聖夜ケーキ
書いてた時期はこれくらいだったんです!
信じてください!!
クリスマス。
それは……特に何も日常に影響がない行事。
俺の場合はね?
ただ、ケーキ屋さんとかでは正しく修羅場……と言うかかき入れ時。
なので、そこに合わせて新作のケーキを店頭に並べるお店も少なくなく。
ゆえにこの時期は、普段は見かけないようなケーキが並ぶ時期でもある。
――来年まで同じ商品があるとは限らないが。
……前に食べたルビーチョコのケーキ、美味しかったのにな……。
翌年には無くなってたんだよな……。
「ケーキか」
「切られてませんわね?」
で、そんな時期の話をしたので本日のデザートはもちろんケーキ。
しかもクリスマスに作られる特別なやつ。
その名もビュッシュドノエル。和訳するとクリスマスの木。
木を模したその見た目から、名前はピンと来なくても見たことある人は多そう。
「この世界で今はイベントをやってるんですけど、そのイベントの時に食べられるケーキです」
「ほう」
「それは儀式的なものなのでしょうか?」
儀式……儀式っちゃ儀式だよね?
もっとも、それは特定の宗教にとって、という枕詞が付くけど。
日本人にとっては……うん。
恋人とイチャイチャする日かと。
俺? …………俺には『夢幻泡影』が居るから……。
寂しくなんかないやい!
「ある特定の人物たちにとっては、と言った感じですかね」
「ふむ。じゃが、こうしてそのイベント関連の物が売られとるんじゃろう?」
「それはつまり、イベントに参加していることになるのでは?」
あー……どうなんだろ?
まぁ、言われてみればそうかもしれないけど……。
「気にしなくていいわよ。この国の商人は、とにかく理由を付けて物を売ろうとしてるだけだから」
と、商人が言っております。
まぁ、バレンタイン然り、最近だとブラックフライデーとか、イースターとかでも特売って聞くし。
結局、購入者に訴えかけられる何かがあれば、それを大体的に取り上げて売り上げをあげようって感じなんだろうね。
「なるほどな」
「どこの世界でも商人はたくましいものだ」
たくましい……たくましいかな?
そうかも。
「それで? このケーキの説明を頼む」
「まずチョコレート生地のスポンジでクリームを巻き、そこにココアパウダーで着色したクリームを塗ります」
「その時点で美味い」
「ですわね」
食いしん坊ず、ステイ。
「そこにフォークで樹皮っぽく模様を描いて、枝をイメージしたチョコなんかを飾り付けて完成です。あ、雪をイメージした粉砂糖なんかがまぶされます」
「チョコとココアとチョコだぞ!! 絶対に美味い!!」
「ちなみに想像通り甘いので、紅茶かコーヒーを一緒にどうぞ」
と、俺が説明している間に姉貴がビュッシュドノエルを切り分けてくれてた。
……分厚さが全然違うけど大丈夫そ?
「私と翔はそんなにいらないから、後はそっちで適当に分けちゃって」
「おお! スマンのぅ」
大丈夫っぽい。 勝手に俺のを切り分けられたことには驚いたけど、姉貴、少しは気配り出来るようになったんだね。
俺嬉しいよ。
「? 翔何してるの?」
「ん?」
「早く紅茶」
「あ、はい」
そこまで自分でしてくれたら完璧だったんだけどなぁ。
「私も紅茶で」
「私もですわ」
「俺もだ」
「なんじゃ、コーヒーはわしだけか」
で、それに便乗する『夢幻泡影』と。
ガブロさん安心して。俺もコーヒーだから。
「あと、レモンティーにして」
「はいはい」
なお、姉貴はもう一つ注文を付ける模様。
まぁ、いいんだけどさぁ。
と言うわけで飲み物も準備が終わりまして。
「では早速!!」
誰よりも早くマジャリスさんが一口。
恐ろしく早い一口。俺は見逃しちゃったね。
「このチョコのずっしりと来る感じがたまらん!!」
「その分クリームは軽いものになっていますわね」
「中のクリームだけだな。外のクリームはしっかりと油分もある」
「コーヒーが進む甘さじゃわい」
まぁ、外はバタークリームだしなぁ。
何なら、このビュッシュドノエルで一番軽いのは生クリームまである。
果物とか入ってないしね。
「紅茶の滋味と合うなぁ……」
「ストレートが本当に美味しいですわ」
「紅茶の香りとクリームの甘みが絶妙だ」
「コーヒーの香ばしさとも相性抜群じゃぞ?」
飲み物と合わせて楽しんでおられる様子。
……俺も食べたんだけどさ、美味しいよ?
美味しいんだけど、重いなぁ。
姉貴が切り分けた量ですら、ヘタすりゃ多い。
まぁ、ゆっくり食べていきますか。
「木をイメージしたケーキと言う事で、私達エルフにピッタリだな」
「エルフの里名物とかになっても不思議ではありませんわ」
「里の連中のように頭の固い奴らはこんなスイーツを考えもしないだろうがな」
「閉鎖的で保守的過ぎるんですわ。外にはこんなにも美味しいものがたくさんあるというのに」
「外は外でも里でも森でもなく、文字通り世界の外なわけだが」
「誤差ですわ」
異世界を誤差と呼べるの、この人らだけだろ……。
後は神様くらいか。
(呼んだかの?)
別に呼んで……神様、このビュッシュドノエル、食べてみます?
(ええんか?)
もちろん。
……決して俺が食べきれなかったからじゃないですからね?
(そういう事にしとくぞい)
新しくフォークを取りまして、そちらで俺が口を付けたところを切り離しまして、と。
それでは神様、こちらの世界の宗教的イベントのケーキです。
どうぞ。
(……そう言われると食べにくいんじゃがなぁ)
ちなみに去年に続き今年も年末年始お休み無く毎日更新です




