表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
335/782

無いものは無い

「早く食べよう!」

「ですわね!!」


 食いしん坊エルフ二人に急かされるようにお皿を持って行く俺とラベンドラさん。

 ……と思うじゃん? 途中までは持って行ったのよ? でもね? 途中からマジャリスさんとリリウムさんの浮遊魔法に捕まってね?

 お皿だけ綺麗に持って行かれたんだよね。

 どれだけ早く食べたかったんだよ……。


「サラダとパスタか」

「スープがあれば我々のよく見る一食という感じだな」

「最近だとパスタとサラダだけで済ませるなんて珍しくなりましたけれどね」

「カップスープならすぐに出来ますけど……つけます?」

「欲しい!!」


 やっぱりスープは必要か。

 えぇっと、ミネストローネがあるからそれでいいか。 

 パスタに合うでしょ。


「まずはサラダからだが……ドレッシングはラベンドラが作ったんじゃったな」

「そうだ。刻んだ玉ねぎにマヨネーズを入れ、ケチャップを少々。そこに砂糖を少量入れて酸味の角を取り、ブラックペッパーを加えてパセリを混ぜ、完成だ」

「間違いなく美味そうですね」


 ドレッシングだけでここまで美味しそうと思えるの凄いよ。

 ……そう言えば、某イタリアンシェフが、オリーブオイルは美味しければほぼドレッシングとか言ってたな。

 試してみるか。


「プリップリの『――』と野菜の組み合わせが食欲をそそりますわ!」

「ドレッシングも美味い。野菜にも、『――』にもよく合っとる」

「これは向こうの世界でも再現は容易なんじゃないか? 白ワインに合わせてみたいが」

「まぁ、任せておけ」


 もちろんラベンドラさん特製のドレッシングもかけまして、その上からオリーブオイルをたらり。

 というわけでシャコナリケリのサラダ、いただきます!


「うま」


 当たり前だけどうめぇや。

 ていうかマジで美味いな。なんだこれ。

 割とマジで結構お高めのレストランの雰囲気出てる。

 まず何と言ってもシャコナリケリ。

 こいつがメイン。その食感がまたドレッシングと最高に合っててさ。

 まぁ、エビにマヨもケチャップも合うのは分かるんだけど、その配合が凄くいい。

 ほんのり赤らんだクリーム色って言うの?

 こう、サウザンドレッシングに近い感じ。

 黒コショウがピリリと聞いて、パセリの香りが鼻に抜ける。

 そんなドレッシングと、野菜が合わないはずもなく。

 レタス、トマトの瑞々しさがまた素晴らしい。

 野菜の美味しさにシャコナリケリの旨味と甘み。

 ドレッシングの味と全部の調和が凄い。

 サラダだけで大満足ですわよ。これ、ここにパスタをぶち込むだけでも美味しいサラダパスタになりそうだわ。


「サラダだけでこの満足感なのですもの、よりメインのパスタに期待がかかるというものですわ」

「その前にこのスープも美味い。お湯を入れるだけでこの満足感だぞ? この製法を私は知りたい」

「いや、俺を見られましても……」


 カップスープのミネストローネを飲みながら、ラベンドラさんがこっちを見つめてくる。

 分からんて、どんな原理か。 あれじゃないの? 水分抜いて粉末にしてるんじゃないですか?

 知らんけど。誇張抜きで何も知らんけど。


「対象の水分を抜く魔法があればなんとかなりそうではありません?」

「試してみない事には分からんな」


 リリウムさんがこうして言って来たって事は、多分だけど魔法を開発するな。

 対象の水分を抜く魔法かぁ……聞くだけなら攻撃魔法みたいに考えちゃうなぁ。

 やろうとしてること、カップスープとかを作りたい、だけども。


「ところで、このパスタなのじゃが」

「なんでしょう?」

「ラベンドラに聞くぞい? このパスタに使われとったハーブ。目星は付いとるんか?」


 ガブロさんがそう言うと、マジャリスさん、リリウムさんの視線がラベンドラさんに集まる。

 ……ちなみに俺の目星の数値は43。

 大体働かないんだよね、目星。


「冗談を言うな。言っただろう? もし我々の世界なら爵位の高い貴族か王族が食べるようなものだ、と」

「つまりは……?」

「ここでしか食べられない超贅沢品だ」

「「いただきます!!」」


 ハーブも希少品かぁ……。

 いや、多分違うな。バジルのようなハーブが希少品なんだ。

 まぁ、こちらの世界に居る時くらいはね、味わってくださいな。


「鮮烈な香りが鼻へと駆け上る」

「チーズやパスタと最高に合いますし、何より『――』との相性がそれはもう最高ですわ!!」

「ハーブの甘い香りと『――』の甘さ、スパイス香とチーズのコクのマッチ具合と言ったらどうだ!!」

「相変わらず麵が美味い。モチモチとしていて歯切れよく切れる。ソースの絡み具合も申し分ない」

「こんなもん周りが食っとったら奪い合いが発生するわい!!」


 ジェノベーゼも好評ですね。

 どれどれ、


「むふっ!!」


 ちょっと最初の一口の香りが強すぎて咽た。

 でも美味いわ。もっとこう、刺激的な感じかと思ったけど割とそうでもないな。

 もちろん、鼻に抜ける香りは強烈だけど、だからと言って味もそうかと言われると違う。

 加えたピーナッツが割といい仕事してるよ。

 香ばしさと、軽さがそこで加わってるんだろうね。

 バジルの香りに隠れたオリーブの香りが後から来て、パスタとシャコナリケリに絡みますわ。

 初めて食べたし作ったけど、ジェノベーゼって美味しいのな。

 今後もたびたび作るかもだわ、これ。


「手が止まらん!!」

「舌に! 脳に! この味を刻みこみませんと!!」

「ハーブという固定観念を無くし、香りが似ている魔物の素材を探してみるのはどうだ……」

「カケル! ワイン!!」


 思い思いの事言ってる四人だけど、ラベンドラさんは一口食べて考え込んで、首を振ってまた一口を繰り返してる。

 ……あとね、マジャリスさん。

 覚えておいて欲しいんだけど、俺ってほとんどお酒飲まないのよ。

 つまりね?


「ないですね」


 こういう事よね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] じゃあ異世界にバジルの種持っていって蒔けばいいんだよ!(バイオテロ) ……シソ科ってなんであんなにしぶといん?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ