恩恵
はい、懺悔します。またもや忘れてました……。
え? 何をかって?
シナモンスティックですねぇ……。
朝起きて冷蔵庫開けたらいの一番に目に入ったよね……。
よし、今から送ろう。
「……」
と言うわけで魔法陣の上にシナモンスティックを置き、なんやかんやしましたけども。
どうやら何の反応もない様子。
まぁ、もしかしたら起きてない可能性あるしなぁ……。
でも魔法陣の上に置きっぱなしにしとけばその内気付くでしょ。
そんな事より朝ご飯ですよ。
シャコナリケリを塩茹でして、レタス、トマトと一緒にパンに挟みましたら。
昨日と一緒でジェノベーゼソースをかけていく。
最後にチーズを挟んで、シャコナリケリサラダサンドの完成!!
これがうめぇんだ。ここにコーヒーなんかも添えちゃえば、朝からリッチなご飯ってわけ。
やっぱり現代社会、朝から美味いもん食って無いとやってられませんわ。
「うし、行ってきます」
食べたらしっかり片付けまでして、誰に言うわけでもない行ってきます宣言。
これについてはもう癖だね。ま、仏壇のばあちゃんにでも届いてればいいかなって。
*
ただいま! と言う事でね。
晩御飯何にしましょうかしら?
いやまぁ、想定はエビフライ……ならぬシャコナリケリフライだったんですよ。
でもさ、仕事中にさ、
(今夜四人が新たな食材を持って来るからの)
なんて、知らないおじいちゃんみたいな声が頭に直接響いて来たんですよ。
こいつ……直接脳内に!? ってなったのと、誰だお前!? ってはなったんですけどね?
(あ、あと、シナモン……じゃったか? あれ、届けておいたからの)
とか聞こえて来て確信しました。
これ、異世界の神様です。
これまでそんな事無かったんだけど、こうして脳内に直接声をかけて来たって事は、昨日のお供えがお気に召したのかなって。
と言うわけで、シャコナリケリフライはサブプランとして、メインは四人が持って来る食材としてみた。
楽しみだねぇ、一体どんな食材を持って来るんだか。
「お、来たな」
首を長くして待つこと二分。全然伸びてないが?
「カケル、お前は何をした?」
「へ?」
紫の魔法陣が出現し、四人が登場。
今日はラベンドラさんが先頭だったんだけど、俺の顔を見るなりそんな事を言って来て。
「朝起きたら神から直接シナモンスティックが渡された! ……いや、直接と言っても姿を現してはいないのだが……」
「シナモンスティックが空中に固定され、私たちが手に取ったら、神様から神託が伝えられまして……」
「わしらの知るいかなる場面の神よりも、ずっと上機嫌だったんじゃ。理由を聞いたらカケルに聞けと言われてな」
「何かカケルがやらかしたのだと俺たちは焦っていたんだ」
……あー。神様、マジで料理のお供え物嬉しかったのか。
シナモンスティック届けたのも、四人が食材持って来るって俺に伝えたのも、神様なりのサービスサービスゥ↑ だった可能性あるのか。
……とりあえず説明しよ。
「昨日皆さんが帰った後に、神様にもお供え物をしたんですよ」
「ワインか!?」
「違います。マジャリスさん、昨日のご飯食べてる時にずっとワインを欲してたじゃないですか?」
「まぁ、あの料理には確実にワインが合うだろうからな」
「なので、料理をお供えしたんですよ」
「なるほど……ですわね」
リリウムさんは俺の説明で納得してくれたらしい。
「神様がワイン以外のお供え物を受け取った……?」
「今まで拒否されてなかったか?」
「逆に考えるんじゃ。これより、ワインに合う料理も神様が受け取るようになる、と」
「ワインに合う料理の前に、異世界で食される美味さの、という枕詞が付くがな」
一応言っておくか。
また俺なんかやっちゃいました?
「あ、そうそう。その神様からの情報ですけれど、新しい食材を持って来たとか?」
「む、それすらも伝わっているのか」
「その通りで、新たな食材を手に入れて来たぞい」
「諸事情でダンジョンには入れないので、釣りで手に入れたのですけれどね」
釣り……って事は魚か。
なんだろうなぁ……。
「『――』という魔物なのだが、この魔物には身が無い」
……ん? 今クッソ不穏な言葉聞こえなかった?
身が――無い?
「ゾンビ系の魔物で、骨だけで動き回る魔物なのだが、我々が釣り上げた個体には鱗が付いていてな」
あー……ボーンフィッシュとかスカルフィッシュとか呼ばれてる系の魔物か。
……でも身が無いんでしょう?
「その鱗が、恐らく食用になる。と言う事で持って来たわけだ」
で、取り出されるよく分からない骨だけ魚の鱗。
たださ、その鱗? 俺見覚えあるよ。
「……まさか――ウニ?」
「そう見えるだろう?」
こう、見た目の色味が濃いけど、間違いなくウニ。
黄色よりオレンジとか山吹色のそれは、確かに鱗に見えなくもない。
まぁ、ウニがビッシリ生えている魚とか想像したらキモイけど。
ただなぁ……魚の鱗って、意外と食べないんだぜ?
甘鯛だっけ、鱗ごと食べる魚って。
基本的に鱗は取ってから調理するしなぁ……。
物は試しだし、やりますけれど?
「……とりあえず、塩水で洗ってみますか」
神様が食材だって保証してくれてるんだ。
迷わず行けよ、食えば分かるさ。行くぞー!!




