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凄みがあるッ……!

「カキフライとガリバタ炒めは任せろ」

「では俺はお吸い物とホイル焼きを作っていきますね」

「説明を聞くだけでもうお腹がこれ以上ないくらいにペコペコですわ!」

「早く出来んかのぅ!!」


 まぁ、大人しく炬燵で丸くなってもろて。

 と言うわけでラベンドラさん、やりましょうか。


「使うのはキノコと玉ねぎか?」

「ガリバタですよね? ですです」


 使う材料を確認し、しめじは洗って石づきを落とし、玉ねぎも皮を剥いてスライス。

 全部魔法を使って秒で終わらせるの、ズルいよなぁ。


「たっぷりとバターを使ってにんにくと玉ねぎを炒めて、透明になったらキノコと牡蠣を入れて」

「最後に醤油を一回ししよう。絶対に合うはずだ」

「間違いないですね」


 ラベンドラさんも和食と言うか、日本食の味付けが分かって来たみたいだね。

 ガリバタ醤油なんてなんでも美味くなるんだから。


「牡蠣の汁物はどう作る?」

「シンプルですよ? 出汁を取って、牡蠣を入れて、塩と醤油で味を調えて終わりです」

「確かにシンプルだ……」

「でもシンプルなので誤魔化しが効きません。まぁ、この牡蠣たちなら誤魔化す必要がありませんけどね」


 姉貴とこれでもかってくらい生で食べたけど、マジで美味しかったからな。

 シンプルな料理程魔牡蠣のポテンシャルが分かるってもんよ。


「アヒージョも間違いないだろうしな」

「ですね」


 アルミホイルを袋状にして、オリーブオイル、スライスニンニク、鷹の爪を入れ、魔牡蠣をドポン。

 上から塩をふりかけ、隠し味に白ワインを数滴垂らす。

 これを人数分作り、ホイル焼きに。


「一口サイズに切ってから揚げるか?」

「ですね。お願い出来ます?」


 カキフライは丸のままだと大きすぎるからね。

 一口サイズにカットしてもらって揚げる事にしよう。

 いやぁ……しかし、牡蠣だけでお腹一杯になったのに、また牡蠣を食べたいと思うのは牡蠣の持つ魔力だねぇ。

 しかもだよ? どれだけ食べても()()()可能性が無いってのがマジでデカい。

 異世界産の食材が食あたりを起こす理由は全て呪いで、それらは清めの炒り塩のおかげで完全排除出来てるし。

 このノリで現代牡蠣を食べないようにしなくちゃ。

 そんなに当たらないとはいえ、可能性はゼロじゃないし。

 俺は知ってるんだ、あの地獄に等しい苦しみを。

 ――なお、苦しみを知った上でまた食べたいと思う模様。

 日本人だし? 食に関する欲求は強いのよさ。


「油で揚がるいい音ですわぁ……」

「あ、今日はタルタルソースを買って来ましたからね。カキフライに付けて食べてください」

「タルタル!!」

「でかした!!」


 タルタルソース、カキフライには必須でしょ?

 とんかつソースかけて、レモン絞って、タルタルソースに付けて食べる。

 塩分過多かもしれないけど、これが一番美味しい食べ方だしね。

 今昔物語集にもそう書かれている。


「ちなみに一人一本買って来たんで」

「褒めてつかわす」


 六人で回してたら一瞬で一本無くなっちゃうだろうし、だったらもう専用のタルタルにしちゃえって思って。

 店員さんが、


(タルタルを六本?)


 みたいな顔でかごから取り出してレジしてたな。

 そりゃあ困惑するよね。大家族っぽい見た目でもないし。


「そろそろ揚がるが?」

「じゃあご飯を用意しちゃいますね」


 出来上がるタイミングを見計らって、炊飯器オープン!!

 炊く前に下茹でした牡蠣を入れ、炊飯器の底から持ち上げるようにかき混ぜて。

 以下、蒸らしタイム。

 お椀にお吸い物をよそい、ホイル焼きもフライパンから引き上げて。

 しぐれ煮をお皿に盛りまして、小皿には切ったたくあんなんか並べちゃう。

 最後に千切りキャベツとトマトを添えたカキフライをお盆に乗せて、最後に牡蠣の炊き込みご飯を茶碗に盛り付ければ。

 牡蠣尽くし御膳の完成!!

 ……作っておいてなんだけど、このレベルの御膳を食べようとしたら一体いくらくらいかかるんだろう……。

 和洋が混在してるからこの御膳を再現は出来ないだろうけれども。


「わ、すっごい豪華」

「早速いただきましょう!!」

「カキフライ♪ カキフライ♪」

「箸を回しとくれ」

「どれから食べ始めるか迷うな……」


 五人の御膳を見た反応がちょっと面白い。

 なお、作った本人のはずの俺もちょっと豪華すぎたな、とか思ってるもよう。

 と言うわけで、


「「いただきます!!」」


 全員揃って合掌のち合唱。

 そしてそのまま全員がお吸い物へ。


「すっごく美味しい!」

「絹のように滑らかで、繊細な味わい……」

「飲むと、思わず目を閉じてため息が出てしまいますわ」

「自然と頬がほころぶな」

「……美味い」


 お吸い物、好評です。

 それもこれも魔牡蠣がそのままで美味いからだね、感謝感謝。


「牡蠣からの出汁もだが、それに合わせる出汁もまた見事だ」

「邪魔をせず、引き立てる。主張も風味も、互いに高めているようですわ」

「こう、家で飲む感じの物じゃないよね。旅館とか、そんな場所で飲む味がする」

「言わんとしてることは分かるよ」


 姉貴評がまさしくその通り過ぎるんだよな。

 旅館の朝ご飯……いや、夕ご飯だな。

 しかもちょっとお高めの。

 そんな場所で味わえるような、上品かつ高貴な味。

 かつおや昆布からの黄金出汁に、ごく当たり前に牡蠣の出汁が乗り。

 本当に一つの作品のように、全てを研ぎ澄ませた味がする。

 雑味も、無駄な風味も一切ない。ただただ純粋にうま味だけを汁にした、そんな味。


「最初の汁物でこれじゃ。こりゃあ今夜は覚悟が必要みたいじゃな」

「覚悟はいいか? 俺は出来てる」

「食材を手に入れる、料理も食べる。両方しなくてはいけないのが、私の辛いところですわ」

「流石リリウムさん! そこに痺れる! 憧れるぅぅ!!」


 ……姉貴、悪ノリしない。

 あと、リリウムさんのその二つは絶対に辛いところじゃない。

 片方普通に娯楽だし。


「次は何にしようか」

「味の濃いものは後回しにしたい……炊き込みご飯だな」

「美味いもんは美味い。じゃからわしはホイル焼きに行くぞい」

「しぐれ煮とご飯」

「ガリバタに参りますわ」


 と言う事で、俺はカキフライに行く。

 それでは、散!!

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― 新着の感想 ―
牡蠣にあたってトイレと親友になったことがあるので、あたらない牡蠣は羨ましい…
なるほど、これがフードバトル(戦闘糧食)と言うもの! マフィアの名セリフをバシバシ叩き込んでくる繙訳さんパネェっスわw
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