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異世界の人、凄いなぁ……

 時間がかかる牡蠣のしぐれ煮と、追加で思いついた牡蠣の炊き込みご飯を先に用意してしまおう。

 ご飯は炊けるまで時間がかかるし、しぐれ煮も煮付ける時間が必要だしね。


「というか、急にフルーチェ食べたいなんてどうしたん?」

「分かんない。なんか急に食べたくなった」

「たまにあるよねぇ」


 なんて言いつつ、鍋に酒とみりんを入れ、アルコールを飛ばし。

 その間に魔牡蠣をさっと下茹でしておく。

 しぐれ煮はしっかり味が染み込んで、身が固くなるまで煮込んだ魔牡蠣と、煮詰めた煮汁と絡めて身がふっくらしたままの魔牡蠣の二段構えにしようかなと。

 火を通し過ぎると固くなっちゃうのはそうだけど、それでも美味しいじゃん?

 じゃあどっちも味わおうって寸法よ。


「そういや、ゴー君が宝石欲しがらなくなってた」

「マジ? 今ので充分ってこと?」

「分かんない」


 ショウガを千切りしてると、姉貴からゴー君観察日記の報告が。

 う~ん、まぁ、一度味わったしもういいって事かな。

 立て続けに二種類も宝石食べてたし。

 よし、アルコールが飛んだし、ここに醤油と砂糖を入れて、魔牡蠣を投入。

 こいつは味を染み込ませる奴ね。

 後は焦がさないように注意しつつ、煮詰めていけば完成っと。

 その間にお次は炊き込みご飯の用意よ。

 

「姉貴、米研いで」

「……まぁ、それくらいはするか」


 珍しく素直に言う事を聞いた姉貴に感動しつつ、姉貴に米を研いで貰ってる間に出汁のご準備。

 鍋に水を張って出汁パックを入れて出汁を取り。

 そこに醤油とお酒を入れてひと煮立ち。

 沸騰したら魔牡蠣を投入し、出汁の中で下茹でをば。

 茹で終わったらザルにあげ、火を止めて出汁を冷ますっと。

 ザルの下にはちゃんとボウルを置いて、魔牡蠣から出る出汁を余すことなく使いますわぞ~。

 出た出汁は鍋の出汁と合流させる。


「研いだよ?」

「じゃあ水に浸して放置しといて」

「ほいほい」


 取り出した魔牡蠣はご飯が炊けた後に混ぜ合わせて、蒸らしたら完成。

 今からたまんないね。


「ちなみにフルーチェはもう食べる?」

「? 四人が来てからでいいよ?」

「姉貴用に苺のフルーチェは買って来たんだけど、それとは別に四人と食べるようにも買って来てるんだよね」

「よく出来た弟だな」

「だろ?」

「こんな弟ならさぞかし姉は素晴らしいに違いない。姉の顔が見てみたいわ」

「……そこに居なければ無いですね」


 なんてバカなやり取りをしつつ、姉貴と二人でフルーチェを美味しく頂きました。

 異世界では食べられないだろうしねぇ。

 これが現代の特権ってもんよ、グハハハハ。



「えっ!? 異世界にフルーチェが!?」

「うむ。審査をしてびっくりした……」


 いつも通りに四人が登場し、前から話してた第二回調理士大会が開催されたことを報告され。

 もう決勝の最後のラウンドまで進んでるらしく、四品しか食べられなかったと愚痴を聞き。

 その中の一つがフルーチェだったことを知らされた。

 ……数時間前の俺、そんな特権は無かったよ……。


「異世界の人たちも凄いのねぇ、やっぱり」

「限られた課題の中でいかに突き詰められるか、となるとやはり思いもしないアイディアが見られるものだ」

「他にも甘味ではなく酸味を出したものもあったな」

「あの帯状の物でしょう? あれはあれで美味しかったですわね」


 ……うん?

 帯状の寒天を使った食べ物で、酸っぱい……?

 何故だろう、凄く知ってる予感がする……。


「それってところてんじゃない?」


 姉貴も同じ考えだったか。


「……ところてん?」

「これですね」


 と言うわけでタブレットで画像検索して見せてやると。


「似てますわね」

「じゃな」

「向こうはそのものに味を練り込んであったが、こちらの世界の物はタレを後からかけるのか」

「タレもポン酢だったり、酢だけをかけるって人もいますね」

「酸味で食べるのも酷似、か」


 と、こちらの世界と異世界の食べ物の相似性を確認。

 やっぱり異世界側も凄いんだなぁ。発想力とか。


「そうじゃ。あとは微発泡ゼリーなんかもあったぞい」

「あー、こっちの世界にもありますね」


 自販機なんかにあったよね? 一時期。

 有名な炭酸飲料の振って飲むゼリーみたいなやつ。


「やはりあるのか……」

「こちらの世界の食べ物を出し抜くのは無理だ。諦めろ」

「……と言う事は微発泡のジュースも?」

「全然あります」


 と言うか、この世界で一番消費されてる飲み物なんじゃないっけ?

 あの黒い炭酸飲料。


「チョコレート寒天なぞ言わずもがなであろうし……」

「ありますねぇ」

「ちなみに四人はどれに投票したの?」

「『プルーチェ』……こちらの世界で言うフルーチェじゃな」

「まさか異世界で食べられると思わなかったからな。素直に感心した」

「完成度も凄かったのですわよ? あのぷるぷるフルフルとした食感とか」

「作った本人は再現しようとは思っていないだろうがな」


 四人が選んだのは異世界フルーチェか。

 ちょっと食べてみたい気もする。


「微発泡ゼリーも良かったんじゃがな」

「フルーチェの衝撃を越えなんだ」

「ところてんも、ベクトルは違えど美味かったわい」

「あれはあれで名物になる。得に夏場は飛ぶように売れるだろうな」


 なんと言うか、食が広がっていく話を聞くと、面白いなぁと思うわ。

 昔はこんな感じで新しい料理が広まっていったんだろうなって。


「よし、こちらの話はこれ位にして、今日のメニューは?」

「もう嫌って程牡蠣をたっぷり使った牡蠣尽くし御膳になります」

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― 新着の感想 ―
フルーチェの原材料に寒天とかは、入ってませんよ。
なんと奇遇な!神の悪戯か悪魔の慈悲か?
ところてんに黒蜜かけて食べる人だっているんですよ! 大阪だっけか?
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