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ネバーギバップ!

「美味いのぅ」

「濃厚、と謳っているだけあって、確かに果実の味が濃い」

「けれどもくど過ぎず、さっぱりとした甘さですわ」

「サッパリの範囲で収まるギリギリの甘さを突き詰めているようだ。甘酸っぱさもそれを助けている」

「これ美味しいね」


 濃厚ブルーベリーぶどう味のフルーチェ、ちょっとだけ舐めてました。

 言うてもそこまで~……なんて考えてました。

 結構違うね。

 本当にぶどうとか、ブルーベリーの味をぎゅっと凝縮した味がする。

 こう、舌の中央部分がすぼまる程度の酸味がまた美味しいんだ。

 甘くて酸っぱくて美味しくて、つくづく日本人に産まれてよかったと思うね俺は。

 食事に家電、あと水回り事情。

 その辺だけで出生国ガチャ天元突破SSRでしょ。

 そりゃあ不満もあるけど、周りに比べたら……ねぇ?

 少なくとも、日本でこうして生きていけてるけど、俺は異世界では生きていけないだろうな。

 その辺の魔物にやられてるだろう。


「……一気に食べてしまった」

「なぁ、カケル」

「はい」

「本当に明日、異世界のフルーチェを出さなければダメか?」


 あぁ……。

 現代フルーチェが美味しくてラベンドラさんが自信を失ってる。

 ……どうしよう。


「出来れば……」

「単体では本当にこの世界のオリジナルに歯が立たない。ある程度のアレンジは認めてくれ……」

「あ、それはもうどうぞどうぞ」


 やっぱりラベンドラさんって負けず嫌いだな?

 自分でオリジナルってこっちの世界のフルーチェを言ってるのに、張り合おうとしてるし。

 まぁ、その負けず嫌いな所はあらゆる分野で成功するために必要だけれども。

 俺の小さい頃には三歳とかから泣きながら卓球の練習をしていた某選手の映像とかよく見たな。

 最近だと将棋でも絶対に負けたまま終わらない某天才棋士とかの話もあったし。

 やはり諦めない事こそ最高の才能なんだろうな……。

 極寒マイナス20℃の中、しじみがとぅるるって頑張ってる人もそう言ってた。


「明日一日はレシピ聞き出しと材料集め、その後は試食に付き合え」

「フルーチェか!?」

「なんとかこの場に出せる程度には完成度の高いアレンジを見つけなくちゃならん」

「お安い御用ですわ」


 ラベンドラさんの何かに火が付いちゃったかな?

 まぁ、気にしない気にしない。


「ご馳走さまでしたわ」

「いかに我々の世界で似たような食べ物が開発されようと、この世界のソレには及ばない事がハッキリと分かったな」

「でも正直、開発出来るだけでも凄いと思いますよ? それこそこっちでは日々の研究の成果がそれらなんですから」

「ていうか、私らの世界は魔物と戦ったりしなくていいから、装備とかの開発研究に回らなくていいのよね。だから単純に、いろんな分野の研究がそっちの世界より先行してるだけだと思う」


 やっぱり異世界のフルーチェの事を言うラベンドラさんに、俺と姉貴二人でフォロー。

 ()()()()戦わなくていいね、うん。

 軍事関係の話はしないでおこう。


「羨ましい限りじゃわい」

「でも、魔物の食材はありませんよ?」

「虚しい限りじゃわい」


 どっちだよ……。

 まぁ、ぶっちゃけると、さ。

 住めば都って言葉のままだと思う。

 お互いに違う世界なんだもん、元居た世界が都なんだよ。

 多少隣の芝が青く見えても。


「よし、カケル。持ち帰りのご飯は?」

「炊き込みご飯のおにぎり、しぐれ煮おにぎり、ガリバタおにぎりの三味おにぎりです」

「お吸い物も付けられます?」

「容器さえ用意して貰えれば」


 と言う事でね。

 本日のお持ち帰りは三つのおにぎり。

 どれもこれも米に合ったし、美味しいからね。

 ……カキフライは昨日の牡蠣カツと被るし、アヒージョは持ち帰るのに向いて無いからね。 

 これらのチョイスってわけ。


「お吸い物は今から作るので、その間に握って貰えますか?」

「任せろ」

「あ、私達のもお願い出来る?」

「当然だ」


 と、俺らの明日の朝ご飯か昼ご飯も三つのおにぎりになることが姉貴の発言で確定。

 まぁ、いいんだけどさ。


「俺の分だけ小さめに作って貰えます?」

「了解だ」


 あまり大きいと食べきれないからね。

 俺のは少し小さくしてもらったよ。

 炊き込みご飯をもう一度炊き、白米も土鍋でガスコンロで……。

 待てよ? もしかしてゴーレム君に頼んだらご飯も土鍋で炊けたりしない?

 思いついたから即行動。

 土鍋を持って、ゴー君の待つ庭へダッシュ。

 

「ゴー君、ご飯って炊ける?」

「ンゴン~ゴゴ?」

「そうそう、始めチョロチョロ中パッパ~って奴」

「ンゴ!!」

「じゃあよろしく!!」


 ……あれ? なんでゴーレム君が昔の美味しいご飯の炊き方を知っているんだ?

 まぁいいか。


「ご飯、ゴーレム君が炊いてくれるそうです」

「どこに行ったかと思ったら、そういう事か」

「ですです」

「窯……のはずじゃったがいつのまにか機能が増えとるのぅ」

「干物も作れますよ? 持って行きます?」


 ちなみに頼んでおいたのどぐろの干物もしっかり回収してきた。

 これが美味いんだ。


「……一枚貰おう」

「一枚でいいんです?」

「味を見て、美味かったら貰う。ひょっとしたら、こちらの世界の魚を干物にと頼むことになるかもしれん」

「構いませんよ」


 やるのはゴー君だからね。

 と言うわけでご飯が炊けるまで待機し、その間にお吸い物を作り。

 炊けたご飯をおにぎりにして、四人は魔法陣の中へと消えていった。

 ……解呪と干物を作る仕事になっちゃったかもだけど、ぶっちゃけ需要あるのかな? これ。

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― 新着の感想 ―
ゴー君なんでもありになってきてるのww
酒のつまみは無限に需要があるぞい!
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