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衝撃に備えろ

 ジライヤタンのハンバーグ……焼いてるだけで匂いが凄いな。

 もう何と言うか、美味いとかを通り越した匂いしてる。

 この匂い嗅いだら、たとえ風邪の時だって食欲沸くよ多分。

 ――まぁ、風邪とかの体調不良の時に食欲が無くなるのは、消化のリソースを病原菌撃退の方に向けるからとか聞いたことあるけど。

 脳みそも本能を忘れるレベルの匂いって事で一つ。


「下味は必要なんで、塩コショウだけは振りましょうか」

「任せる」


 という事で軽く塩コショウを振り、じっくりと焼いていく。

 ちなみに今回は俵ハンバーグにしてみてたりする。

 たまに形状を変えたくなるんだよな。

 コロコロと転がしながら、満遍なくじっくりと焼いていってますわぞ~。


「そう言えばなんですけど」

「?」

「ジライヤって、前聞いた時はかなり強い魔物って話だったと思うんですけど、よく討伐出来ましたね」


 『ヴァルキリー』だっけ? ラベンドラさん達に舌を提供したの。

 てことは、『ヴァルキリー』は『夢幻泡影』以上の実力者達って事か。


「討伐はしていない」

「あ、してないんだ」

「かなり追い詰めたらしんじゃがな。あと一歩、という所で、舌を囮にして逃げたらしい」


 んなトカゲみたいな。


「あまりにも動きが単調になったから不審に思っていたら、気が付けば戦っていたジライヤの姿がこの舌になったらしくてな」


 しかも変わり身かよ。

 マジで忍者――いや、NINJAだな。


「それに、『ヴァルキリー』も無事ではなかった」

「へ?」

「二人ほどやられ、一時は入院していたほどだ」

「無事だったんです?」

「昇格会にはピンピンして出席していた」

「滅茶苦茶食っとったな」

「ワインもカパカパ飲んでいましたわよ?」

「腕の立つヒーラーに見て貰ったか、あるいはヒーラーが居るのか」


 なんて話をしていたら俵ハンバーグが焼き上がり。

 そしたらこいつを千切りキャベツとカットトマトの乗ったお皿に乗せまして。

 たっぷりとデミグラスソースをかけていく。


「カケル、先程そのソースを作るのに赤ワインを使ったな?」

「……ちゃんと皆さんが飲む分もありますよ」


 チッ。言及されたか。

 言われなかったら適当にはぐらかしたかったのに。


(わしのは?)


 神様まで参戦しない。

 というか、神様が催促しなさんなっての。

 あるから、ちゃんとあるから。


「ひゃっほい!!」

(ひゃっほい!!)


 ハモるな……。

 はぁ、とりあえずワイングラスを人数分。

 そして今回買って来た赤ワインは、シャトー・ド・フォンベルって奴。

 俺一人だったら絶対に買わないワインだったけど、姉貴からの仕送りもあるし、何より飲むのが『夢幻泡影』や異世界の神様だからね。

 俺の中では奮発した。

 ただ、ワイン全体から見ると全然お手頃価格なんだろうなぁと。


「では、揃いましたし?」

「「いただきます!!」」


 そうしてワイン持ってテーブルに着席すれば、リリウムさんが音頭を取り。

 全員で、手を合わせてからのいただきます。

 さぁて、食べますわぞ~。


「んまい!!」

「~~~~っっ!!!」

「こりゃたまげた」

「驚くほどに美味い」


 俵ハンバーグにナイフを入れ、ソースをたっぷりつけての一口。

 それを行った四人の反応が、コマーシャルかよってくらいお手本でさ。

 マジャリスさんはハンバーグを噛んだ後に白米を掻っ込んでるし、リリウムさんはほっぺに両手を当てて悶絶。

 ガブロさんは目を見開いて驚いてるし、ラベンドラさんはソースだけを指で掬って舐めちゃってる。

 ……俺もいただきますか。


「っ!?」


 ちょっと待って。

 感想どうこうよりまずは白米!!

 ……あ~、美味い。

 凄く美味い。とても美味い。

 噛んだ瞬間のタン特有のあのちょっと固い歯ごたえ。

 それを乗り越えた先にある、柔らかな食感とさ。

 絶えず溢れてくる肉汁がもう最高なんよ。

 これだけで白米が無限に食える。

 で、ですよ。

 即席とは言え俺が作ったデミグラスソースの合い方ったら無いね。

 使った赤ワインの相性が良かったのか、マジでレストランで出されても不思議じゃないソースと化してる。

 そこに混ざるジライヤタンの肉汁が、最強のマリアージュになって、白米を無限要求してくるんだよね。

 これはちょっとズルいわ。

 こんなの食べたら普通のハンバーグ食べられなくなるじゃん。


「このソースエグイな!!」

「マジパネェっすわ!!」

「米が……消える……」

「マジでなんか依存性のある成分混じっとらんか? 手が止まらんぞい!!」


 前二人に関しては無視するけど、人聞きの悪いこと言うんじゃないよガブロさん。

 俺がそんなことするわけ無いでしょ。


「カケル! ワインも試させてくれ!!」

「そ、そうでしたわ!! あまりの衝撃に忘れておりましたわ!!」


 で、口調が戻ってきた二人に言われたので、ワインオープン。

 それぞれグラスに注いでいきまして。


「香りはかなり甘い」

「その奥から果実の酸味が顔を覗かせますわ」

「色も濃いルビーのような美しさ」

「やはりこの世界のワインはどれも品質が高いわい」


 急に落ち着くな。温度差で風邪引いちゃうでしょ!

 ただでさえ最近気温の上がり下がりが激しいんだから。


「かなりの衝撃が予想される」

「気を確かに、ですわね」

「ハンバーグもだが、ソースとの相性も気になるな」

「では、いただくか」


 信じられるか? これ、ただワインを飲もうとしてるだけなんだぜ?

 で、ガブロさんの言葉を合図に、ハンバーグを食べてワインを飲む四人。

 果たして反応は?

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― 新着の感想 ―
やっぱりジライヤって…… いや待て違う違う頭からヤツのイメージを追い出せ… 俵ハンバーグの店、近くに無いか調べてしまったw
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