天高くエルフ跳ねる秋
ジェノベーゼ、恐るべし。
マジで美味しかった。
なんと言うか、何故か注文しようとは思わないんだよな、お店とか行っても。
大体カルボナーラとかで済ませちゃう。
あと和風パスタとか。
でもこれなら、お店で頼んだ味とかも試してみたいなって感じになる。
ご馳走さまでした。
「ワイン……」
「だから、買って来てないんですって……」
マジでずっとワインをねだられたけど、無いものは無い。
「こればっかりはしょうがない。我々の世界からこちらへとワインを持ってこようとしても、神様に没収されてしまうわけだしな」
「あ、持ち込もうとはしたんですね」
「何度か試したんですけれどね。どれも奇麗に瓶ごと持って行かれてしまいましたわ」
「まぁ、しゃーないわい。その執着のおかげっちゅーか、ワイン以外の奉納が要らんのじゃからな」
何度かチャレンジしたのか。
そしてお供え物がワイン以外不要な神様か。
……う~ん。俺のばあちゃんは、って話になるけど、友達から貰ったお菓子とか、それこそ徳さんから買ったお米も、一度仏壇に供えてたんだよな。
仏様のおかげで食うに困りません、って手を合わせてた。
そんな光景を見てきたから、ワインだけってのは想像出来んな。
「奉納料として教会はガッツリ持って行くがな」
「まぁ、その分しっかりとしないと天罰が下りますけれどね?」
「……それは物理的にです?」
ちょっと興味を惹かれる内容で聞いちゃったよ。
俺が思う天罰って雷なんだけど、そこんとこどう?
神也、ってね。
「様々ですけれど、過去に不正を働いていた教会の司祭は、より上位の枢機卿の夢の中で神託として不正を告げられていましたわね」
「そこから詳しく調べられて不正が暴かれ、糾弾されて罰を受けたな」
「……斬首とかです?」
「そこまでじゃないわい。不正によって得た金銭を全て没収の上、許しが出るまでの無償奉仕で現在も奉仕中じゃ」
「ちなみに聞きますけど、誰から許されるまでです?」
「もちろん神様じゃぞ」
大丈夫かなぁ……。
こう、俺が心配する事でもないと思うんだけど、神様、忘れてたりしない?
大丈夫か、神様だもんな。
「ところでカケル、今日のデザートだが」
「本日はケーキを二種類買って来てます」
「ひゃっほい!! 早く食べよう!!」
暇そうにしてたマジャリスさんも、ケーキって単語に反応して俺を急かす。
手を叩くな。
「ちょっと前に倭種のマンドラゴラでデザートを作ったの覚えてます?」
「確か、きんつば……だったか?」
「ですです。あのマンドラゴラをクリームと混ぜて絞ったものが乗せられたケーキですよ」
「説明だけで美味そうじゃわい」
なんて、モンブランとサツマイモモンブランの軽い説明をしつつケーキとご対面。
モンブランの上にはグラッセされた和栗が乗せられているし、サツマイモモンブランの方には小さなスイートポテトが乗ってる。
間違いなく美味い。
「では早速!!」
という事でケーキを提供したらいの一番にマジャリスさんがフォークを受け取りケーキへ一刺し。
対象は和栗のモンブラン。
「む、下はタルトになっているのか」
「ですです」
マジャリスさんに続いてフォークを刺したラベンドラさんが底のタルト生地に言及したね。
俺が買って来たモンブランは一番下がタルト生地。その上にスポンジがあって、生クリームからのモンブランクリームという構成ですわよ。
ちなみにサツマイモモンブランも同じ構成。
「うまーーいっ!!」
あ、はい。
「香ばしさと甘すぎない甘さの絶妙なバランスですわね!!」
「上に乗っとる推定木の実がしっとりとしていて美味いぞい」
「恐らくはこの木の実が上にかけられたクリームの材料だろう。似た香りがする」
「ですです。秋の味覚の一つ、栗ですね」
……そう言えば思ったんだけど、異世界って四季はあるのかな?
聞いてみるか。
「ちなみにラベンドラさん」
「なんだ?」
「ラベンドラさん達の世界に四季って存在しています?」
そう聞いたら、ラベンドラさんは一度フォークを置いて少し考え。
「時期によって温度の変化などはある。だが、あまり大きいものでも無い」
「どちらかというと、地域差の方が大きいですわよ? 北に行けば寒いですし、南に行けば暑い」
「火山地帯でも温度が上がる傾向にあるし、逆に地底湖などは常に涼しいな」
「環境に合わせた魔物が住み着くわけじゃし、地域によって住む魔物は間違いなく変化するわい」
なるほど? 多分だけど日本ほどハッキリとした四季は無い感じか。
その分、地域差が大きい、と。
まぁ、地域差があるのは地球でも同じだしなぁ。
日本でコーヒー栽培が難しいとか。
「そのような質問をするという事は、この世界には季節の移り変わりがあるという事か」
「ですね。まぁ、特に今居るこの国は顕著です。その変化のおかげで、今の時期はこれが美味い、っていう旬ってのがあるわけでして」
「分かったぞ! 今日のケーキの材料、それらは今が旬なんだな!!」
……嘘だろ? あの甘味を食べていたら五歳児並の知能指数になるマジャリスさんが当てた……?
明日は雪? いや、あられ? すわ天変地異か!?
「その通りですけど……」
「どうりで美味いわけだ!!」
……多分まぐれ。いや、美味しいものを求める本能か……?
神様「そういや忘れ取ったな……。そろそろよいか」




