俺だよ俺。ハンバーグだよ!
最初だからという事で、始めはお猪口に少しだけ注いでもらい。
その間に『無頼』という人について聞いてみる。
「どんな方でした? 『無頼』って方は」
「なんと言うか……物凄く荒々しい人でしたわ」
「口調も粗暴でな。肉寿司――ジライヤの舌を薄切りにして炙ったんだが、それを次から次に口に放り投げていってな」
「……「こりゃうめぇ!」って大騒ぎしとったぞい」
「ラベンドラの再現マヨネーズもご機嫌にたっぷりと付けとったし、何より食うわ食うわ」
「おかげでこちらのジライヤタンがかなり減ってしまった」
ふむふむ。まぁ、ソロでSランクになるような腕の立つ人だし、なんか勝手にそう言うイメージだったけど。
粗暴というか、豪快というか、がさつというか。
解釈一致ですね。
こう、俺としては侍であったりしてくれると嬉しいんですけど。
「よし、注ぎ終わった」
「では、異国の酒を味見してみよう」
なんて話をしていたら、全員分のお酒がお猪口に注ぎ終わりまして。
……言ったらアレだけど、色味的にはほぼみりんだな。
透明じゃない。
……香りは無臭。
そんなことある? 酒でしょ? 匂い無いのマジ?
「ふぅむ……」
ちなみに真っ先に口を付けたのはガブロさんです。
というか、ガブロさんが口付けるまでみんな待機してたというか。
「どうですの?」
「悪くは無いと思うぞい。ただ、ううむ……癖があるな」
あの酒好きのガブロさんがちょっと言い淀んだ?
大丈夫かこのお酒?
「強いか?」
「そこまでじゃないわい。ワインと変わらんのじゃないか?」
大体14%前後くらいか……。
日本酒だともうちょい高いのが基本だし、飲んで大丈夫そうか。
「うぐっ!?」
口に含んだ瞬間ラベンドラさんが嘔吐いたけど、飲んで大丈夫か?
「大丈夫か?」
「思ったよりキツい……」
「純粋なアルコールを楽しむ飲み物って感じですわね」
「美味しくない!!」
ラベンドラさんが思ってたよりもキツいのか。
で、リリウムさんの評価から何となくの味の想像が出来た。
あと、マジャリスさんはストレートに言い過ぎね? もう少しオブラートに包みましょう。
――さて、んじゃあ俺もチロっと舐めてみますか。
……ぶへっ!?
「美味しくない!!」
マジャリスさんゴメン。あなたの言ってることは正しかったよ。
この異世界のお酒の感想を言うなら簡単。
水に砂糖とアルコールをぶち込んで混ぜた飲み物。
以上。
香りも無い、ただ甘くてアルコールがグッと来る。
口直しにお茶お茶。
「やはりカケルには合わんか」
「合う合わない以前に本当にお酒ですかこれ? 調味料って言われた方がまだ納得できますよ?」
ちなみに、この異世界の酒とみりんって選択肢だったら俺はノータイムでみりんを手に取る。
それくらい美味しくない。
「さて、今回の晩御飯に移ろう」
「ですね」
気を取り直しまして、本日の晩御飯へ。
「ジライヤタンを使ったハンバーグを作りたくて」
「いいな。あれは美味かった」
「国王も大絶賛じゃったからな」
「今から涎が止まりませんわね!!」
うん。俺がハンバーグにしようって決めたのはこれよ。
俺がレシピを教えた時点で、この人らなら絶対に作ると思ってた。
んで、そうなると俺の手助け要らんよね?
「ちなみにソースは?」
「希望有ります?」
「デミグラスソースがいい」
「……分かりました」
要るみたいですね。
そうか、ソース……忘れてた。
自分でハンバーグ作る時は、大体タネにウスターソースやらとんかつソースやらケチャップ入れて味を調えちゃうから。
にしてもデミグラスソースか……。作るか……。
「俺、ソース作るんで、ハンバーグはお任せしますよ?」
「任せろ」
というわけで俺はソースに注力しませう。
デミグラス、デミグラス……とりあえず玉ねぎをみじん切りに致しまして。
これをたっぷりのバターできつね色になるまでじっくり炒めまして。
きつね色になったらそこに赤ワイン、顆粒コンソメ、ケチャップ、ウスターソース、とんかつソース、砂糖をぶち込んで。
赤ワインのアルコールを飛ばし、とろみが付いてきたら完成っと。
ちょっと味見……。
うん、かなり赤ワインが効いてるけど美味い。
絶対に肉に合うって自信があるソースが出来たな。
あと、玉ねぎの甘みが凄くいい。
……これ、ご飯にかけて食べても美味いな。
「カケル、後は焼くだけだぞ」
「あ、そっちは手伝います」
で、俺がソースを作ってる間にハンバーグのタネを作ってくれてたラベンドラさんから報告が。
んじゃあ焼いていきますか。
「ちなみにツナギとかは?」
「……つなぎ?」
ふぅ、焼く前に聞いといて助かったぜ。
このハンバーグ、ジライヤタン100%か。
それはそれで美味しいと思うんだけど、やっぱりハンバーグはあのフワフワした食感がすこな訳よ。
というわけでアレンジのターン!!
ラベンドラさんが作ったハンバーグのタネに、恐れ多くもまずはタマゴ!
そこにパン粉! そして少量の牛乳!
これを加えて更に混ぜ混ぜ。
かなり粘り気あるな……。ジライヤタン、こんな手触りなのか。
「何を?」
「つなぎと言って肉がまとまりやすくなるんです。肉100%だと、ひび割れとかしませんでした?」
「したな。国王に提供した時はひび割れした面を下にして……」
「そう言うのを防ぐんです」
「なるほど」
という事でラベンドラさん作のハンバーグアレンジverが完成。
後はペチペチ叩いて空気を抜いて、フライパンで焼けば、ジライヤタンのハンバーグの完成ですわ。
それじゃあ焼いていきますわぞ~。




