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異世界種族ジョーク

「正直、こちらの方を楽しみにしていた」


 とは、ユッケを目の前にしたラベンドラさん談。

 ここまで来たら余計な言葉は不要。

 というわけで早速いただいちゃってください。


「むほっ! 甘辛い味付けに肉の旨味。そこにごまの風味が香ばしいわい」

「濃い味付けだが肉の味が負けることはない。ワインにも合う」

「このワインも美味しいですわぁ……。厚みのある味わいに新鮮な果実味。しっかりした渋味はより深い味わいを作り出しますの」

「確かに合う。……だが、こちらの料理には正直ワインより白米だな」


 ちゃんと用意してありますよ、白米。

 韓国のりと細かく切ったカイワレを散らして、ユッケ丼にしてどうぞ。


「肉!! 白米!! 最強!!」


 姉貴、うるさい。


「甘辛いタレと白米の相性たるや……」

「海苔の香ばしさとカイワレのピリリとした刺激もいいアクセントですわ!!」

「ちなみにタルタルステーキもユッケもお代わり出来るんで必要なら言ってくださいね」


 生で食べるために解呪は多めにしてるからね。

 足りないなら追加するだけだし。


「ユッケ丼を食べたらタルタルステーキでワインじゃな!」

「それ最高ですわ!」

「と言うかこのワインのクオリティ……それこそ数年――いや、数十年に一度の出来なのではないか?」

「当たり前に売られてる銘柄ですね」


 オーパス・イチ。

 名前聞いたことあるなぁくらいで調べたら、ケイマスの数倍値段してビビった。

 当たり前に売られてはいるけど、買えるとは言ってない。

 ケイマスが年一のワインなら、オーパス・イチの方は昇進とか、成人祝い……には贅沢過ぎるな。

 ちょっと飲むタイミングが思いつかないレベルですね俺には。

 まぁ、本当にこれだけは姉貴に感謝かな。

 こんなワイン、俺なら死ぬまで飲まなかっただろうから。


「コレ美味しいわね」

「値段見て買って来たんだよね?」

「そりゃあもちろん。でも、飲まないと意味ないんだからこんなもんでしょ」


 買ってきた姉貴があまりにもカパカパ飲んでるからさ。

 思わず確認したけど……何と言うか、割り切ってる……でいいのか?

 これが本当にサバサバしてるって奴なのでは?

 単に執着してないだけかもしれんが。


「カケル、一応確認だが」

「なんでしょう?」

「このワインは神には捧げたんだな?」

「ですね。感想聞いてみましょうか?」


 ヘイ神様。今飲んでるワインの感想教えて?


(最っ高じゃぞ~。こんな美味いワインは飲んだ事無いわい)


「初めてこんな美味しいワイン飲んだらしいです」

「そりゃあそうじゃろ……」

「思ったのですけれど、神の舌が肥えてしまっては私たちは困るのではなくて?」

「どうだろう。新しいワインの製法やカケルから持ち込まれるゴーレム産の土壌。改良していく材料は揃っている。時間はかかるだろうが、我々の世界のワインもこの世界のワインを追いかけ始めるだろう」


 ユッケうめ。

 やっぱり卵と肉とご飯の組み合わせは最強だよな。

 そこに何加えてももはや美味いもん。

 そんで、飲み込んだ後に肉の旨味が口に残ってる間に飲むワインよ。

 一気に口の中で膨らんで、最高の余韻を届けてくれるわ。

 その後に一旦お茶で口をリセットして、タルタルステーキとバゲット。

 そしたらまたワイン。

 完璧ですわ。


「宝石を与えてどのような変化をするかで育つトレントにも影響が出そうじゃ」

「今の所無属性だが、属性が付いた土ではトレントの育ち方も変わるだろうしな」

「ワインの味わいにも影響が出るだろう。今後は醸造ギルドが忙しくなるだろうな」

「デザートワインの方でただでさえてんてこ舞いなのに、それらを抱えきるキャパがあるのか注目だな」


 てんてこ舞いとか久しぶりに聞いたわ。

 エルフの口から出てくるのが面白いな。


「カケル、タルタルステーキのお代わりを頼む」

「頼む相手が違いますわ。ラベンドラ、お願いしますわよ?」

「任せろ。付け合わせはいらんだろう?」

「わしもお代わりじゃ」


 頼まれて立ち上がりそうになったところをリリウムさんに止められる。

 で、俺の代わりに立ち上がるラベンドラさん。

 普通ならやって来た客人に動いて貰うのは違うんだろうけど、そもそも人じゃないし。

 ……そう言えばだけど、エルフって数える単位は何?

 普通に人で数えてたけど、合ってるのか? 聞いてみるか。


「ふとした疑問なんですけど」

「なんだ?」

「エルフを数える時の単位って何なんですか?」

「本」


 俺の問いに、即答するガブロさん。

 本? なんで?


「カケル、今のはガブロのジョークで、ドワーフは我々エルフを木の枝と認識している事を前提にしたものだ」

「ちなみに俺たちはドワーフを石ころと認識しているから個で数える」

「このパーティではそんなことありませんけどね」


 ……ジョークかよ。

 にしても、あまりにも『夢幻泡影』が仲良いから忘れるけど、やっぱドワーフとエルフって仲悪いんだな。

 お互いが生物じゃない物として認識してるの、控えめに言って面白すぎる。


「まぁ、普通に人間と一緒で構いませんわ」

「一番無難じゃ」

「どちらの呼び方にも与しない、その呼び方ならば何でもいい」

「んでも、人間と同じ単位だと嫌とか無いの?」


 姉貴? 余計な事は言わなくていいんだよ?


「エルフと一緒の呼ばれ方するよりは断然マシじゃわい」

「ドワーフと一括りにされなければ全然許しますわ」


 まぁ、一応これまでも呼び方には気を使ってたりしたんだけどね?

 なるべく人って言葉を発しないように……とかはね。

 でもまぁ、こう言われるなら、そこまで気にするほどの事でもないのか。


「ほら、お代わりのタルタルステーキだ」


 なんて考えは、追加でラベンドラさんが作ってくれたタルタルステーキにはしゃぐ、姉貴を含めた四人の声にかき消されていくのだった。

作者がひっそりと悩んでた部分でもあったり……エルフやドワーフの数え方

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― 新着の感想 ―
じゃあもう数え方は1ドワーフ3エルフで
エルフ・ドワーフの人に対する侮蔑な呼び方(数え方)はなんていうんだろう?
まぁ、ここの人達は種族的な話だと結構融通聞いてるよね、たぶんガブロさんの弟さんも他のドワーフさんよりは柔軟そうだしリリウムの爺ちゃんも他のハイエルフさん達よりは… まぁ、リリウムさんと殴り愛してるイ…
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