表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/38

第十六話 レベルアップする日々

○翌日、ダンジョンショップ楽輝、カウンター○


「おう、幸太郎。これから地下ダンジョンか?」


「うん。あっ、店番の方も、言ってくれたら、ちゃんと入るよ。」


「いや別に店の方はそんなに気にしなくても良いんだが、これお前使ってみるか?

 なんでも美鈴の話じゃ、店の鑑定メガネを改良してくれたそうじゃないか。その手間賃変わりだ。」


「ああ、うん。サンキュ、親父。」


 と親父から渡されたのは、白濁色のブリリアントアリゲーターという魔物の皮革で、結構大きい。


「どうしたの、これ?」


「ああ、銀二の奴が昨日置いて行ったんだよ。今行ってる浮遊島ダンジョンに出る魔物の皮革らしい。

 なんでも浮遊島ダンジョンの魔物って奴は、倒しても消滅せず、解体する必要があるそうなんだが、その分得られる素材もかなり大きくなるらしい。

 その大きさでも、取れた素材の大きさからしたら、5分の1くらいのもんだそうだ。」


 へぇ、浮遊島ダンジョンの魔物って、惑星モースと同じ仕様なんだな・・・

 ってあれ、じゃあこれ、浮遊島ダンジョン産っ!?

 そんな高級素材、俺が貰っていいのかよっ。

 確かに貰えたら嬉しいが、店の経営的に、売った方が正解だろ、親父。


「そんな顔するんじゃねぇ。こんな珍しいもの、客に売るなんて勿体ねぇだろ?」


 全くどうなってんだ?

 うちの親父は昔っから、どっかずれてんだよなぁ。

 なんて今更俺が言っても仕方ない・・・店の経営を俺が心配しても何も始まらんし。

 と、ここは有り難く、貰っておくことにした。


 はてさてこの高級素材で何を作ろうか・・・

 先ずはプロちゃんを装備するためのホルスター、うん、これは必要。

 それから、あの忍者草履ってのを参考に、天井を歩けるブーツなんかを作ってみるのも良いかも知れない。

 あとは何にするか、結構大き目の皮革だし、まだ何か作れるよな。

 う~ん、何だろう、夢が無限に広がって行くぅ~♪


「あと、ついでに言っておくが、幸太郎、おめぇ調子に乗って、ダンジョンコアのある4階層のボス部屋なんかには行くなよ。」


 えっ、何で?


「こんな小さなプライベートダンジョンだが、それでもコア部屋前のボスだけは注意が必要だし、今のお前じゃまだちょっと厳しいだろうからな。」


 ああ、そういうこと。

 まあどうせ、グラサン掛けて、髭を生やした、でっかいモグラでもでてくるんだろ?


「それにあいつはかなりの変り種だし、初見じゃまず驚いて目が点になっちまう。そうなったら戦闘どころじゃねぇからな。」


 そんなこと言われたら、逆に気になっちまうだろうが・・・


「へ~い。」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○ダンジョンショップ楽輝、地下工房○


 折角高級素材を頂いたのだし、死蔵しておいても意味はない。

 という訳で、早速ブリリアントアリゲーターの皮革素材を使って装備品を作ることにした。


 先ず最初に作ったのは、プロちゃんを収納するための、太腿にベルトで巻きつけるタイプの白色ホルスター。


~~~~~~~~~~~~~~

『皮革製レッグホルスター』

説明 :ブリリアントアリゲーターの皮革で作られたレッグホルスター。

状態 :40/40

魔力耐久度 :3

魔力伝導率 :3

術式スロット数 0/2

組込術式 :なし

価値 :★★

補足 :通常装備。

~~~~~~~~~~~~~~


 これはまあ何てことない、只の装備品。

 防御力が上がる訳でもないし、何の術式も組み込んでいない。


 ちなみにこいつに刻印登録をしなかったのは、登録したアイテムを増やすと、プロちゃんのレベルアップが遅くなるといったデメリットが生じるというGさんからの助言に従った次第。

 そのデメリットの原因としては、愛着が分散されてしまうとかなんとか・・・何ともアイテムとは思えない人間臭いものだった。

 とはいえ、可愛いプロちゃんの成長を優先させたい俺としては、今後も刻印登録をするのは、控える方針で行くことにした。


 そしてお次は、忍者草履をモデルに、白色で膝下まである長~いロングブーツを製作。


~~~~~~~~~~~~~~

『皮革製重力ベクトル固定ブーツ』

説明 :ブリリアントアリゲーターの皮革で作られたエンジニアブーツ。任意に靴底から垂直に重力ベクトルを固定できる。DEF+10。

状態 :140/140

魔力耐久度 :3

魔力伝導率 :3

術式スロット数 0/2

組込術式 :魔素吸入術式、重力ベクトル固定術式

価値 :★★★★

補足 :マジックアーマー。

~~~~~~~~~~~~~~


 形としては、所謂エンジニアブーツという奴で、爪先や足の甲、脛部には、魔鉄鋼板を入れてプロテクトターも兼ねている。

 その甲斐あってか、DEF+10という結構高性能な仕上がり。

 また、説明から読みとれる分には、忍者草履の天井歩き機能も旨くいってくれたようである。


 という訳で装備の準備は完了。


 さて、探索開始といきますか。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○霧島ダンジョン1階層~○


 1階層のヒゲモグラ達を、プロちゃんのぐるぐるマグナムで一撃必殺しつつ、軽快に進み10分ほどで2階層へと降りる。

 そして初となる2階層に降り立つと、そこに出現したのは、口の周りに丸く髭を生やし、サングラスを掛けたヒゲモグラ。


 髭の形が変わったのは、どうやらレベル2個体の特徴らしい。


カシャ


『ひっさ~つ。ぐるぐるマグナムぅ~。』


パシュン


ヒュルヒュルヒュル


ぎゅおん


グサッ

 

 なにっ、倒せていないだと・・・ならば、もう一発。


カシャ


『ひっさ~つ。ぐるぐるマグナムぅ~。』


パシュン


ヒュルヒュルヒュル


ぎゅおん


グサッ


 よし、今度は倒せたな。

 まあレベル2個体な訳だし、見た目は髭以外大して変わっちゃいないが、少しは強くなってるってことか。


『父さま。必殺技が、必殺じゃなくなってしまったでしゅ。』


(うん、そんなのは気にしなくて良いぞぉ、プロちゃん。

 必殺技なんてものは、破られるためにある様なもんだしな。)


 たぶん。


『わかったでしゅ。』


 う~ん、実にうちの子は、素直ないい子だ。


 その後もレベル2のヒゲモグラ達を仕留めつつ、2階層の通路を進んでいく。

 幸いだったのは、このプロちゃんの必殺技である『ぐるぐるマグナム』、消費魔力はそれほどでもないらしく、チャージ時間を気にすることなく、連射が可能だった点だ。

 これなら通常攻撃として使える・・・まあ威力も殆ど通常だけどな。


カシャ


『ひっさ~つ。ぐるぐるマグナムぅ~。』


パシュン


ヒュルヒュルヒュル


ぎゅおん


グサッ


『パンパカパーン。霧島光太郎はレベル2になりました。』


 おっ、ようやくか。

 人生初レベルアップ。

 何か感激だな。


~~~~~~~~~~~~~~

名前:霧島光太郎 20歳(175cm 59㎏ B89 W79 H87)

種族:人間

ジョブ:アイテムマスターLV2(14%)

レベル:2(1%)

HP 10/12

SM 8/10

MP 0/6

STR : 5

VIT : 5

INT : 10

MND : 11

AGI : 8

DEX : 10

LUK : 5

CHA : 6

~~~~~~~~~~~~~~


 ほえ~、さっすが解析術式と言ったところか。

 レベルの経験率まで表示されてるし、これはこれで有り難いな。

 最大MPも+5とかなり上がってるし、これでGさんも満足だろう。

 にしても『DEXパラメータ上昇補正』の効果で、ボーナスが付くって話だったが、今のところ大したことないなぁ。

 まあレベル1の時は7だったし、+3も上がれば御の字だけど。


『マスター、やりましたね。初レベルアップおめでとうございます♪』


(おう、何かお前の方が、俺以上に嬉しそうだな。)


『そりゃあそうですよ。今まで私が少ないMPで、どれだけ苦労してきたことか・・・』


 ・・・あっ、うん、何かごめん。


『しかしまあこれで私のマスターに対する認識も、『へなちょこ』から、『プチへな』くらいにランクアップ致しましたよぉ♪』


 褒めてるつもりか知らんが、全く嬉しくないな。


『この調子で、今日中にレベル3を目指しましょう。』


(ちなみにレベル3に成ったら、お前の俺に対する認識はどうなるんだ?)


『その際には、『ひよっこ』の称号を与えましょう。』


 ・・・要るかっ。

次回、第十七話 魔素クリスタルの珠と砕け散った夢。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ