大好物
「やはり肉は食うと元気が出るな!」
「肉以外でも食えば元気を出す癖に」
「一番はお酒でしょう。ガブロにはそれさえ与えておけば死にはしませんわ」
「失礼な! 流石のわしも酒だけだと一週間しか持たんわい」
一週間持つんだ……すげぇな。
ちなみに今は食後の団らん中。
もっと言うなら、ご飯とデザートの合間の時間。
みんな仲良くお茶を啜り、今日の肉について話してる最中。
「しかし、肉だからと煮付けを頼んだが、やはり脂身は欲しいものだな」
「ですね。脂身の食感と甘みって結構大事なんだと再確認しましたよ」
ラベンドラさんがポツリと呟いた言葉に即賛同。
いやね? 別に美味しかったよ? すっごく。
でもね? やっぱり脂身は欲しいかなって。
角煮で想像して欲しいんだけど、やっぱり脂身あっての食べ物じゃん?
マジでそれ。肉は柔らかいし、味は良い。
けど、それはそれとして、って感じね。
決してヒツジナゾニクが不味いってわけじゃない。
「だが、ああして赤身ばかりの方がワインには合いそうだぞ?」
「銘柄次第だ。特に、微発泡と合わせるなら脂身はあって欲しいものだ」
この人達はそれも含めるよね。
こう、脂を洗い流すための炭酸と言っても過言ではないだろうし。
まぁ、だったら微発泡じゃないワインを用意するまでなんだけども。
「ところでカケル? 今日のデザートは?」
「俺も久しぶりに買って来たものがあるんですよ」
スパイスだったりを調達する際にね?
もうすっかりお馴染みになったデパートの一角に、とあるお店を発見したわけですよ。
多分日本で一番有名な芋ようかんのお店。
見つけた時は内心ガッツポーズしましたわ。
あそこの芋ようかん本当に好きだからさ。
……というわけで購入してきたわけなんですけど?
どうせならってことで、芋ようかんとあんこ玉っていう商品の詰め合わせセット。
これを人数分購入してまいりました。
――出費は……うん。
考えない事にしよう。近いうちに姉貴に宝石が流れるみたいだし、そこからこっちに流れてくるのを待とう。
……これって三店形式か?
いやでも循環してるしなぁ……。
これってどこに持って行けばいいですか? と言う『夢幻泡影』。
それに対し、
「よく分からないですけど皆さま異世界の方へ行かれてますね」
なんて誘導されて。
ここで飯を食う、と。
なんかそれっぽいの嫌だわ。
考えるのやめよ。
「お茶淹れますね」
そして今回のデザートに合うようにお茶は奮発したぞ。
お茶で高級な銘柄と言えば玉露が有名だけど、その玉露の収穫量が日本一の場所はどこでしょう?
正解は……福岡県は八女市。通称八女茶。
日本で六番目のお茶の生産量で、その半分くらいが玉露なんだってさ。
そりゃ玉露の収穫量一位になるわ。
コクと甘みが秀でてるそうですわよ?
「ほう。この時点で香りが全然違うな」
「甘みを含んだ丸い香り。しかもかなり広がっていく」
「香りも清涼感があって清々しい風のようですわ!」
「属性にするなら間違いなく風じゃな」
で、恒例の匂いタイム。
その内この人らはマジで匂いで白米食うと思う。
それくらい香りに敏感だし。
「で、その箱の中身が今日のデザートか」
「です。お茶によく合いますよ」
そして満を持して芋ようかんとあんこ玉の出撃です。
芋ようかん、MEブースト。
「……なるほど」
ちなみにあんこ玉って言うのは、その名前の通りあんこを丸めて寒天でコーティングした和菓子。
そのあんこも種類があって、小豆、白いんげん、抹茶、苺、珈琲、みかんの六個の味なんだってさ。
絶対に美味しいじゃんね。
「まずはこれから」
という事でフォークを渡し、みんながつつくは芋ようかんなり。
ちなみに三本入り。
「むぉ!? かなり滑らかじゃぞ!?」
「しっかりと形を保っているのに、口に入れた瞬間に滑らかに広がりますわ!!」
「……芋と砂糖と塩しか使っていないのか。それでこのクオリティ……」
「芋の種類から味付けや工程、全てが洗練されているのだろう……」
うし、みんな芋ようかん食べて衝撃を受けているな。
ここの芋ようかんはマジでレベルが違うからな。
バターや生クリームすら入っていない、マジで正真正銘の芋のポテンシャルだけで勝負してるからね。
「お茶が……美味い……」
「芋の甘みと喧嘩することなく、むしろスッキリとした感じすら残させる……」
「このお茶のクオリティも凄いものだぞ? ……と言うか、このお茶だけで国王献上品でおかしくない」
「一気にリフレッシュしますわね。本当に、身体の中を一陣の風が吹いたよう」
嘘だろ? あのガブロさんが酒以外でウットリしてるだと?
――そういえば、
「お酒の八女茶割とかあったような……」
「なぬ?」
あ、ヤバい……か?
いやでも記憶あやふやだし……。
「ガブロ」
「落ち着きなさいな」
「むぅ……」
こうして静められてるし、セーフだな。
でも一応調べとこ。
……緑茶焼酎? 何それ知らん。
え、ちょっとだけ飲んでみたいのは俺だけ?
お値段は…………。
スクショして、姉貴に送って、よろりん……っと。
「次はこの玉じゃな!」
玉言うな。
んでも玉か。
とりあえず俺は芋ようかんを頂きます。
マジで何年ぶりだろ、いただきま~す。




