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警視庁の特別な事情〜JKカエ優雅な日常を取り戻せ〜  作者: 綾乃 蕾夢
JKカエの場合

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45。胸の内

「行きたいっ! 明日の捕物(とりもの)

「明日は金曜日よ。学校」

「別に俺たち皆勤(かいきん)目指してないし」

 あたしとリカコさんのやりとりにイチも加勢してくれる。


「〈おじいさま〉が表の仕事を見学させてくれるなんて、そうそう無いよね。まっ。越智への嫌がらせが半分以上を締めている気がしなくも無いけど」

 ジュニアもこちらを振り返る。


「これはリカコの負けじゃないのか?」

 静観(せいかん)していたカイリもやれやれと言った顔を見せた。


「んんんっっ」

「そんなリカコにちょっと時間をあげる。越智雄介の調書あったよ」

 ジュニアがデスクからイスをずらすと、デスクトップが見えるようにしてくれた。


「当時は連日ニュースのネタにもなってたみたい。僕たちはまだ10歳くらいだね。

 事は外務省職員宅の非公式なホームパーティ中に、テロリストが乗り込んで来たのが原因だったみたいだよ」


 画面の見える位置にそれぞれが移動して、大きな屋敷の写真と、関連の記述に目を向ける。

「公安部参事官が数名の部下とSAT(サット)の精鋭を連れて交渉と鎮圧に乗り出したんだけど、無理な制圧に踏み出して死者を出したみたい」


「それが、越智雄介」

 リカコさんが調書に目を通していく。

「と、他数名。外務省の役人も犠牲になったみたい。

 でもね。その後、裏では越智雄介殺害説が(しばら)く流れていたみたいなんだ。

 当時越智ダヌキは警務部長になったばかりで、東田も警務部長候補の1人だったみたいだよ。

 東田公安部長が無理な突入を指示して、参事官(さんじかん)にやらせたって。で、当時の参事官がなんと拉致の時に車を運転していたあの男。工藤参事官」


 カチカチッとマウスをクリックすると眼光鋭い見覚えのある顔に、リカコさんが嫌な顔をする。


「この男、道路にタバコの吸殻投げ捨てたのよっ……。

 参事官なんてエリート街道を棄ててまで、東田に着いていく意味があるのかしら?」

「責任取らされて、降格したみたい。全責任を被っても東田に着いて行く。

 どんな裏取引があったのかなぁ。ワクワクしちゃうね」

 にまぁっと、ジュニアの悪い顔。


「越智ダヌキは、真相究明したかったのかな?」

 あたしの脳裏に、いつも仏頂面で嫌味しか言わない越智の顔が思い浮かぶ。


 あたしにはまだわからないけど、子供に先立たれるのって相当辛いって聞くし。


「どうかしらね。胸の内まではわからないけど、同じ事が繰り返されないようにしたいとは、思っているみたいね」

 リカコさんも心なしか優しい空気で越智をフォローしてくれる。


「だからこそ、危ない現場に子供は出るなって思うんじゃないの?」


 はっっ。

「いやいやいやいや。リカコさんそこはまた別」

 ちょっと優しい空気にだって、今日はまんまと(うなず)かないもん。


 危ない危ない。

 まぁ、1人でも行っちゃうけど。


「僕は諦めてみんなで行ったほうがいいと思うよ。ダメって言ったって、カエこっそりと行っちゃいそうだもん」


「はっ! 心読んだ?」

 ジュニアの一言に両手で胸を押さえる。


「うーん。カエはすぐ顔に出るからね。多分みんなにバレてるよ」

 見回す顔ぶれは、一様(いちよう)にジュニアに同意の様子。


 あれ? なんで

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i518214    ★お読みいただきありがとうございます★
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