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いつもより多めに回しております

「邪魔するぞい」


 ん、もうそんな時間か。

 さようならリラックスタイム。

 いらっしゃい『夢幻泡影』。


「……? なんかホクホク顔してません?」


 蒸気が出切って膨らんだアイマスクを外すと、冷えた外気に晒された俺の視界に入ってきたのは。

 俺比通常の1.25倍ほどいい笑顔をした四人の姿。

 ははーん。さては何か珍しい食材でも手に入れたな?


「珍しい食材が手に入った」

「しかも、可食部のほとんどを譲り受けましたの!」

「まぁ、単純に我々に調理をさせた方が美味くなるからだろうが」

「わしらも美味いもんは食いたいから、ありがたいわい」


 ……思ったんだけどさ。

 ラベンドラさん達に誰かが料理目当てで食材を渡すでしょ?

 で、その渡された食材は『夢幻泡影』経由で俺に来るじゃん?

 もちろん、料理目的で。

 で、俺が作った料理を食べたラベンドラさんが向こうの世界で再現する……。

 もしかして、『夢幻泡影』って、一番美味しい仲介の役にしれっと入り込んでる?


「さて、カケル。生地の準備は十分か?」

「あ、はい。二次発酵まで終えてるので、後は伸ばして具材乗せて焼くだけです」


 変な考えをしてたらラベンドラさんにピザ生地の事を聞かれちゃった。

 もちろん、抜かりはありませんよ。


「よし。では早速準備をしていこう」

「俺たちも準備を進めるぞ?」

「頼む」


 お? 今回はマジャリスさん達も何かしら手伝うみたいだな。

 関心関心。


「カケル、庭を借りるぞ?」

「はぁ」


 庭で何をするんだろ?

 周りに家は無いから大体の事は大丈夫だと思うけど、一応確認しとくか。


「何をするつもりです?」

「ピザを焼くための窯を作るだけだ」

「土魔法でちょちょいのちょいじゃわい」


 窯かぁ……。

 それならまぁ、いいか。

 余程変な事にはならないだろうし、何なら、庭に窯が出来たら嬉しいまである。

 こう、『窯焼き〇〇』って響きだけで美味しそうって感じない?

 感じろ。


「生地の大きさが違うようだが?」

「ハンドトスタイプと、クリスピータイプで分けようかと」


 ハンドトス、いわゆるふっくらもっちりしてて耳があるタイプの生地ね。

 人に寄るだろうけど、俺はこっちのタイプの方が好き。

 クリスピーは生地が薄く、ザクザクとした固い食感でビールとかと合わせるならこっち。

 どっちも美味いよ。みんな違ってみんないい。


「なるほど、了解した」


 というわけでまずはラベンドラさんと二人で並んでピザ生地を伸ばす――と思っていたんだけど。

 ラベンドラさん、ピザ生地を空中に浮かせてくるくる回しはじめまして。

 遠心力で、均一に伸びて広がっていく様を、ぼーっと見てることしか出来なかった。

 ……一応、そのピザ生地を伸ばす技術って、無形文化遺産に登録されているんだけどね?

 魔法使っちゃあ有難味がないよ、ラベンドラさん。


「よし、続いて具材だ」

「先にソースでは?」

「……よし、カケルに任せよう」


 ちょっとした確認のつもりだったのに、なんか任されました。

 とりあえず、


「トマトソース有ります?」

「もちろんだ」


 なんかの魔物の皮で出来た袋から出てくるトマトソース。

 やや粗めに潰されたトマトが、時折ゴロッと流れ出てくる。

 そいつらをピザ生地に塗りまして、俺が用意していたガーリックチップを振りまいて。


「トマトソースならばまずはこれだ」


 取り出されるは、何の肉か全くわかんない。

 んでもどこかで見たことある様な?


「ワイバーンの肉だ」


 !!? 僕知ってる! ワイバーンって手羽先なんだ!!

 なるほどな? トマトと鶏肉の相性は最高だもんな。

 だったらワイバーンとも相性最高か。


「大きすぎてもアレだから細かく刻んで……」

「バジルも散らしときますね」


 ちなみに今回、ワインとピザ生地って注文だったけどさ。

 合わせて、ピザに欠かせないであろうハーブやら、香辛料やらをたっぷり集めてきた。

 

「あのハーブか。絶対に相性いいな!」

「でしょう?」


 で、それを見てウキウキになるラベンドラさん。

 美味しいよね、バジルって。


「これにさらにカットしたマンドラゴラたちを乗せていく」


 で、追い打ちのようにスライスされたトマト(マンドラゴラ)だったり、カットされたアスパラガス(マンドラゴラ)達を乗せまして。


「そしてチーズだ!」


 ここで初登場、異世界産チーズをこれでもかと乗せたら一枚目のピザが完成。


「二枚目はちょっと俺に任せてください」

「ほう」


 二枚目に入る時に声をかけ、一つ作りたかったピザへ取り掛かる。

 生地はクリスピー。まずは……、


「先ほどのワイバーン肉、まだあります?」

「もちろん」

「じゃあ、また全体的に散らして貰って」


 そうして貰ってる間にリボーンフィンチの卵をフライパンへ。

 そして、炒り卵を作っていく。


「何を?」


 いいから見てなって。

 出来た入り卵をピザの上にバラまき、ここで照り焼きチキンのタレを取り出して。

 そう、作りたかったのは照り焼きチキンピザ! チキンじゃなくワイバーンだけども。


「ほう」


 で、たっぷりと照り焼きのタレをかけましたら、同じくたっぷりのチーズ!!

 そして仕上げに、刻み海苔を散らして完成ですわ。


「そのピザは興味があるな」

「美味しいですよ?」


 なんて言いながら、その後も俺とラベンドラさんで楽しくピザを作っていった。

 ……庭が、あんなことになっている事も知らずに。

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― 新着の感想 ―
トランスフォーム出来る窯とか…
大丈夫? 庭に多段式登窯とか作られてない??
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