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後出し反対

「……グッ」


 何も言わずに突き出されるサムズアップ。

 リリウムさんなんかは目を閉じて自分の世界に浸ってるし。

 まぁ、合ってるんだろうな。


「ふぅ……」


 バカな!? あのガブロさんが落ち着いてため息だと!?

 槍でも降るのか? もしくはあられ!?


「最高だな」


 あれだけはしゃいでたマジャリスさんが落ち着いて感想を言うレベルか。

 こう、ガンジーも助走を付けて殴るレベル、とか、イギリスが食事にクレームを付けるレベル、みたいな類義語が出来てしまったかもしれん。

 ……ちなみに昔はメシマズの代名詞だったイギリスも、最近は全然そんな事は無いんだって。

 国外の料理店が一杯出来てるから、らしい。

 ――いいのか? それで。


「強くはあるがまろやかで、香りほど甘さも無い」

「お肉と合わさると最高で、ソースも一緒にすると頂の上ですわ」

「割としっかりある渋味が肉の味を引き出す。そこに来るこのソースよ」

「カケルをわしらの国に連れて行ったら、国王に召し抱えられるじゃろうなぁ……」


 行きませんけど? あと、多分召し抱えるのって料理人として、だよね?

 違うっての。趣味で料理作ってる奴と、仕事で料理することを選んだ人を一緒にするな。

 そこにはとんでもない意識の違いとか、覚悟があるんだからさ。


「肉には赤が通説だが、この赤は特に美味い」

「ハンバーグから出る脂からの肉汁がもう凄く凄いマリアージュですわ!」

「このワインも、俺たちの世界だと貴族にしか手が届かないレベルの値段が付くのだろうな……」

「はようワインの品質が底上げされんもんか」

(それな)


 ……神様、しばらく大人しくしといてください。

 思わずツッコミをしそうになるんで。


「このワインとなら、どれだけでも食べてしまえそうだな」

「お肉の焼き方も非常に好みですわ。この形状は初めてですわよね?」

「俵型と言って、今回はじっくり焼きましたけど。最初に表面だけを強火で焼いて、割った後に中を焼く、みたいなやり方もありますよ」


 某ハンバーグ店とかだと、俵ハンバーグは目の前で切ってくれるんだよね。

 で、全然火が通ってない中を鉄板に押し付けて、好みの焼き加減で食べる。

 店によってはペレットが付いてる所もある。

 肉を押し付ける熱された鉄の事ね。

 あれとかも、多分日本発祥の考えだよね。

 教えといてみるか。


「ちなみになんですけど、肉に火をあまり通さないまま提供し、熱した鉄製のプレートなんかでお客さんに好みの焼き加減にして貰う、なんてのもこの世界にはありますよ?」


 元々は、レアで注文したのに食べている途中でミディアムになる、みたいな、お客さんの声から店側が開発したものだってね。

 そしたら、自分で自分の料理を仕上げるっていう工程が、エンターテイメント感を上げてお客様満足度が上がったとかなんとか。


「確かに、肉の焼き加減にはうるさい奴がおるの」

「中まで火が通ってないと呪いの除去が出来ないのに、焼き過ぎて肉が固いと文句を言う方とか」

「自分で焼くと必ず失敗するからと、決して自分では焼かない奴とかな」


 ……察し。

 だってみんなマジャリスさん見てるんだもん。

 うるさいのに焼かないのか。なんて言うんだろ? そんな人の事を。

 逆焼肉奉行とか? いや、単純に迷惑なやつ、か。


「カケル、お代わりを焼こう」

「え? あ、はい」


 なんて話してたら、みんな俵ハンバーグも赤ワインも無くなってやんの。

 ちょっと待っててくださいね、今俺も食べてしまうんで。


「ワインはまだあるんだろうな!?」

「もう少しなら大丈夫です」

「よし!!」


 何がよし!! だよ。全く。

 ……一応、調味料も兼ねてるんですからね。

 飲み過ぎるとまた買ってくる羽目になるのよ。

 まぁ、そんなに高いワインを調味料に使う予定はないけど。


「ところでカケル」

「なんでしょう?」

「このハンバーグやソースにはチーズが合うと思うのだが……どうだ?」


 ……ピクッ。


「目玉焼きなんかも合いそうですわね」


 ……ピクピク。


「大根おろしと大葉でさっぱりなんてのもどうじゃ?」


 ――うぅん。


「なんで俺が食べ終わった後に言うんですか……」


 絶対に美味しいじゃん。

 なのに、なのに。

 もうお腹一杯で、デザートしか入らないような俺にその事を告げるなんて……。

 恨むからな! 一生!!

 エルフにしたら僅かな期間かもしれないけど、恨むからな!!


「今思いついたものだから……」

「なんかスマンぞい」

「申し訳ありませんでした」


 あ、いえ。謝って欲しいとかじゃなくてですね?

 自分でもこう、どうしていいか分からない怒りを向けちゃったと言うか……。

 とにかく気にしないでください。


「チーズと目玉焼きは出来ますけど、大根おろしは用意してませんね」

「ふむ。まぁ仕方ないか」

「マンドラゴラは備蓄があるのではなくて?」

「つい先日限界が近かったために全てピクルスにした。タイミングが悪い」


 こう、何気なく言った一言なんだろうけどさ。

 ただのピクルスならまだしも、マンドラゴラのピクルス……。

 いや、そんな事は無いと思うよ? でもね?

 聞いた限りだと、顔つき野菜の酢漬けなわけで……。

 ヤダよ俺、漬けてたら段々表情が苦悶の表情に変わっていく漬物食べるの。

 せめて顔の所は削ぎ落しててくれ。

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― 新着の感想 ―
神様、時間魔法をワインにも使えたらこんなことにはならなかったのにね なんと言うか過去の自分が現実の自分の首を……変えられないし
糠床は寝床、ピクルス液は風呂、みたいなマンドラゴラ的価値観があるかも…
ぬか床から取り出したマンドラゴラが苦悶の叫びを!(瀕死
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