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さてさて。
四人にはケーキを二つ買って来たわけだけど、当然ながら俺はそんなに入らない。
というわけで、鳴門金時のサツマイモモンブランだけを俺用に買って来てある。
だから和栗のモンブランの時は食レポが無かったんですね。
「色が奇麗な黄金色じゃな」
「倭種マンドラゴラのと確かに似ている」
「つまり約束された勝利の美味しさという事ですわね!!」
というわけでみんなでパクリ。
そのお味は……?
「甘すぎず、上品な味わい」
「風味がしっかりとありますわね。こう、ずっしりと来る甘さではなく、本当にスッと溶けるような甘さというか」
「クリームの滑らかさや土台のタルトとしっかり相性が良いぞい!」
「甘さだけがスイーツの重要事項でない事が、この世界の甘味からよく分かるな」
好評ですね。
まぁ確かに、サツマイモでも紅はるかとかよりは甘さは無いよね、鳴門金時。
でも、栗みたいなホクホク感と香ばしさが俺は好きだな。
あと、マジで甘すぎないのがいい。追加で言うなら水分もかな、
ねっとりとしてないから、他と比べてさっぱりしてる感じなんだよね。
「カケル……コーヒーを頂けるか?」
「あ、はい。淹れますね」
「俺は紅茶を」
「わしはブラックで」
「私も紅茶をお願いしますわ」
で、ケーキがあるとくればそりゃあティータイム、あるいはコーヒーブレイクの開始の合図ですわ。
それぞれが頼んできた飲み物を淹れたら、俺もサツマイモモンブランを一口。
……ん~、んっめ。
なんて言うんだろうな、割と栗が好きじゃないって人っているじゃん?
そんな人でも全然笑顔で食べられるよね、サツマイモモンブランって。
いや、そりゃあそうだって話なんだけど、栗使って無いし。
でも、全然違和感無いスイーツだし、よくぞ開発してくれたってなる。
「ふぅ……美味かった」
「季節の味覚、堪能したな」
「待て。これで堪能したというのは早計だぞ? カケル、この季節に旬を迎えるものはまだあるのだろう?」
「そりゃあ、食欲の秋、なんて言われる季節ですからね。そりゃあもうたくさんの物が旬を迎えますよ」
「やはりか! ……カケル、出来る範囲でいいのだが――」
マジャリスさんが手を擦りながらめっちゃ俺と目線合わせてくる。
絶対デザートに対する頼み事だろコレ。
さぁて……予想するか。
一番人気は今後のデザートを旬の果物メインにしてくれ、だな。
ていうかこれだな。他の候補は出走中止でいい。
「分かりました。デザートには旬の物を使った奴を用意しときます」
「……読まれた、だと?」
「思考の先読みは上級魔法ですわね」
「マジャリスの性格上、丸わかりだったじゃろうが」
当たってた。
んで、当てられたマジャリスさんだけが、目を見開いてどうしてそれを? みたいな表情してましたけどさ。
他の三人はデスヨネー感凄いぞ。
リリウムさんに至っては悪乗りまでしてるし。
「んでまぁ、勘違いされてそうなんで言っておきますと、このケーキに使われている材料、品種によって味とか変わりますんで、そっちも用意しますよ?」
さっき挙げた紅はるかとかね。
後は安納芋とかも有名だし、紫芋だって立派なサツマイモだ。
こうして考えるとサツマイモだけで結構種類あるな?
有名品種を買って、家で焼き芋とかしてもいいかもしれん。
焼きたてにバター乗せてさ、かぶりつくの。
これ最高の贅沢だろ。
「確かに、この我々の世界でも住んでいる環境によってマンドラゴラは違いがあるか」
「楽しみが増えたわい」
「あ、あと、その材料から作られるお酒もあるんで、そっちも手配しときます」
芋焼酎ね。匂いに癖があるし、飲む人は選ぶけど……。
ガブロさん――というか、ドワーフなら気にしないだろ。
「恩に着る」
「さて、では持ち帰り用の料理を作ろう。……何を作る?」
「こいつらをフライにしてさっきのパスタソースをかけて挟むというのはどうでしょう?」
サラダ油なら揚げられるって分かったし、持ち帰りはシャコナリケリフライのジェノベーゼサンドになります。
間違いない美味しさだよね。
*
「では、また」
「お邪魔しましたわ」
と言って魔法陣に入っていく四人を見送り、ホッと一息。
さてさて、もう一仕事しましょうかね。
と言ってもやることはあまり変わらない。
シャコナリケリを使ったサラダと、ジェノベーゼパスタをもう一度作る。
マジャリスさんがしきりにワインを欲してたし、つまりは白ワインと合うのは約束されたような物。
だったら、普段からワインを楽しんでる人にお供えという形であげちゃっても断られはしないだろう。
向こうの世界の事はよく分からないけどさ、多分、あの四人に関して結構色々寛大な処置をしてくれてるんじゃないの?
というわけで、テーブルに描かれた魔法陣。
その上に、シャコナリケリサラダとジェノベーゼパスタを置きまして。
「異世界の神様、普段あの四人を見てくださっているささやかなお礼です。どうぞ受け取りください」
と、合掌して一礼。
……あれ? 二礼した方が良かったかも? なんて思ってたら、シュンッ! と両方とものお皿が消失。
そして瞬きほどの時間で、綺麗な状態でお皿だけが返ってきた。
まぁ、受け取って貰えてよかった。どうやら洗う必要ない位に綺麗にして貰えてるし、多分喜んでもらえただろ。
*
良く出来た人間じゃな~。
わし、もうご機嫌じゃよ。
ワインとの相性も最高な料理じゃったからなぁ~……。
かと言ってこちらから礼をするわけにもいかん。あの世界……と言うか国は万の神が居るようだしの。
わしが干渉することで、変な影響が起きんとも言えん。
あの四人が出会う魔物のレア度で調整するかのー。
どうせ珍しい食材を手に入れたらあの世界に持って行くじゃろ。
そしたらそこでまた調理されて、わしに供えられるかもしれんしの。
ふぉっふぉっふぉ、久しぶりに面白い存在が出て来たものじゃ。
……惜しむらくはデザートワインか。
いやしかし、あれは過去の酒造ギルドのやらかしじゃし……。
今更怒りが収まったと言うのも威厳に関わるし……。
本当に何であんなことしやがったかのぉ……。




