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何故か知ってる

「ちなみに残りは全部甘いものっすね」

「その情報があるだけでかなり助かる」


 チョコレート寒天、ところてんと食べ進め、一度口の中を水で洗う『夢幻泡影』の四人。

 そんな四人へ声をかけたアエロスへ。


「そう言えば、なぜギルドマスター達と別の部屋で私達が食べているのでしょう?」


 今の状況を尋ねるリリウム。

 現在、確かに大会の開催中で、城下には無数の屋台が乱立。

 既に予選を終えているため、ほとんどが敗退済みではあるものの、最後の結果が発表されるまでの間は営業をしてもいいと国王が許可しているらしく。

 結果として屋台は多くの人でにぎわっていた。

 ちなみに、今回の課題がスイーツと言う事もあり、城下の食事処で普通に食事をし、その流れで屋台でスイーツを食べるという動きが当たり前に行われた結果。

 城下の飲食店の売り上げに大きく貢献する大会になっているのだが、四人はその辺りまでは考えが及んでいない。


「国王やギルドマスターが居ると、違う意見を言いづらい、という意見が前回大会で寄せられたっす」


 そして、そんな期間中にわざわざ『夢幻泡影』やギルドマスター、さらには国王たちを別々の部屋で審査させた理由は……。

 権力者の圧が嫌、という意見があったかららしい。

 ……『夢幻泡影』としては、誰が居ようが構わず自分の意見を言ってしかるべき、と思っているが、それこそギルドマスターが国王と別の意見を出すのは確かに躊躇われる。

 この事を後日掘り返され、左遷などがされないとは誰にも保証出来ないからだ。


「納得だな」

「現に、前回の優勝は国王が投票したたこ焼きでしたものね」

「まぁ、優勝したたこ焼きも発想自体は面白かったがな」

「コロッサルが入っとらんのにたこ焼きを名乗れるかは疑問じゃがな」


 そして前回のたこ焼き大会は、国王の投票したバリエーションたこ焼きが優勝した。

 その投票者に、『夢幻泡影』のようにレギュレーション違反なのでは? と考えた者もいたかもしれない。

 だが、国王の手前それを言い出せなかった……可能性がある。


「よし、次を頼む」

「はいっす」


 もっとも、『夢幻泡影』にとっては関係のない話だが。


「次のは凄いっすよ。微発泡のワインというのはありましたっすけど、それを固めた猛者っす。固まっているのに炭酸を感じられる不思議なスイーツっす」


 三品目に出されたのは、いわゆる炭酸ゼリーと呼ばれるもの。

 ただ、微発泡のワイン程度しか炭酸飲料の無い異世界で、炭酸ゼリーへと昇華させたその調理士の腕は評価されるもので。


「しかも、その技術の応用で果汁ジュースにも炭酸を加えられる技術を確立したとかなんとか」


 というアエロスの言葉通り、出された皿に盛られたゼリーは色鮮やかで。

 紫や黄色、オレンジといった現代でもよく見かけるような色から。

 綺麗な水色、銀色、果てには無色と、おおよそ果汁から作ったとは思えない色まで。

 異世界では当たり前らしいそれらを、思い思いの色を口に含む『夢幻泡影』は……。


「舌に触れた瞬間、噛んだ瞬間、ゼリーがシュワっと消えるようだ」

「物凄く美味しいですわ」

「いや、正直このスイーツはヤバいじゃろ」

「優勝だろ」


 そのゼリーたちを大絶賛。

 先ほどのところてん同様、もっちりとした食感の物もあれば、トロリと水分に近いような食感まで。

 果汁の味に合わせた固さの研究もしっかりとなされており、かなりの高評価。


「このスイーツは別に優勝せずとも有名になるじゃろうな」

「レシピを公表した金だけで食っていける」

「それから各地域のご当地ゼリーが産まれて……」

「あっという間に広がるじゃろうなぁ……」


 ペロリと平らげてしまい、大会後の動きへと思考をめぐらす四人。

 その前に、


「最後の一品ですけど、こちらも凄いっすよ?」


 ことりと置かれた皿の上には、どこかで見たことがある物体が。


「貴重なシャジャの実のミルクと混ぜ合わせて、柔らかく、フルフルと仕上げた絶品っす」


 その見た目は白く、僅かな振動でプルプルと震え。

 よく冷やされていたらしく、お皿の周りには水滴が見受けられる。


「エントリー名は『プルーチェ』らしいっす」


 それは紛れもなく現代で翔が作ってくれたフルーチェのそれであり。

 何故だか名前もニアピンしている様子。


「あれ? どうしたっすか? 四人とも固まっちまいましたけど?」

「いや、何でもない」

「ですわ。おほほほ」

「う、うむ」


 そんな事実に固まっていた四人だったが、アエロスの言葉に動き出し。

 何故だか食べた事のある『プルーチェ』なる食べ物を、そっと口へと運ぶのだった。



「ふぅ」


 ひと段落。

 しっかり煮込んだ魔牡蠣や材料をミキサーにかけ、そこからザルに布巾を敷いてミキサーしたものを入れる。

 最後にしっかり布巾を締めて、上に水入りのジャム瓶を重石として乗せてオイスターソースの準備完了。

 後は搾り終わるまで一日二日待てば終わりっと。


「結構大変なのね」

「まぁね」


 オイスターソース、軽い気持ちで作り始めたけど全然大変だね。

 買えるんなら市販のを買う方が無限倍楽だわ。

 まぁ、問題は味だわな。

 これで市販品と大差ないなら次から作らない。


「搾りかすも結構出そうね」

「絞った後のカスはゴーレム君にあげようかなって」


 醤油とか入ってるけど、そもそも解呪水は塩水だし。

 今更塩分が~とか、塩害が~とかにはならないはず。


「あ、そう言えばおせちどうする?」

「もう既に買ってある。あの四人に食べさせたかったし」

「お金出すよ。いくらだった?」

「助かる~」


 四人と食べようって思って頼んでたおせち、姉貴がお金出してくれるってさ。

 流石大蔵大臣だぜ。

 ……一人暮らしだと全然食べないよね、おせち。

 実家に帰省とかするなら食べるんだろうけど、俺は実家がここだしなぁ。

 一人で食べるには多すぎるんだよね、おせちって。


「ちなみに今日の晩御飯は?」

「牡蠣尽くし。もう嫌って程牡蠣ばっかりにする」

「最高。今から楽しみ」


 というわけで晩御飯の仕込み、やりますかね。

おせちがどうなったかは元旦に投稿した正月スペシャルをご覧ください()

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― 新着の感想 ―
「このプルーチェにさっきの炭酸ゼリーの角切りをぶち込むと美味いんじゃね?」
何故固まってしまったか分からないなぁ(棒 騒ぐ程でもない味なので俺が代わりに食ってやろうって言った子供エルフなんて居ないよな!
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