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苦い思い出

「この中だと杏仁が一番サッパリしとるぞい」

「チョコの濃厚な感じが一番いい」

「イチゴプリンの甘みと風味が最高ではなくて?」

「甘さと風味のバランスならかぼちゃプリンも捨てがたい」


 思ったより喧々諤々(けんけんがくがく)に話し合ってる様子の四人。

 ちなみに俺はイチゴプリン味を吸ってる最中。

 こう、パックジュースのイチゴオレあるじゃん?

 あんな感じの味なんだけど、そこに苺本来の酸味が追加されててさ。

 甘い、けれどもサッパリしてるような、絶妙なバランスの味わいなんですよ。


「デザートというのは!! それで食事の終わりを彩らなければならず!! デザートの食後には何も入らない程の代物でなければならない!!」


 またなんかマジャリスさんが力説してるよ。

 あれだよね、フランス料理とかの考え方。

 デザートで一日の食事の終わりを締めくくるんだから、ドッシリ重めのデザートが多いってやつ。

 チョコレートとか、生クリームをふんだんに使ったケーキとかさ。


「そういうデザートは翌日にも響く!! 現にお前は寝起きが悪いだろうが!!」


 ……まーた要らん情報が増えてしまった。

 マジャリスさん、寝起き悪いのか。


「うっ……。だが、それを言うなら酒を飲んだ翌日のガブロだって――」

「頻度が違うじゃろ。というか、わしはダンジョンに潜っとる時は酒は断つぞい」

「そうですわよ? まぁ、ラベンドラの作るデザートが美味しいのはそうなんですけれど……」

「そうだ! 美味しいのが悪い」

「分かった、手を抜いてクオリティを落とそう」

「違う!! そうじゃない!!」


 赤いジャケットにサングラスかけたアレかな?

 あと、聞けば聞くほどマジャリスさんが子供の言い訳しかしてないのおもろいな。

 なんとか自分からベクトルを逸らそうとガブロさんをやり玉に挙げて失敗してる所とか。


「まぁ、こうは言ったが別にチョコ味を悪く言っているわけでは無い」

「普通に美味しいですものね」

「なぜ俺は責められたんだ……」

「考えたら負けじゃぞい」


 藪蛇というか、口は禍の元というか……。


「む、杏仁豆腐美味い」

「じゃろう? わしにはこの位の甘さの方が良いわい」

「イチゴプリンも試せ。果実との組み合わせの素晴らしさを知れ」

「あら。やはりパンプキンプリンも美味しいものですわね」


 で、急に仲良くなってあっちもこっちも、と飲むプリン談義が再開するわけですね。

 ……まぁ、俺はそこから早々に脱落するわけですけど。

 残った俺用のパンプキンプリンは冷蔵庫に入れて、明日の朝に食べましょ。

 食べる? 飲む? ……飲むだな。


「ふぅ。美味かった」

「プリンは既に再現されていますし、こちらもそれほど苦労はしないのでしょう?」

「試していないから何とも言えんが、恐らくはそこまで難しくないはずだ」

「そういや、『無頼』は甘味はどうなんじゃろうな? 酒好きはどうも甘味を好まん傾向にあると思うのじゃが……」

「もし『無頼』が甘味が苦手なら俺が代わりに食べよう!」


 うむ。まぁ、飲むプリンを買って来た理由の一つが割とこれ。

 再現、毎回大変そうだし、前に教えたデザートで、ベクトルが違う物を提供すれば、ラベンドラさんの負担も減るかなって。

 どうせマジャリスさんが毎日デザート作れってせがんでるでしょ。


「さて、では持ち帰りだが……」

「バンズは買って来てありますし、チーズもあります」

「という事は……バーガーだな!」

「です! 目玉焼きも乗せちゃって、月見バーガーといきましょう!」


 別に、四人が食べてるのが美味しそうだったからってわけじゃないんだからね!!

 俺だって、目玉焼きとチーズ乗せてハンバーグを食べたかっただけなんだから!!


「よし、じゃあ焼いていくか」

「レタスやトマトも買って来てるんで、ガッツリ挟んじゃいましょう!」


 というわけで、ジライヤタンハンバーグと共に、トマト、レタス、更には焼いた輪切り玉ねぎも挟みまして。

 チーズを乗せ、魔法で炙り。

 更に目玉焼きを乗せ、デミグラスソースをたっぷりかけて完成!

 持ち帰り用ジライヤタン月見バーガー!!

 俺は流石に明日のお昼ご飯! 食べるその時までどか弁に封印し、四人を見送り。

 別れ際に、


「ところでカケル、すまないんだが相談がある」


 なんて言われまして。


「どうしました?」


 と聞けば、


「『無頼』に結構な量のジライヤタンを食われてしまってな。もしよければカケルの所にあるジライヤタンを回収させて貰えないだろうか?」

「なんだ、そんな事ですか。どうぞどうぞ」


 神妙な顔して何を言いだすかと思ったら。

 こっちにあってもどうせほとんど四人の胃袋に入ってるようなもんだし、俺は別に文句はないよ。


「一度渡した物を回収するのは心苦しいが……本当にすまない」

「いいんですって。これまで一杯食材を持ち込んでもらいましたし、これ位は――」

「なので代わりの食材を置いていく。では!」


 ――いや、あの。

 ジライヤタン回収して、新しい食材置いて、退散するまでがあまりにスピーディ過ぎない?

 俺何の反応も出来なかったんだけど?

 ――ハッ!? これが……女子力?


「んで、また君か……」


 さて? 置いて行かれたジライヤタンの代わりになる食材なんですけれどもね?

 卵。うん、卵ですね。

 例によってかなりデカい。過去に貰ったデカクカタイタマゴほどじゃないにしても、多分俺の顔と変わらない位。

 まぁ、これなら一食分くらいにはなるかな。

 あの四人の食欲から考えて。

 ……よし、じゃあ翻訳魔法さんと神様にお供えでもしますか。


(待っとったぞい)


 えぇっと、キュウリ、あと味噌。

 赤ワインにジライヤタンハンバーグが神様用で……。

 あ、渡し忘れてたや。神様、日本酒と芋焼酎を四人の元に転移お願い出来ます?


(ちょちょいのちょいじゃ)


 よし。やること終わり。

 風呂入って寝ましょ寝ましょ。


(うまー!!)


 ……寝てる時は静かにお願いしますね? 神様。

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マジャリスちゃんの言い訳とカケルママの言い訳はどっこいどっこい 子供っぽさが
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