜるだけ。
そこにスープも付ければ立派な一食になる。
水分を飛ばすのに結構苦労しそうだけど、それ以外はまぁ……って感じかな。
「ピラフと言うのは?」
「炒めた米に出汁や香辛料を加えて炊いたものです」
分からなかったら即調べる。
これ、結構大事。
そしてピラフって炊き込みご飯の系列なのか。
知らなかったな。てっきりチャーハンの親戚だと思ってた。
「ふむ。それをカレーで作ると?」
「ですです」
ご飯はタイマーで俺の帰宅時間に炊き上がる様にセットしてたし、何なら今もまだ保温モード中。
具材さえ切ってしまえば、後はすぐに出来上がりますとも。
「具材は?」
「ミックスベジタブルとバハムートです」
なお、野菜は切る必要すらない模様。
だって、便利だし……。
バハムートはどう切ろうかな。
サイコロステーキ状に切っても美味いだろうし、薄切り風も……。
よし、
「バハムートの切り方に関しては任せます」
秘技、ラベンドラさんに全任。
「ふむ」
ラベンドラさんに肉を切って貰ってる間に、俺はご飯を必要分取り出しましてっと。
ミックスベジタブルを一袋丸々お皿に出し、ラップをかけてレンジで加熱。
どうしても凍ったままだと熱したときに水が出ちゃうからね。
水があるとベチャッとして美味しくないし。
「切ったぞ」
「了解です」
切って貰ったバハムートを受け取り、ミックスベジタブルが加熱し終わったら交代で加熱。
その間に、ラベンドラさんにはピラフを炒めてもらいましょ。
たっぷりのバターをフライパンに落とし、そこにご飯。
解凍を終えたミックスベジタブルを投入したら、カレー魚卵を少しずつ混ぜ合わせながら投入。
加熱を終えたバハムート肉を合流させれば、部屋中にカレーとバハムート出汁のいい匂いが。
「おっと……」
「まぁ……」
マジャリスさんとリリウムさんのお腹が同じタイミングで鳴ったところで、バッチリ味が決まったらしいラベンドラさんがサムズアップ。
それじゃあ、お皿に移しまして~。
カレーピラフ、いただきます!




