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やっぱり多かった

「というわけで本日のデザートです」


 持って来たハンバーガーサイズマカロンを見て、マジャリス喜び庭駆けまわり。

 リリウム無言で吐息吐く。

 そんな中、冷静なのはガブロさんとラベンドラさんで。


「それは……どういったデザートだ?」


 ラベンドラさんは作り方から尋ねてくるからね。

 味とかじゃなく。


「メレンゲにアーモンドパウダーを混ぜて焼いた生地にカスタードクリームを挟んだものですね」


 で、どういったものかを説明したら、マジャリスさんとリリウムさんの目が輝き出して。

 もう、待て状態の犬。

 いいのか? エルフがそれで。

 ……ちなみに俺の分は包丁で四分の一に切った奴を持って来た。

 冷静に考えてさ、やっぱり食べきれないだろうって。

 というわけで俺のだけ量は少ない。

 朝ごはんにでも食べるさ。

 朝から脳に糖を回す。紅茶と合わせて優雅な朝ご飯にでもしましょうかしら。


「早速いただくぞ」


 というわけで食べるために持ち上げたマジャリスさんが、


「見た目の割に軽いな」


 なんて感想を零す。

 そうなんだよ、物理的に軽いんだよな。

 クリームの時とかに軽いって感想は出たし、俺も思ったんだけどさ。

 マカロンの形にしてみたら、明らかに見た目と重量があってないんよな。

 羽のように軽いって表現がマジでぴったりくる。


「メレンゲにして焼くとこうなるのだろうな」

「一つ学びを得ましたわね」

「そもそも卵白を泡立てて使うという発想があまりないんじゃないか?」

「聞いた事無いのぅ」


 と言いながら、四人はマカロンを観察し。

 マジャリスさんとリリウムさんが、もう我慢ならんと誰よりも先にパクリ。

 ……感想は?


「表面はさっくり仕上がっていて、中の生地はしっとり……」

「香ばしさを感じた直後にクリームに到達して、口の中で風味と甘さが調和しますわ!!」


 ふむふむ、なるほど。

 その心は?


「ハチャメチャに美味い」

「海がバチバチするほどの美味さですわ」


 なるほど。

 翻訳魔法さんが遊び心出したな?

 どうにも聞いたことがあるフレーズが耳に飛び込んできたわ。


「む! 口当たりも軽く滑らかで、それでいて鼻に抜ける風味とメレンゲの味がいい」

「思ったほどに甘さが強いわけでもない。それに、よく冷えていてそこも美味さに繋がっとるの」


 こう、何だろう?

 今までのデザートだとはしゃいでたからさ。

 これくらいの反応じゃ物足りないんだよね。

 もっと盛り上がって欲しい所だ。

 というわけで俺もいただきますか。

 パクッとな。


「あ、美味い」


 食べてみて分かったんだけど、凄く落ち着く味。

 卵の風味も、クリームの甘みも、アーモンドパウダーの香りも、全部どことなく落ち着いてて。

 イメージすると、貴族が紅茶と一緒に楽しんでるイメージ。

 貴顕の使命を果たすべく、的な。


「紅茶と合いそうですね」

「確かに。……まだ茶葉はあるぞ?」

「じゃあ、直ぐ淹れてきますね」


 というわけでラベンドラさんから異世界紅茶葉を受け取り、台所に駆け。

 ケトルをセットし、その間に茶葉を砕いてお茶パックにセット。

 急須に入れ、そこに沸いたお湯を入れて茶を出しまして。

 全員分のティーカップに均等に注ぎ、完成っと。


「お待たせしました」

「待ってないが?」

「魔法よりも早いですわよ?」

「どんな湯沸かし速度なんじゃ……」


 えー、ケトルさん、喜んでいいです。

 どうやらあなたは、魔法を凌駕しているみたいですよ?


「一番最初にカップヌードル作る時も同じ速度でしたけどね」

「そうだったか……?」

「あの時はお湯が沸く速度よりも初めて食べた味に驚愕していましたもの」

「言われてみれば、かなりの速度でお湯が用意されたような……」


 なんて昔の事(人間比)に思いを馳せつつ、紅茶をグビリ。

 口の中に広がる香りと渋みが、マカロンとクリームによーくマッチしますわ。


「ほぼ上流貴族のティータイムだな」

「店だと高級店のひと時ですわ」

「卵という食材の可能性が大いに示される品々だった……」

「なんじゃろうな。ワイバーン肉の後で霞むかと思ったが、どっしりとした存在感のようなものを感じる。決して肉に負けとらん」


 なんて、日本の民家の庭で言われてもねぇ?

 見て楽しむ花も無ければ、唯一あるのは星空位ですわよ?

 ……そういや、向こうの世界の夜空ってどうなってるんだろうな?

 向こうにも星ってあるんだろうか?


「ちなみに興味本位で聞きますけど、向こうの世界でも星ってあるんです?」


 という俺の質問に、そう言えば、みたいなノリで空を見上げるエルフ達。

 ――そして、


「かなり星の輝きが弱いな」

「私たちの世界では、星の光でその他の明かりが要らない程ですのよ?」


 という回答が。

 この場合どうなんだろ? 星と星が近いって事なんかな?

 そもそもこの世界と色々違うのかな?

 ……専門の知識とか一切無いから、聞いても俺にはちんぷんかんぷんなんだろうけども。


「我々の世界で言う星とは、はるか上空に存在する魔力を発する存在の事を言う。それは私達よりも古くから生きるドラゴンであったり、誰かが上空へと飛ばした魔道具であったりと言われている」

「それらの魔力が光に変換され、私たちの世界に降り注いでいると言われていますの。確認する術は、今のところありませんわね」


 どうやら異世界でも未解明だったようだ。

 ロケットの話とかしたろかな。……いや、やめとこ。

 どうなるか分からんし。


「ふい~。ごっそさん。今までと違って食べ応えのあるデザートじゃったわい」


 会話に入ってきてなかったガブロさんが真っ先に完食。

 ちなみに俺は四分の一でも多かったと後悔してる所だよ。

 今日の教訓は、マカロンはあのサイズ感が一番って事だな。

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― 新着の感想 ―
胸がパチパチするのは元気な玉だけど、海がバチバチするのは電気ウナギ的な魔物じゃなかろうか… 翻訳魔法がはっちゃけて語感だけで翻訳したんやな
[良い点] 海がバチバチとは一体。 翻訳さん仕事して! [一言] マカロンはあまり多すぎても……っていうのはそうかもしれない。
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