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第十四話 『童子切安綱』がこんなところに

○ダンジョンショップ楽輝○


 午後8時、ようやく博物館から帰宅。


カランコロン


「ただいまぁ。」


「いらっしゃ・・・なぁんだ。お兄ちゃんか。」


「おっ、どうしたんだ?その杖。」


「ああ、これはさっきのお客さんからの買取品。」


 ふ~ん。


「美鈴、ちょっとそれ、貸してみ。」


~~~~~~~~~~~~~~

『火の杖』

説明 :埋め込まれた3個の魔石に火属性の魔力が込められた檜製の杖。INT+5。火魔法発動時、威力10%アップ。

状態 :30/100

魔力耐久度 :3

魔力伝導率 :2

術式スロット数 0/3

組込術式 :魔素吸入術式、火炎術式、空圧操作術式。

価値 :★★★

用途 :武器。

~~~~~~~~~~~~~~


『ピロン。『火炎術式』を術式リストに追加します。』


 おっ、火の杖だったのかぁ・・・大分くたびれてんな。

 それっ。

 これでよし、状態が100/100になったし、見た目も何か新品みたいになったな。


「お兄ちゃん、今何やったの?何かその杖が急に新品に見えちゃってるんだけど。」


 うんうん、ダンジョンから産出されたばかりの品を新品と言うかはさて置き、くたびれてた杖が急に製作直後の様な輝きを取り戻せば、そりゃ驚くよな。

 あっ、そうだ。


「美鈴、そのお前の掛けてる鑑定メガネもちょっと貸してくれ。」


 俺は美鈴から鑑定メガネを受け取ると、中級鑑定術式を中級解析術式に書き換え、美鈴に返してやる。


「それでこの杖、鑑定してみろよ。」


「えっ、何これ、すっご~い。どうなってるの、お兄ちゃん。」


 うんうん、大いに驚け、我が妹よ。

 と良い気分で、二階に行こうとすると・・・


「あっ、お兄ちゃん、今銀二叔父さんが来てるよぉ。二階の客間でお父さんとお酒飲んでる。」


 へぇ~、久々にまた銀二叔父さんが来てんのか。

 ちょっと挨拶しとかないとな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


○霧島家、二階居住スペース、客間○


「どうも。お久しぶりです。銀二叔父さん。」


「ああ、幸ちゃん久しぶり。

 あれからどうだい?アイテムマスターのこと、何か分かったかい?」


「はあ、まあ少しは・・・」


 となんやかんや、親父も交えて小一時間ほど、アイテムマスターの話で適当に盛り上がる。


「それ見ろ、幸太郎。やっぱり、俺の作ったカード銃が役に立っただろう。」


「う、うん。まあそうだな、親父・・・ハハハ。」


 ここで否定したら、また鬼の形相になるんだろ?


「それにしても、エクストラジョブかぁ。こりゃ俺も、所持スキル全部を捧げる覚悟を決めとかないといけないな。」


「やめとけって銀二。おめぇのスキルを全部差し出すには、全く釣り合いが取れんだろ。それにおめぇもいい歳なんだし、そろそろ引退を考えた方が良いんじゃないか?」


「バカいえ敏夫、俺は少年の心を忘れない中年紳士だぞっ。俺の爪先は何時だって、可能性を感じる方に向くんだよ。」


「おめぇは何時まで、そんな青臭いこと言ってんだ?ったく。」


「あ、そうだ。それなら幸ちゃんは今、いろんなマジックアイテムの術式データってやつを集めてるんだよな。」


「ええ、まあ。」


「だったら丁度いい物みせてやるよ。」


 ん、何だろ?


 銀二叔父さんは悪戯っ子のような微笑を浮かべると、マジックバックの中に手を入れる。


「ほら、これだ。」


 へっ?


「ふっはっは。どうだ幸ちゃん。驚いただろう。」


 うん、ビックリ。

 『童子切安綱』がこんなところに。

 そして国立ダンジョンアイテム博物館に展示されていなかった原因が、銀二叔父さんだったとは・・・


~~~~~~~~~~~~~~

『童子切安綱』

説明 :凄まじい切れ味を持つ日本刀。ATK+45。

状態 :200/200 100%充填済。

魔力耐久度 :7

魔力伝導率 :6

術式スロット数 0/3

組込術式 :魔素吸入術式、魔力充填術式、自己修復術式。

価値 :★★★★★

補足 :レジェンドウェポン

~~~~~~~~~~~~~~


 ほえ~、凄ぇな、この攻撃力。


「そいつは今、博物館からちょっと拝借してるんだ。まあ元々俺が寄贈してやったモンだし、館長も喜んで応じてくれたよ。」


 本当かなぁ・・・幾ら寄贈主の頼みとはいえ、博物館の目玉とも言えるこのレジェンドウェポンを喜んで差し出す訳ない気がする。


「そ、そっすか。」


 にしても、折角見せて貰ったはいいが、肝心の術式は一つも増えなかったな。

 あっ、そうだ。

 術式を増やすってんならこの際だし、あれも見せて貰おうかな。


「銀二叔父さん、出来たら転移石も見せて欲しいんだけど。」


「おう、これか?」


 と銀二叔父さんは、胸ポケットから転移石を出すと、俺の方に放り投げる。


「おっとっとぉ。危ないですよ、叔父さん。滅茶苦茶高価なアイテムなのに。」


「そうかい?でも俺はいくら高価なアイテムでも、腫物を扱うようにするのは好きじゃない。それじゃまるで、アイテムに使われている感じがするだろ?」


 ・・・アイテムに使われてるかぁ。

 何かかっこいいけど、そんなのお金に苦労しないSランク探索者の余裕だよなぁ。


「おう、銀二。おりゃ、おめぇが昔、買ったばかりの火炎剣を一日で折っちまって、ピーピー泣いてたのを今でも昨日の事のように思い出せるんだが。」


「なあ、敏夫。その話を今する必要が何処にある?ケンカ売ってんのか?」


 うん、この二人はちょっと放っとこう。

 ってことで・・・


~~~~~~~~~~~~~~

『転移石』

説明 :魔力充填式で、何度も使えるミスリル結晶で出来た転移石。所持者の記憶イメージを読み取り、過去に見たことのある場所なら、どこでも転移可能。

状態 :43/50 充填率88%。

魔力耐久度 :8

魔力伝導率 :8

術式スロット数 0/6

組込術式 :魔素吸入術式、MP注入術式、魔力充填術式、空間座標把握術式、転移術式、記憶イメージ座標変換術式。

価値 :★★★★★★

補足 :レジェンドアイテム

~~~~~~~~~~~~~~


『ピロン。『記憶イメージ読込術式』を術式リストに追加します。』


~~~~~~~~~~~~~~

『記憶イメージ座標変換術式』

説明 :使用者の記憶を読み取り、座標変換する。

術式ランク :B

~~~~~~~~~~~~~~


 なるほど、往還石の2定点座標記憶術式が、記憶イメージ座標変換術式ってのに組み替えられると、転移石になるって寸法か。


 にしても銀二叔父さん・・・まるで動く博物館だな。

次回、第十五話 必殺 ぐるぐるマグナム。

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