男の拳
「結局こしあんが一番!!」
「ごまの甘さと香ばしさが至高ですわ!!」
「みたらしが最高だとガイアが俺に囁いている」
「きな粉の素朴な感じがたまらないな」
……知ってるか? 孔雀は堕天使の象徴なんだぜ?
――変な事言わせるんじゃないよ翻訳魔法さん。
というかマジでどこでそんな知識拾ってくるんだよ……。
ペッてしなさい! ペッて!!
「お茶も美味い……」
「栗の餡も美味しいですわぁ……」
「みたらしはいいな。甘さとしょっぱさ、香ばしさが絶妙だ」
「サツマイモも美味いぞい」
目に付いた味は四人用に全部買って来たんだけどさ。
俺は当然そんなには食べられないわけで。
ごま、こしあん、みたらしのお好み三本でフィニッシュです。
「もっちりとした歯ごたえにしっかりとあるコシ。団子だけでも美味いな……」
「作り方を聞いておきます?」
「無論」
「……まず団子粉をですね?」
いきなり聞かれても団子の作り方なんて、団子粉を捏ねて作る以外知らんが?
そもそも団子粉って何から出来てるんだろ?
……ほ~ん? うるち米とかもち米が原料っと。
――異世界で手に入らなくない?
通常の米……ジャポニカ米すらまだ開発されてないんでしょ?
「米粉から作るらしいですけど……」
「むぅ……」
ラベンドラさんの反応を見るに難しいみたいだな……。
しばらくはこっちの世界だけで食べられるっぽい。
お団子。
「米なのにサツマイモや栗が合うんか?」
「芋ご飯とか栗ご飯とか存在しますよ?」
おこわとかに入れても美味しい。
おはぎとかも合わせれば、あんこにすら適性を持つ。
それがご飯。
「……美味いんじゃろうなぁ」
「ですね」
「紅茶でも、コーヒーでもなく緑茶が本当に合う……」
「ちなみにチョコを包んだ団子すら存在しますから」
「チョコ!?」
ギュンッ!! って。
マジャリスさんの顔がドアップで視界に入ってくる。
「今日は買って来てませんけど」
それをスウェーで躱しながら、この場に無い事実を告げ、マジャリスさんをダウンさせる。
ゴングは不要。審判判断のTKO勝利である。
「量もいいな。多すぎず、やや物足りない、と思わせる絶妙な量だ」
ちなみに今日買った団子は四玉だった。
大体四玉か三玉が基本だよね?
三色団子ってのがあるくらいだし。
「何より、クリーム類と違って重くありませんわ」
「油っこく無いですからね」
こう、年齢を重ねてくるとさ。
クリーム類がキツいんだ。
昔はケーキをホールで食べるなんて余裕だったのに、今じゃあ半分も食べられずにギブよ。
その点あんこってスゲーよな。気付いたら食べきっちゃってるんだもん。
「よし、カケル」
「持ち帰りですね?」
「うむ」
団子を食べ終え、持ち帰り料理へ。
新しい解呪の方法を行ったバハムート肉を使いましょ。
「デミコロハンバーガーなんてどうでしょう?」
「説明を」
「人数分あらかじめ別に取っておいたビーフシチューでコロッケを作ります」
「ふむ」
「その後、キャベツやチーズ、加熱したバハムートとバンズに挟んで完成です」
「最高だな」
うむ。大体クリスマス前に某Mドナルドで販売されてるイメージ。
あと山海太陽でも。
「ちなみに新しい解呪の方法で解呪したバハムートなんですけど……」
「新しい方法……?」
あれ? 言ってなかったんだっけ?
こっちの世界の神様たちがどや顔してた話。
してなかった気がする……。
「俺らの国では、塩以外にも、お酒が清めの効果があるとされていまして」
「その酒を使った解呪の方法……と?」
「ですです。まぁ、もちろん塩も使うんですけど」
「一応方法を……頼む」
と言う訳で、ラベンドラさんにビーフシチューを浮遊状態にして貰って衣付け。
揚げを任せてる間に解呪の方法を説明。
「キッチンペーパーで巻いたバハムートに、酒と塩を振るだけです」
「だけ……だと?」
「ですよ?」
他に何もしてないしね。
「ラベンドラ、カケルが指差した酒を『鑑定』してみろ」
「む……はぁっ!?」
なんか急に大きな声出したぞ? どうしたどうした?
「神聖値――3……だと……」
なんか知らん単語出て来た。
神聖値ってなーに?
「初めて聞いたぞい、神聖値3なぞ」
「あの……その神聖値と言うのは?」
「神聖値と言うのは、いわゆる呪いやアンデッド系の魔物に対してどれくらい効果があるかを示す値だ」
「1が神相当。下限は50まである」
あ、数字が若いほど強いんだ。
んで一番上が神様と。
神様? あの神様?
(わしじゃよ)
……まぁ、神様が呪いとかの影響受けるわけないか。
つまり1だと呪いやアンデッドに対して超有効ってわけね?
(有効と言うか、無効と言うか……)
「普段カケルが使っていた炒り塩、あれで10位だ」
「ふむふむ」
「ちなみに5以上でアンデッド系が即死する」
「ふむふ――即死?」
「即死だ。触れただけでそこから浄化されて消える」
5でそれ? じゃあ3とかどうなるの?
「恐らくその酒は、近付けただけでアンデッド系を消せる」
「範囲も分かりませんけれど、アンデッド系の蔓延るダンジョンに持ち込めば、ダンジョン内のアンデッドが一掃される可能性すらありますわ」
「他に神聖値が3の物と言えば……教会に飾られ、日々祈りを捧げられている儀式剣くらいなものだ」
「それでも3あるか怪しいですけれどもね」
……でも、お店で買える清酒ですけど?
えっ? まさか、こっちの世界の神様たちが異世界の神様に対抗心燃やしてちょっとやり過ぎた可能性?
(全員で肩組んでわしの周りを回っとるから恐らくそうじゃ)
神様がため息交じりに教えてくれたけど……。
「ちなみに持ち帰ることは……?」
「考えていない。効果が強すぎて持て余す」
「出処を確実に聞かれますし、ヘタすりゃ拷問ですわ」
「恐れ多くて飲めんわい」
「教会からガン詰めどころか敵対しかねん」
まぁ、そうですよね。
やり過ぎですもんね。
……あ、ラベンドラさん、コロッケ――ちょっと焦げてます。




