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もっと信じてもろて……

「……」


 えーっと……あの、ガブロさん?

 反応をですね?


「――ふぅ」


 恐る恐る一切れ取って、醤油にチョンと付けてパクリ。

 そのままゆっくりと噛み締めて……。

 飲み込んで、カワウソ祭りをゆっくりと口に流し込んだ。今ここ。


「どうだ?」

「……わしら、相当勿体ない事をしとったんじゃないかのぅ」


 味を聞いた返答が、後悔というか、反省というか。

 何故今まで生で食べなかったのか? という物であり。


「美味いんだな?」

「確実に。……というか、これなら変に調理せんでも美味いわい」


 追加で答えた後、今度は三切れ程まとめて掴むガブロさん。


「馬刺しにはショウガ醤油です」

「そうか」


 と、俺のおススメを教えたら、素直にその言葉に従ってくれて。

 三切れまとめて口に放り込めば、


「柔らかい肉と、そこから溢れる肉の旨味、甘さ。それらが醤油の塩味や甘さ、生姜の鮮烈な香りの後ろから現れるわい」


 ようやくの感想。

 ちなみに切ってみて思ったんだけど、どうやらケルピー倭種肉にも部位が存在するみたいですわよ?

 切り心地が若干違うんだ。

 恐らくだけど今食べてる部位はロースの部分だと思う。

 脂身が少なくてさっぱりした味わいの部分。


「……平均的な呪いの発動時間を過ぎた。大丈夫なようだ」

「取り上げますよ?」


 で、ガブロさんが食べた後も手を出さないもんだから、どうしたのかなーって思ってたらさ。

 呪いが本当に発動しないのか、警戒してたらしい。

 大体考えて欲しい。

 俺が食べてるんだぜ? んで、その呪いとやらがもしも解呪されてなくてさ。

 俺に発動しちゃって、ぽっくり逝ったとしよう。

 その場合、異世界の神様が四人から非難轟々でしょうよ。

 それに、神様も自分で飲みたがってたスミレ色のワインにもありつけない事だし。

 つまり、俺が生で食べるのを神様に止められてないって事実で、このケルピー倭種肉は生で食べられるようしっかりとした処置が済んでるってこと。

 OK?


(あっ……)


 神様? 大丈夫ですよね?

 何その不安になる様な、「あっ」は。

 ん?


「確かに、火を通した時とはまた違った味わいになる」

「あの苦戦したケルピーが、生でもこんなに美味しいだなんて……」

「カケルはショウガ醤油と言っていたが、ニンニク醤油も美味い」

「すりおろした玉ねぎなんかも合うらしいです」

「ならば試してみよう」


 神様の事は放っておいて、ようやく馬刺しを口にした四人が口々に言うもんで。

 それならばと追加の選択肢を出せば、ラベンドラさんが玉ねぎのマンドラゴラを懐から取り出し……。

 空中に放り投げると、憐れ玉ねぎは爆発四散! ナムアミダブツ!

 空中にすりおろされた状態で浮いておりますとさ。


「この醤油は今までのとは違うな」

「甘いんじゃよな」

「この国の南の方で作られてる醤油ですね」


 馬刺しには甘い醤油が合う。

 だから、九州の刺身醤油を使ってるよ。

 甘口醤油とかあるけど、多分それより甘いと思う。

 なんだったら、醤油だけでご飯食べられるくらいに美味しいし。

 なお、姉貴が瓶に入った醤油を送って来てくれたもよう。

 助かるぜ。


「醤油の風味も強い、肉に合う醤油だな」

「酒にもしっかり合うぞい!」

「しゃぶしゃぶも醤油につけてもいけるな!」

「全部美味しいですわ!!」


 という事で、全員が馬刺しにも箸を伸ばし、減るペースが速くなってきたところで。

 俺はとりあえずリタイアっと。

 フー……食べた食べた。

 あと、俺自身比で飲んだ飲んだ。

 日本酒、たまにしか飲まないけど美味しいね。

 肉にも魚にも合うわけだし、もう少し飲む機会を設けてもいいかもしれない。


「こら! その肉はわしが狙っとった肉じゃぞ!!」

「早い者勝ちですわ! それに、ケルピー肉はまだありますわよ!」

「カケルの世界の肉は私達には希少なんだ! そう独り占めするな!」

「向こうの世界でも食べたいが……流石にダンジョン内で鍋を囲むというのは無防備が過ぎるし……」


 まだまだ騒がしい所ですけれど? 食べ終わるまでカットしますわね。

 ご安心ください。用意した食材は、全てエルフ達が美味しく頂きました。



「大変、美味しゅうございましたわ」

「最高じゃった」

「ケルピー刺しも美味かったぞ」


 うん、気持ちいいくらいに綺麗に平らげてくれたね。

 作った側冥利に尽きるってもんだ。


「……カケル」

「?」


 とか思ってたら、なんかラベンドラさんが真剣な顔してこっち見て来てますけど……。


「今後、こちらの世界の解呪をお願い出来ないだろうか?」

「……はい?」

「こちらの世界では、今回のように安全に生で食べられるほどの解呪が確立されていない」

「研究は進めているんですけれどね」

「だが、カケルは当たり前に生食可能に解呪するだろう? ならば、いっその事カケルに頼もうと思ったわけだ」


 あー……まぁ、理屈は分かるんですけれど……。


「もし失敗しても責任は取れませんよ?」

「解呪が成功しているかどうかは鑑定魔法で判断出来る。もし解呪が出来ないようであれば、その時はそのまま食材を返却して貰って構わない」


 ん~……解呪って言っても別に特別な儀式とか魔法とかしてなくて、炒り塩で塩水作ってそこに漬け込んでるだけだし。

 手間も値段もそんなだし、俺としてはいいっちゃいいんだけど……。


「一つだけ」

「なんだ?」

「呪いが溶け込んだ塩水の処理なんですけれど」

「ゴーレムに与えるといい。恐らく、喜んで飲むはずだ」


 ……はい?

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― 新着の感想 ―
僧侶or聖母or聖女枠のカケルママですね、分かります(聖者もあるけど何故か聖母or聖女なイメージ) なんか、呪いの水…子供にご褒美の美味しいジュースを上げるイメージになったゴーくん
カケルママ、ワインにリソースを振りまくってる神様だよ?かなりポンコツに決まってるじゃん…
神様のあっ……は一体。 命に関わることじゃないと思うんですが、不安を煽る。 呪い水とか体に悪そうだけど大丈夫なの……?
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