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異世界果物事情

「では早速……」

「このままかぶりつくもんか?」

「俺は一房ごとに分けて食べますかねぇ」


 多分だけど、農家の人はそうやって食べるの想定してないと思うけどね。

 だって、皮が薄いから包丁でカットして食べてくださいってあるくらいだし。

 中身だけ転移させて取り出したなんて食べ方、絶対に想定してないだろ。


「カケルに倣うか」

「それもそうですわね」


 と言って、俺がやってる通り、一房ずつ切り離すのはリリウムさんとラベンドラさん。

 他二人?

 姉貴がそのままかぶりついたのを見て、俺も俺もとかぶりついたよ?

 ワイルドだろぅ?


「うっま」


 なお、開口一番の感想は姉貴なもよう。

 というか、現代蜜柑を知ってる姉貴がそんな驚くって事は、さてはかなり美味いな?


「果汁が溢れるっ!?」

「この実の断面を見てくれ! 光り輝いて宝石の様だぞ!!」


 遅れてガブロさんとマジャリスさんの感想が飛ぶ。

 で、マジャリスさんがかぶりついた断面を見せて来たんだけどさ。

 マジで宝石って言われても不思議じゃない位の断面。

 蜜柑ってこんなにオレンジ色なんだ……と思えるくらいにはオレンジ。

 めっちゃ綺麗。


「一房ごとに食べていては気付けなかったことだな」

「貴族の会食などでは切られて出てきそうですわね」


 とか言いながら、ラベンドラさんもリリウムさんも一房を口の中へポイ。

 すると、


「確かに果汁が凄いな」

「皮を破った瞬間から瑞々しく濃厚な甘さの果汁が溢れてきますわ!」


 だそうで。

 ならばこちらも食べねば不作法という物。

 というわけでブランド蜜柑の『紅まどんな』、いただきます。


「うわすっげ」


 噛んだ瞬間溢れる果汁は先の二人が示した通り。

 ただ、普通の蜜柑と比べてもだいぶ違うところあるぞ……。

 まず果肉。普通の蜜柑みたくプリッとした感じじゃなくて、何と言うかとろみがある。

 ゼリーとかの食感に近いかもしれない。

 後、果汁も凄いな。

 すっごい甘い蜜柑……だけじゃなく、程よい酸味がスッと効いてくる。

 ただ、その酸味も長くは残らず、同じくスッと消えて甘さのくどさだけをかき消す感じ。

 マジで美味いよ、これ。


「果実だけじゃとデザートとしてどうなんじゃ? と思っとったが、これは立派なデザートじゃな」

「むしろ我々の世界のどのデザートと比べても遜色ない。……どころかこれと張り合えそうなのはチョコレートくらいか」

「チョコもどちらかというとこの世界由来のデザートですけれどね」

「……もしかすると、我々の世界にもこんな果実を実らせるトレントが居たりするのか……?」


 ……実はさ。

 ちょっとだけ気になってたんよ。

 異世界の果物事情ってやつ。

 一応、トマトとかスイカはマンドラゴラな訳でしょ?

 じゃあリンゴは? と少しだけ疑問に感じてた。

 でも、今のマジャリスさんの発言で分かったね。

 果実はトレントに実る。

 トレントってのはアレよね? 木の魔物というか、人面樹というか。

 

「少なくとも、今の所発見されているトレントには存在しないな」

「詳しいな」

「おおよそ調べたからな」

「貴族に仕えていたころか」

「そうだ。新しいデザートの開拓という事で、とにかく手当たり次第に取り寄せまくった」

「ちなみに何年前じゃ?」


 ふぅ、この蜜柑美味しい……。

 特に炬燵の中で食べてるからその美味しさも大きいってもんよ。


「百……いや二百……」


 ……ツッコむべきか?

 いやでもエルフ的には普通なんだろうし……。


「二百年前とか新しい魔物産まれてたりしないの?」


 ……ナイス姉貴。


「まぁ、無きにしも非ず、だな」

「でも、新種の魔物の発見報告なんて、最近ではトンと聞きませんわ」

「つまり誰にも見つからないところにいるのでは?」

「倭種の件もあるし、まぁどこかのダンジョンにはおりそうじゃが……」


 さて、半分ほど一房ずつ丁寧に食べましたけど?

 残りの半分はかぶりつきたいと思います。

 姉貴がやってるの見て凄く美味しそうに見えちゃってさ。


「誰も探索に行かないようなダンジョン……」

「国境の所は先日行きましたし……」

「……やはり海底ダンジョン?」

「目的がもう一つ出来たわい」


 あ、話し終わりました?

 みんな紅まどんなにかぶりついてますけど。


「水分量が多く、甘み、酸味ともにある。探索の途中でこれを食べれば、一気にモチベーションが戻りそうだ」

「そもそもこの果実を見つけた時点でモチベーションは振り切るのでは?」

「それはそう」

「じゃが見つけた瞬間に食べそうなやつもおるがのぅ」

「誰の事だ誰の」


 一人反応している時点でマヌケは見つかっているんですよマジャリスさん。

 ……あと姉貴、こそっと俺の紅まどんなを取ろうとしても無駄だ。

 何故ならそう来るだろうと思って同じタイミングで姉貴の紅まどんなをくすねたからな。


「……ハッ!? 翔に蜜柑盗られた!?」

「だったらなんで手元に残っているんですかねぇ?」

「? これは私が翔から盗った蜜柑だけど?」

「自分が盗ったの棚に上げてるの最高に姉貴だと思うわ」


 まぁ、俺のを盗りたいほど美味しい蜜柑というのは認めるよ。

 あと、割と大きくて俺はもう食べられないというのも認める。

 ただ、だからと言って姉貴にやるか……とはならんのよ。

 俺は明日の朝ご飯にするの!!

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― 新着の感想 ―
ほら、カケルママ……そこに神様と言う便利ツールがあるじゃん 聞けば一発、もしくは作ってくれるかもよ?ワインを生け贄にして
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