名前は強そう
「バハムートの倒し方……ですか?」
「そうだ」
異世界からやって来たリリウムさん達が開口一番。
バハムートをどうすれば倒せるか? なんて聞いてきて。
そもそも俺の持つバハムートの知識、全部ゲーム由来だしなぁ……なんて思いつつ。
「魔剣とか、その辺の武器があればいけるんじゃないですかね?」
捻り出したのは、多分凡庸なもの。
「魔剣か……」
「数本、おとぎ話に登場しているのは知ってはいますが……」
「実物は見たことないな」
無いんだ。
異世界作品とかだと、結構簡単にダンジョンの宝箱から見つけたりしてるみたいだけど?
まぁ、創作の世界だからって言われたらそれまでだけど……。
「一応、国宝という事で王が管理しているはずだが……」
「流石にそれを貸せ、というのは無理じゃろうなぁ」
まぁ、そりゃあね。
国家の危機とかで、それを扱わなきゃ国が亡びる……位までいけば貸してくれるかもだけど。
「そもそもあるのかすら疑わしいのですのよね。国家の権威を増すための嘘だと思っていますわ」
「その心は?」
「私が知りませんでしたもの。そんな剣があると」
「なるほど」
う~む……。
この日本にも草薙剣とかがあるから何とも言えん。
「にしても、やっぱりバハムートは倒すんですね?」
「倒す……らしい」
「戦った私たちだからこそ分かるのですけれど、今のままだとどうあがいても勝てませんわ」
「じゃからカケルに、この世界に伝わるバハムートの倒し方が無いか? と聞いたまでじゃわい」
ふ~む。
この世界に伝わるって言ってもなぁ……騎空士の中でも天上人って呼ばれてる人たちなら、数回殴っただけで倒してくれるんじゃないですか?
(お主らの世界はどんな世界なんじゃ……?)
何事も極めた人が居るってことですよ、神様。
「まぁ、考えても仕方がない。カケル、食事にしよう」
「ですね。腹が減っては考えもまとまりません」
まぁ、何か思いつくって言うならご飯より酒なんだけどね。
戦国時代のお坊さんが般若湯と呼びながらお酒を飲んでたのは、知恵が湧くからって名目だったはずだし。
「今日は何を?」
「クッパと言って、スープご飯になります」
「ほう?」
「後は、ユッケを作りましょう」
「承知した!」
という事でクッパ作り。
と言っても別に難しい工程は無いんだよね。
まずはお肉にごま油、酒、醤油、塩コショウを揉みこんで下味を付けまして、揉みこんでいる間にラベンドラさんに頼んで野菜のカット。
人参とニラを細切りにして貰いましょ。
肉に下味が付いたら電子レンジへ。
しっかり加熱したらお鍋に入れて、水を入れて煮こんでいく。
……煮込むと言っても、加熱に一年かかる様な特殊な肉だし、ほぼほぼ浸してるだけと同義になりそうだけど。
「アクは取るんだろう?」
「ですです」
で、スープをラベンドラさんに任せてこっちはユッケの準備。
バハムート肉を細切りにし、醤油、砂糖、ごま油、生姜、ニンニク……を混ぜ合わせるのは面倒なので?
今日はコイツだけで仕上げていこうと思う。
その調味料の名は焼き肉のタレ!
ゴマも入ってるし、肉との相性は言わずもがな。
ちょっぴりコチュジャンを追加して、ピリ辛要素をくわえれば十分だと思うのよね。
と言う訳で細切りバハムート肉を焼き肉のタレ、コチュジャンと混ぜ合わせて……。
こっちの世界の卵の卵黄を落として完成。
卵の枕詞にこっちの世界とか使った人類、俺が初説。
誇っていきたい。
「野菜も煮え、味も調えたぞ」
「完璧です。最後に溶き卵を入れて卵が固まれば完成ですね」
クッパも出来上がったようだし、それじゃあ盛り付けていきますか。
丼にご飯をよそい、その上からバハムートクッパをたっぷりかけて……。
バハムートクッパって字面、かなり強そうだな。
ビーフストロガノフと真っ向から戦えそうな強さしてそう。
「今日は炊飯器からではないのか?」
「炊飯器はちょっと作ってるものがあるので……」
デザートをね。炊飯器で作ってる都合上ね。
今日はおひつからのご飯の提供ですよ。
「竹で作った入れ物か」
「です。味があるでしょう?」
竹のおひつっていいよね、なんか。
旅館とかで出てきたらテンション上がる。
あと、回らないお寿司屋さんで、大将が竹のおひつからシャリ取ってたら期待感上がる。
「よし、食べよう」
「……そうだな」
まぁ、食いしん坊のエルフにはこの良さが分かるにはまだ早かったようだけど。
でもまぁ、いい匂いは部屋中に漂ってるし、食べるのには賛成。
食べる前に、輪切りにした赤唐辛子をバハムートクッパに散らしましてっと。
「バハムート肉を生で……か」
「そもそもバハムート肉が、解呪が面倒過ぎて普通だと食べられない気がしますわ」
「教会の聖水が必須。しかも仕込み段階で、だ。かなり高級な食べ物になるのは間違いない」
「じゃからこそ、国王が欲しがったのかもしれんな。もう滅多に口に出来ん、と」
「解呪済みのを渡したからな。下準備にどれほど時間と金がかかるかは理解していないだろうが」
なんて言ってますけど、全員喋りながら手を合わせてるんですよね。
こういう所、ちょっとかわいい。
「いただきます」
「「いただきます」」
俺の後に続いてハモるの、いとうつくし。




