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第三十二話 魔物の無限ループと器用なマネが出来る奴

○骨山ダンジョン2階層○


 プロちゃんの火炎術式・・・

 必殺技に関しては言わずもがな、通常弾にしたって、あれはもう少しプロちゃんに、手加減というものを覚えて貰うまでは、実戦投入できる段階ではない。

 あんなものをこんなダンジョン内の限られた空間でぶっ放された日には、他の探索者さん達は堪ったものではないだろう。

 今日は余所のダンジョンに来ている訳だし、なるべく使わない方向で行くしかないかぁ。

 と言ってもゴーストと遭遇しちまったら、他に手はない訳だし・・・

 まあ周囲を良く確認してからなら、通常弾であれば、ビックリさせる程度で済むか?


 気を取り直し、2階層を進んで行く。

 ここまではまだ一度も魔物と戦闘はしていない。

 魔石稼ぎに来た俺としては、早く敵と遭遇したいところではあるのだが・・・

 先に進めば進むほど、高レベルの魔物が出現する訳だし、高ランクの魔石が手に入るだろう。

 そう考えれば、どんどんダンジョン奥へと進めているこの状況は、むしろ歓迎すべきことなのかもしれない。


 にしても、そろそろ魔物が居ても可笑しくねぇのになぁ・・・


ゴガァ、ゴトゴトゴト


 不意に凄い音と共に俺の足元の床が崩れ落ちる。


 しっ、しまったっ!・・・落とし穴っ。


ズシャシャシャァァァァ


 落下しながらも咄嗟に横に靴裏を向けると、重力方向を切り替えた。


「痛ってぇ。」


 擦り剥いちまった。


 ったく、このマップおっかしいだろ・・・落とし穴表示は、もうちょっと先になってるし。

 これだからネットで調べたダンジョンマップって奴は信用できな・・・う~ん、この下、何処に繋がってるんだろう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○落とし穴内部○


 5階層辺りにつながってりゃ、めっけもん。


 そんな都合の良い考えで、落とし穴の横壁を下へ下へと歩くこと30分。

 ようやく終わりが見えて来た。


 穴の終わりから首だけ出して、繋がった先を確認してみると、墓が立ち並び、結構大きな墓地といった空間。


 この信用ならないネットのマップ情報からすると、なんとなく10階層のボス部屋のように思える。


 2階層の落とし穴から10階層のボス部屋にご招待とは・・・

 結構えげつないトラップだったんだな。


 にしてもどうする?


 もしそうなら、ここに出現するのは、レベル8のスケルトンファイターとレベル12の死霊・・・

 高レベルの魔物を求めていた俺だが、身体レベル4ってことを考えると、最早この部屋に入るのは、自殺志願者か馬鹿のやること。


 がしかしだ・・・

 ここで俺は馬鹿になるしかない。

 残された時間があるのかすらも分からない現状・・・

 このくらいの無茶に躊躇してるようじゃ、その僅かな可能性ってやつを掴むことなどできやしない。

 まっ、最悪俺ならこの天井の穴から逃げられそうだしな。


スタッ


ボコボコボコッ


 天井から降り立った、俺の周囲の床下から、5体の剣と盾を装備したスケルトン達が起き上がる。


 なっ、いきなりかよっ。


 そして部屋の奥には、ボスと思しき死霊の姿が現れた。


 咄嗟に腰に巻いてあった魔鉄棒を左手に取り、元の形状に戻すと、前方のスケルトン目掛けてまずは横薙ぎに振る。


ガンッ


 しかしそれは呆気なく盾で防がれた。


 なんだ、アホ強ぇじゃねぇか、くそっ。


 そして今度はプロちゃんで、通常のカード攻撃をお見舞いしてやる。


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャシャシャシャァァァァ


 あれっ・・・


 スケルトンファイターの頭部に当たったカードは、即座に頭を粉砕すると、そのまま後に居たスケルトンもろとも消滅させた。


 プロちゃん・・・通常攻撃の威力も格段に上がってるな。

 それに、よく分からんが、以前より思ったところに行くし。


『パンパカパーン。霧島光太郎はレベル5になりました。』


 よしっ、この調子なら・・・


ボコボコボコッ


 手ごたえを感じたのも束の間、2体のスケルトンが土の中から再び立ち上がった。


 おいおい・・・


 ここの敵は倒しても直ぐにリスポーンするのか?


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○戦闘開始30分後○


 かれこれ戦闘開始から30分経過。


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャァァァン


『パンパカパーン。霧島光太郎はレベル6になりました。』


 意外と戦い続けることが、出来ていた。


 直ぐにリスポーンするとは言っても、プロちゃんの通常攻撃一発で余裕の撃破となれば、まあ難しく・・・というか結構余裕。

 全然疲れてないし。


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャァァァン


 俺の推測が正しければ、恐らくこのボス部屋のスケルトンファイターは、奥に居てその場から動かない死霊を倒さない限り、永遠にリスポーンし続ける仕組みとなっているのだろう。


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャァァァン


 となればこの状況、俺にとってはむしろ好都合。


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャァァァン


 既に俺の周囲には、数十個の魔石が散乱し、剣や盾のドロップアイテムまで幾つか落ちている。


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャァァァン


 一気にこの高効率の狩場で、俺の魔石集めのゴールを目指すことも夢ではない。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○戦闘開始1時間後○


 更に時間は経過し、戦闘開始から1時間。


『パンパカパーン。霧島光太郎はレベル7になりました。』


 おっ、またレベルアップ・・・流石に周りの魔物のレベルが高い分、結構な勢いで上がって行くなぁ。


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャァァァン


 そして先ほどからは、何となく出来そうな気がしたので、散らばる魔石を拾っては、精錬・融合作業まで、平行して行っていたり・・・

 まあその際、魔石を拾うために、少し動き回ってしまったことで、スケルトンの出現個体数が2体ほど増えてしまってるけど。


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャァァァン


 とはいえまだまだこの継戦状態を維持するのは、そんなに苦にはなっていない。

 こうして同時進行で、他の事も進められたりしているし。


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャァァァン


 にしても我ながら、こんな器用なマネが出来る奴だったとは・・・


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャァァァン


 思わなかったなっと。

 よしっ、魔素クリルスタルの珠の魔力耐久度がもう6になった。

 流石は、うちに居るヒゲモグラ達とは、レベルが違う。

 あとはこれをプロちゃんに埋め込んでやれば、ここに来た目的は達成である。


 それっ。


『わ~いですぅ。父さま、大しゅき。』


 うんうん、ってあれ・・・魔力耐久度12か。

 やっぱり、埋め込みでも、だんだん上がり辛くなっていくのかぁ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○戦闘開始5時間後○


 5時間が経過した。

 なお、スケルトンファイターとの戦闘はまだ続いている。


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャァァァン


 というのも3時間ほど前、プロちゃんに同じ魔素クリスタルの珠をもう一つ埋め込んでやったところ、最早魔力耐久度は上昇しなかった。

 私的な見解ではあるが、魔力耐久度6の魔素クリスタルでは、もうプロちゃんのスペック向上には、役不足という事だろう。


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャァァァン


 ならば俺に出来る事は只一つ。

 更なる高魔力耐久度の魔素クリスタルを埋め込み、目標である魔力耐久度15を達成するしかあるまい。


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャァァァン


 よしっ、出来たっ!

 魔力耐久度10の魔素クリスタル。

 これならきっと、目標値に届くはず。


カシャ


バヒュ―-ン


ガシャァァァン


(は~い、プロちゃん。超美味しいおやつの時間だぞぉ。)


 それっ。


『マッ、マスター、そっ、それはいけませんっ!』


ピカァァァァ―――


 俺がプロちゃんに魔素クリスタルの珠を埋め込むと、プロちゃんから眩いばかりの閃光が放たれた。


『はうぁぁぁ、とっ、父さま、天に召されるでしゅぅぅ。』


「ちょっ、プロちゃんっ?!」

次回、第三十三話 ゴッズ級アイテムの輝き。

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