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中華三昧

「ンゴ~?」

「絶対美味しいから少し食べてみてよ」


 現在、夜の寒い中、庭のゴー君にオイスターソースの絞りかすを与えようとしたら。

 何を食わせる気だとゴー君が反発。

 説明しても、今日はもういいって一点張りなんだよね。

 ……しょうがない。


「じゃあ、明日土に混ぜておくよ?」

「ンゴ!」


 だったらいい、か。

 んじゃあ、明日与えますか……。



 と言う事でね。

 しっかり寝て、顔洗って歯磨いて。

 ゴー君に、腐葉土とオイスターソースの絞りかすを混ぜたものを与えるために庭へ。

 しかし寒いな。もう一枚羽織って出よう。


「おはよう」

「ンゴッ!」


 と言う訳でゴー君の中に土を入れ、希釈した液体肥料も添えましてっと。


「ンゴ~~~!!」

「美味しいでしょ~」


 とても喜んでおられる。

 目をキラキラと輝かせておりますわ。


「ンゴ、ンゴ!」

「もうお代わり無いよ?」

「ンゴっ!?」

「今夜ラベンドラさん達に譲って貰うからそれまで待って」

「ンゴ~」


 ふぅ。

 納得してくれたようだ。

 ……さて、姉貴の方にも餌――おっと、ご飯を与えなくては。


「ご飯あげて来たよ~」

「ん~」


 なお、姉貴は起きはしたけどまだ覚醒してないらしく、炬燵で温まりながら突っ伏してる。


「みそ汁? お吸い物?」

「……みそ汁」


 と言う訳で本日の朝ご飯は、自家製オイスターソースの卵ご飯とインスタント味噌汁。

 ご機嫌な朝食だ。


「あ、そう言えば明日出発するから」


 ……はい?


「どこに?」

「一旦中国」

「あ、仕事か」

「以外に何が?」


 いきなり過ぎて頭の中で理解が追い付かなかったわ。

 そういや姉貴も働いてるんだった。


「リリウムさん達から送られてくる宝石も溜まってるし、そろそろ動かないと……」

「姉貴が意欲的に働いている……だと?」

「蹴るよ?」

「白米を食パンに変えるぞ?」

「すいませんでした」


 分かればよろしい。

 全く。


「神様用に定期的にワイン送ってくれない?」

「輸送費結構するんだけど……。絶対国内で買った方が安上がりだって」

「むぅ……」


 しかしだね姉貴。

 いかに国内の方が安いと言われても、流石にオーパス・イチなんて手が出らんのよ。

 分かりやすく言うと、俺の財布から支払いたくない。


「まぁ、珍しいというか、日本じゃ見ないなってのなら送ってもいいけど」

「よろしく」

(頼むぞい)


 ほら、神様もこう言ってるし、ね?


「よし、お湯沸いたし、はい、卵ご飯セット」

「殻割ってカラザ取っていい感じにソースかけてかき混ぜて」

「全部しろって事ね」

「よろ~」


 ……まぁ、卵の殻さえ割るの下手くそだからなこの姉貴。

 そこまでは甘えさせてやりますか。


「いただきま~す」

「いただきます」


 と言う訳で俺の分も卵ご飯を用意しましたら、揃って合掌。

 そして掻っ込む!!


「っ!!?」

「うっまい!」


 これよこれ。

 卵のほんのりとした甘みがオイスターソースの旨味と塩味を引き立たせて。

 香る牡蠣の風味が食欲を促進させる。

 そこに卵のコクとまろやかさが広がって……最高かよ。


「翔」

「何?」

「卵の黄身だけ追加したい」

「……天才か?」


 と言う事で姉貴の悪魔的発想で卵の黄身だけを追加。

 白身は置いておいて何かに使いましょ。

 これでまろやかさとコクがさらにドン!

 倍プッシュだ。


「みそ汁も美味ーい」

「この卵ご飯と合わせたらなんでも美味い説」

「だろうねぇ」


 本当に、味噌汁とも合うんだなぁ、この卵ご飯。

 と言うか、牡蠣と卵の相性が悪いはず無いし、約束された勝利の美味さってわけなのよ。

 オイスターソース、作ってみてよかった……。


「チャーハンとかに使っても絶対に美味しいよね?」

「間違いないね。ただ、今夜はもっと相性のいい食材を持って来てくれるはずだから」

「……アワビっぽい貝柱よね?」

「そう。アワビと言えばオイスターソース煮込みですよ」

「……じゅるり」


 姉貴の場合は中国に行くわけだし、そこで食べられると思うんだけどね。

 ちなみに俺はもちろん食べた事無い。

 そもそも、アワビのオイスターソース煮込みがメニューにある中華料理屋に入った事が無いかな。

 俺には大衆町中華が限界ですわよ。


「ただ、確実にチャーハンも美味いだろうから……」

「だろうから?」

「チャーハン、魔牡蠣入り麻婆豆腐、アワビのオイスターソース煮込みでどう?」

「私は本当に翔のような弟を持って幸せだよ」


 俺は『夢幻泡影』と出会えた数奇な運命に感謝だよ全く。

 ……にしても声に出すとヤバいな。

 朝ごはん食べ終えたばかりなのにお腹すいてくる。

 これじゃあどこぞの食いしん坊達と変わらないじゃないか。


「じゃあ、俺は会社行ってくるけど」

「お昼は?」

「牡蠣と卵の牡蠣玉汁を作ってるのと、ゴー君に炊き込みご飯を頼んでる。のどぐろの干物もあるから、食べるならゴー君に頼めば焼いてくれる」

「ゴー君様様だねぇ」

「いやマジで。かなり便利だから作って貰ってよかったよ」


 作られた当初は頭抱えたけどね。

 慣れって怖いね、人間。


「んじゃ、行ってきます」

「気を付けて~」

「欲しい物があったら帰りまでなら受け付ける」

「りょ~」


 と言う訳で朝ご飯を食べてしっかり元気をチャージして。

 労働と言う名の国民の義務を果たすためにいざ出発。

 ……流石にアワビっぽい貝柱が、アワビ以外の味をしている可能性を頭の隅から振り払いつつ。

 俺は意気揚々と会社へと向かうのだった。

 全ては晩御飯の為に。

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― 新着の感想 ―
作られた当初は頭抱えたけどね。 慣れって怖いね、人間。 作られた当初(1ページくらい)、あとはまぁ猫可愛がりですよ?ほぼ息子扱いよ?ゴー君
「ンゴ~~~!!」(美味~~~い!!) 「美味しいでしょ~」  とても喜んでおられる。  目をキラキラと輝かせておりますわ。 「ンゴ、ンゴ!」(もっと、もっと!) 「もうお代わり無いよ…
人間、とてつもなくおいしい食事のためなら割と動けるよね~w と言うか、着々とグルメなゴーレム君に育っているねえw
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