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市場は回る

「贅沢……それ以外の言葉が見つからない」

「カケルから聞いた説明だけで美味しい事は確定。その上での言葉なのですけれど、本当にこれを作るのにどれほどの手間がかかるのでしょうか……」

「クレープ生地とクリームの断層とで噛み心地が違うのがいい」

「美味いもんじゃな~」


 いや、そりゃあね?

 美味しくないはずが無いよなって。

 あと、色々と良かったよ。

 誰かしらがクレープ生地を一枚一枚剥いで食べるんじゃないかと心配してたんだ実際。

 ……主にマジャリスさんとか。


「クレープ生地を均一の大きさに焼き、そこに均一の厚さでクリームを塗る。……本当に職人のなせる業なのだろう」


 そこんところどうなんだろ?

 んでも、普通にファミレスとかにデザートとして置いてあったりするしなぁ。

 ……あ、でも、それで言うと意外とケーキ屋さんには置いてなかったりするかも。

 やっぱり手間なのかな? 手間なんだろうな。

 カフェとかの方が置いてあるイメージ。


「クレープ生地はおよそ20枚程度……そこにクリームか……」

「再現出来るか?」

「出来はする。ただ、かなり手間がかかる上にどこかの誰かが一瞬で食べつくすだろう。……作る手間に見合うかと言われると……」


 ……言われてますよマジャリスさん。

 と思ったら、マジャリスさんと一緒にリリウムさんも顔を背けてやんの。

 二人か……。


「クリームとチョコとを交互に挟んで白黒の断層にして王様に献上というのは?」


 言うだけならタダ。

 そう思って手間とか度外視で提案してみたんだけど……。


「献上は良策だが、別に我々で無くてもいい。そもそも、我々が直接献上すると、そのレシピが流出しない」

「となると考えられるのは……」

「スイーツ大会の景品じゃな」

「そういえば、寒天は作れそうでした?」


 スイーツ大会優勝者にレシピを与える方向で決まったらしい。

 そうすれば店でミルクレープが買えるようになるし、優勝者はレシピの公開でお金が入ってくる。

 そして作ったミルクレープを王へと献上すれば、その出来次第では王家御用達の看板も掲げられる。

 この人らって、金とか地位とかにマジで興味ないんだろうな。

 何に興味あるんだろ。

 食べ物か、分かり切ってたわ。


「今はまだダンジョンを踏破中で材料を探せていない。だが、見せて貰った作り方は、おおよそこちらでも真似出来るだろう」


 昨日あんこ玉と芋ようかんを食べた後、異世界に戻る前に寒天の作り方――てんぐさからの製法を動画で見せたんだよね。

 色々と首を捻ってたりしたけど、多分翻訳魔法さんが上手い事やってくれたと俺は信じてる。

 それに、作れるってラベンドラさんが言ってるなら作れるだろうさ。


「問題は量だな。私一人で作ったところでたかが知れているし、ここは国王へ頼むことになるだろう」

「国を挙げての第二回調理大会の為ですもの。嫌とは言わせませんわ」

「実際前回のたこ焼きで経済も潤っとる。二回目の開催は国王としても嬉しいはずじゃ」

「たこ焼きの時は様々なアイディアに驚かされた。また我らが思いつかないデザートが出てくると思うと心が躍る」


 プレーンミルクレープを完食しながら、まだ見ぬ寒天デザートに思い馳せるマジャリスさん。

 どうだろうねぇ。寒天って、意外と発展性無いと思っちゃうな。

 あんみつとか、それこそあんこ玉が俺の思いつく関の山だよ。


「次はモンブランなのでしたっけ?」

「ですです」


 続いてプレーンのミルクレープに栗の香ばしさが追加されたモンブランミルクレープへ。

 流石にチョコよりも味が濃厚って事は無いだろうと思ってのこの順番だけど、果たして。


「間違いが無さ過ぎる」

「香ばしさと風味がプラスされ、一気に引き締まるな」

「頬は綻ぶがな」

「おいひぃ……おいひぃですわぁ……」


 リリウムさんにクリティカルだったみたいだ。

 噛み締めながら食べてるよ……。


「さっきのカケルの提案もそうだが、中に挟むクリームで色々と差別化出来るのがいい」

「ハムとチーズでも!?」

「それは流石に……だが、不味いという事はあるまい」


 まだ言うかガブロさん。

 というか、それならもう普通にクレープでいいじゃん。

 って言えないんだよなぁ。

 言うとミルクレープにも同じ言葉が返ってくるから。


「だが野菜でも水気が多いものは向かないだろう。ツナもしっかり油を切らなければダメだ」

「むぅ……」

「となると一気に挟めるものが狭くなる。甘くないミルクレープを作るくらいならクレープとして食べた方がいいだろうな」


 あ、ラベンドラさんが言ってくれたや。

 サンキューラッベ。


「クリーム以外にジャムも合うだろうし……」

「貴族の中で、朝食に食べる事が流行ったりしますかしら」

「有り得るな。何なら、ミルクレープを作る職人を屋敷に招き入れる可能性すらある」


 朝食でクレープ……。

 割と有りなのか? だったらクレープよりガレットの方が合う気もするんだけど。

 ちなみに俺の想像してるガレットは小麦粉じゃなくそば粉で作ったクレープの事。

 ガレットって言うと平たい料理全般の事を指すこともあるらしいし、一応ね。


「さて、最後にショコラか」

「挟むクリームがチョコなのではなく、生地にチョコを練り込んでいるようだ」

「チョコも最近は製造する人が出て来たのでしたっけ?」

「『ヴァルキリー』が言っていたな。『――』の実さえ持って行けばチョコを貰えるそうだ」


 チョコだけを作る人が出て来たのか。

 異世界でもチョコが蔓延するんだろうな……。

 蔓延は言い方悪いか。流行するんだろうな。


「初めは値段も張るだろうが、気になった冒険者が口にし、衝撃を受け、『――』の実を持ち寄るという事が繰り返されれば、同じようにチョコを作るものが増えるだろう」

「そうすると供給量が増え、徐々に浸透し……」

「最終的には、誰でも手軽にチョコを食えるようになる、か」

「チョコは酒に合うし、そうなる事を願うばかりじゃわい」


 凄い話だよね。

 これが流通って奴ですか?

 とかなんとか思ってる間に、最後のショコラミルクレープ、実食です。

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