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警視庁の特別な事情〜JKカエ優雅な日常を取り戻せ〜  作者: 綾乃 蕾夢
優雅な日常を取り戻せ

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40。してやったりっ ✴︎

 畳に軽く片手をつき、低い姿勢のまま息を整える。


 ふむふむ。と考えるような表情であたしを見ていたジュニアが、瞬間的に畳を蹴り一気に間合いを詰めて来た。


 っとお。

 体勢を戻し、正面に構えるあたしの目の前まで(せま)るとジュニアの右肘がグッと引かれる。


 正拳来るっ。

 左足を軸に、半円を描いた右足が半身を退かせた。

 あたしの右頬に風を残して行き過ぎるジュニアの拳を手刀で払いのけると、右足に体重を乗せ、ギリギリまで上半身を落とした体勢で左足の甲がジュニアの後頭部を狙う。


 足振り上げないと届かないからね。


 後頭部を狙ってくることがわかっていたかのように、ジュニアは(とど)まることなく真っ直ぐあたしの脇をすり抜けていく。


 振り抜いた足が、身体を反転させてジュニアに背中を向けた。


「がぶぅ」


 そんなあたしの両脇腹をジュニアがガツッと掴んでくる。

「こしょこしょこしょ」

「うにゃぁぁぁ!」

 全く予想外の一撃に、悲鳴が口を突いた。


「ジュニアアァァァ!」

 くすぐられた脇腹からサッと手を離し、後ろ回し蹴りを放つあたしの間合いから一足飛びに脱出したジュニアが、

 してやったりっ。

 の顔で道場の畳の(へり)まで下がって行った。


「動きが速い」

 ボソリと呟くカイリにイチが返事をする。

「カエもよく反応してるけど、やっぱジュニアの方が上手(うわて)だな。余裕があるもんな」


「何がどう動いているのか、全然わからないんだけど」

 2人に挟まれた真ん中で、リカコさんが憮然(ぶぜん)と左右に見解を求めている。


 ジュニアを追って間合いを詰めると、スライディングで足元をすくうあたしの真上を、飛び込みをするように通過して行った。


 振り返るあたしの目に、前転から身を起こすジュニアの後ろ姿。


 むうぅぅ。

 走らされてばっかり。


 再びジュニアを追って間合いを詰める。

 当たらないこと前提になっちゃうけど、急所狙いでジュニアの喉元(のどもと)に右手の手刀を差す。


 変な表現だけど、ジュニアの真面目な笑い顔。

 あたしとの手合わせにちゃんと付き合ってくれている気がする。


 ジュニアのカバーに弾かれる右手は予想の範囲内。

 本命の左手が顎下(あごした)から脳しんとうを狙う。


 ガッ。

 ジュニアの大きな左手が、叩き上げるあたしの拳をすっぽりと覆った。


 バレてたぁ!


 あたしの顔面に迫るジュニアの右手が、タメたデコピンをぶちかましてくれた。


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i518214    ★お読みいただきありがとうございます★
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