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第十一話 国立ダンジョンアイテム博物館(素材編)

○国立ダンジョンアイテム博物館○


 午後になり、俺は新幹線に乗って、国立ダンジョンアイテム博物館にやって来た。

 何と言ってもここ国立ダンジョンアイテム博物館には、日本各地のダンジョンから産出された様々な高価で珍しいアイテム達が、数多く展示されている。

 ここならきっとプロちゃんに組み込む術式を持ったマジックアイテムもきっとあるだろう。

 そして他にも色々な術式データをもったマジックアイテムが展示されているだろうし、今後のアイテム作成に、大いに役立ってくれるはず。

 ・・・というかここに来るまで結構な時間と交通費が掛かっているので、役立ってくれないと困る。


 入口で入場料の1500円を払って中に入ると、ガラスケースの中にディスプレイされた数々のアイテム達がお出迎え。

 そして巡回ルートに沿って、まず最初に現れたのは、鉱石素材類の展示コーナー。

 魔銅鉱石に魔鉄鉱石やそのインゴットといったうちの店でもお馴染みの素材の他、滅多に見ない魔銀や魔金のインゴット。

 更には、ミスリルにアダマンタイトにオリハルコンなんてものまで・・・流石は国立博物館。


 そんな素材をアナライズしてみると、どれを取ってみても一律に術式スロットはなんてものは表示されない。

 これはGさんが以前言っていた道具化現象とやらが、まだ起こっていないという事だろう。


『マスター。オリハルコンの合金データが取得出来ましたよ。これでオリハルコン合金を合成できるようになりました。』


 なにサクッと凄ぇ事言ってんだ?こいつ。


(それが本当だとしたら、お前凄すぎないか?)


『はい。私、エクストラですから。』


 はいはい・・・こういうのにも慣らされて来たな。


(なぁ、Gさん。ちなみにその合成に必要な原材料って何だ?)


『はい、主な主成分は魔銅と魔銀とミスリル、あとは万能石と強靭の石、常勝の石に無双の石も必要となりますが、何か?』


 なにか?じゃねぇよ。

 合成ができると言っても、その原材料がメッチャ入手困難なものばっかじゃねぇかっ!

 そんな簡単に、オリハルコン作れるはずなかったわ。


(ああ、もしその原材料が、将来奇跡的に入手できたら試してみるわ。)


『そんな事を言わずに・・・オリハルコン素材を使ったアイテムを製作したなんてことになれば、アイテム神様からの評価もうなぎ登りですよ。』


 確かにそうかも知らんが・・・


(お前がそう言ってもだな、万能石やら、その他諸々の石を俺は全く見たことも聞いたこともないんだよっ。

 ダンジョンショップの倅の俺ですら、これだぞ。世間一般じゃあ、だ~れも知らない超レアアイテムってところだろ。

 そんなものを入手できるとすれば、銀二叔父さんみたいなSランク探索者くらいのものだろうし、只のダンジョンショップ店員の俺には、ミスリルすら到底入手は不可能なのっ!)


 はぁはぁ、ついつい声を荒げてしまった・・・別に声を出している訳じゃないけど


『そうでしょうか。ミスリルなんて惑星モースでは、ごくありふれた素材の一つでしか御座いませんよ。マスタ―。

 それに他の石の場合も、探すのに苦労はしますが、売ってる店もあるはずですし、探しもせずに無理と決めつけられるのは、人としてどうでしょうか。』


 どうもしてねぇよっ!

 何しれっと俺の常識疑ってんだよ。


(ってか何処だよっ、その惑星モースって!)


『これは異なことを。マスターも既に行ったことがあるじゃないですか。あの神殿に。』


 はいぃぃっ!?


 あの神殿って、あそこは浮遊島ダンジョンの祭壇から転移した先だろ。

 そしてあの女神像のあった石造りの部屋からお外に出たら、あら不思議・・・・・・そういや太陽が2つあったな。


(それマジ?)


『マジで御座います。』


 マジかぁ・・・

 確かに俺もこの目でしっかりと、2つの太陽見ちゃってるんだよなぁ。


 しかしそうなるとだ・・・

 惑星モースとやらは、あの神殿の外の世界の事で、地球では、超希少なミスリルが極ありふれたものでしかなく、聞いたこともない様なレアアイテムがお店で売られていたりする。

 この情報からでも、人類同様の知的生命体が闊歩し、文明を形成・・・まるで小説によくある異世界転移先の様な星だと解釈できてしまうのではなかろうか。

 もしその惑星モースとやらが、俺の推測通りのところなのであれば、俄然興味を抱かざるを得ない俺が居る訳だが・・・


 いや~、待て待て待て。

 そうは言っても、俺にはあこへ再び行く術などないだろう。

 あの転移石は銀二叔父さんのものだし、そもそも浮遊島ダンジョンへ行くには、Sランク探索者以外は、自国領域内に滞在している間しか許可が下りない。

 それに銀二叔父さんの話じゃ、あそこの転移トラップは、もう消滅しちまったらしいからな。


 う~ん、とても興味はそそられるが、この件は一旦胸にしまっておくか。

 今は折角、こんな国立の博物館まで高いお金を払って来ているのだし、目的の術式データを集める方が先決だ。


(分かったよ、Gさん。でもまあその辺の話は、また今度な。)


『了解しました、マスター。』


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 話が大分それてしまったが、次に展示されていたのは、宝石類。

 こちらも鉱石素材の展示コーナーの一角に宝石の原石や様々な効果の付いた石アイテムが集められていた。

 そして先ほどGさんが言っていた、万能石や強靭の石、常勝の石に無双の石なんて物も、しっかり展示されていた。


 ・・・見たことも聞いたこともないなんてのは、ちょっと言い過ぎだったかもしれないな。


 とまあそれはさて置き、この素材コーナーを見て周っていると、特に疑っていた訳ではないのだが、Gさんの言っていた話の信憑性がどんどん増して行く。

 パワーストーンと言われる、特別な効果がある宝石の原石や鉱石といったアイテムにも、術式スロットは表示されていなかったのである。

 これが加工されると、道具化現象ってやつが起こって、術式スロットと組込術式が表示されるようになるって話だったよな。


 そんな感じで巡回ルートを進んで行くと、次はお待ちかねの武器・防具の展示コーナーが見えてくるのだった。

次回、第十二話 国立ダンジョンアイテム博物館(武器編)。

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